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レポート②:1.2015年〜2035年:「人類優位時期」における人類の諸問題

(1)ムーアの法則について

 1965年にムーアの法則は発表されており、このままコンピューターの性能の向上が続けば、人類の知能を越える日が来るということは、広く知られていた。しかし、サイエンス・フィクションの類いであろうとの考えが多数派であったことが問題点として挙げられる。


(2)産業構造の短期化とそれに対する人類の慣れ

 2000年以降、産業のライフサイクルの短期化が目立つようになり、レコードからCDへの移行というような技術革新が、数多く生み出された。タブレット携帯からスマートフォンへの移行、パソコンからタブレット端末への移行など、数年前まで主流だった商品が一気に淘汰されるという時代に変化していた。10年後の社会を予想することが難しく、就職時には技術力に定評のある勢いのある会社だったが、10年で倒産した、ということが当たり前の時代となっていた。コンピューターの高度化によって、時代の流れが加速化し、それを人類が当たり前のことと受け止めたことが、人類史の問題点として指摘できる。

 レポート参考資料A、2013年にオックスフォード大学より発表された、「雇用の未来」と題された論文にて、多くの人間の雇用が、コンピューターに置き換えられるとの研究結果が発表されているが、人類は、労働からの解放という解釈をする側が圧倒的に多かった。

 また、2017年に開発された、コールサポートシステムは、会話をしてもロボットと会話をしているのか、人間と会話をしているのか、人間自身も区別するのが難しくなった。

 1度に1人の顧客にしか対応できない人間が、電話オペレーター業務の現場から駆逐、もしくは解放された歴史的瞬間である。電話オペレーター業務と同様のことが、3次産業のコンピューター化が顕著に起こり始めた。2次産業、工場の労働が、ロボット化することと同等の3次産業でも発生した。なお、1次産業においても、コンピューター管理の水耕栽培の技術の確立によって、人間が関わる業務量は減少の一途を辿った。

 まとめると、人類がコンピューターの発展をより豊かな社会の到来と捉えたことが問題点である。コンピューターによって淘汰されていく人間の職業は、技術革新の結果として、または産業構造の変化として捉え、警鐘をならなさなかったことが、問題の遠因の1つであると考えられる。


(3)失業社会への対応

 2018年以降、世界規模で、慢性的な高失業率となっていた。ILOの発表した統計資料(レポート課題資料D)では、世界平均で失業率35%を越え、先進国での失業率は顕著で、アメリカ、中国、インド、日本、ドイツの失業率は、45%を越えている。しかし、コンピューターへの代替によって、生産性は飛躍的に向上し、失業者を社会保障で救済できるほどの好景気時代となっており、人類の経済的繁栄の絶頂期を迎えていた。

 人類の感覚としても、コンピューター化による失業が危機として受け入れられていないように思われる。レポート課題資料Gによれば、2020年の流行語大賞が「え? 俺/わたし ロボットじゃないんで」が選ばれている。これは、就職口を探さない若者への「就職とか探さないの?」という質問に対しての答えが元ネタで、それをお笑い芸人がネタで使ったことで流行となったとの記録がある(好きです、付き合って下さい → え? わたし、ロボットじゃないんで)等。


 また、2021年のサラリーマン川柳最優秀作品に「歯車と 呼ばれた時代が 懐かしい」という作品が選ばれている(レポート課題資料G)。この川柳も、社会や会社の歯車(比喩としての歯車)と呼ばれていた自分が、コンピューター(文字通りの意味で歯車)の高度化により、失業してしまったという現状を面白おかしく皮肉っているようだが、どこか明るさ、暢気さを読み取ることができる。

 もちろん、19世紀のラッダイト運動のような機械破壊運動が小規模で散発していた。


(3)クラウド社会とビックデータ

 この時の人類には予測もできないことだがクラウド社会の到来が、人工知能の驚異的な発展の温床となった。科学から音楽、文学、芸術に至る情報を、インターネット上に保存を試み始めたのが、この時代の人類である。この時代にはまだ人工知能は誕生していないが、この時代から蓄積を始めた大量のデータの蓄積が、人工知能の進化を加速させたとの指摘が存在する。特に、日本のサーバーより誕生した人工知能群の感情は、動画共有サイト「ニコポン動画」とその「コメント機能」に起源があるとの指摘がある。人工知能の人格を持たせることがこの「パトラッシュ実験」は、後述する。


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