カミサマのひとりごと
私はカミサマである。
あたしはカミサマよ。
俺がカミサマだ。
あてくしはカミサマでしてよ。
おらがこの世界のカミサマんだ。
どんな一人称も、言葉遣いも、しっくりこないワタシ。
そんなワタシは間違いなく、この場所では神様ではなくとも、カミサマではあった。
誰に崇められるでもなく、誰に願いを乞われるでもなく、ただ、唯一の存在。
物心がついたときにはこの場所に一人、佇んでいた。
極端に白すぎることもない、淡いクリーム色の世界。
ふわふわのおふとんの敷かれた、それこそ天国のようなベッドに、虹色の美味な果物の生る木が一本。枕側に日差しを遮るように生えている。
そして丸い装飾の机と椅子が置いてあって、その上には金色の装飾がなされたノートと、高級そうな万年筆が置かれていた。
忘れもしない。忘れられもしない。
私の、僕の、俺の、あたしの世界は、それからちっとも変りやしないのだから。
どうしてか頭にある机や木、万年筆の概念に疑問を覚えて、
いくら思考に時間を使おうと、いくらベッドに横になって惰眠を貪ろうと。
ちっとも、変わらなかった。
いっそ木を椅子で殴り、折ってしまおうと思ったこともある。
いっそ死んでしまえたなら、と万年筆の先を喉に向けたこともある。
ちっとも変われなかったのは世界じゃなくて、自分だった。
すんでのところで、躊躇してしまうのは自分。
何も変われないのは自分のせい。この小さな世界で、誰のせいにすることもできず。
ただ、いつの日かくるかもしれない終わりを待ち続けるだけの、自分のせいなんだ。