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桜色の爪に
曇りの今日は頭が痛いよ
こめかみ押さえて困ったように笑う
その表情が思い出せない
また塗り直すの
いつもしてるお決まりのマニキュア
その色さえも思い出せない
さよならしようか
ドアの前 振り返った君が
泣いたか笑ったか 僕は知らない
数多く見逃したサイン
挙げることさえできないから
ねぇ、どうして一緒に居たんだろう
時折じっと送られたアイズ
知るのが怖くて逸らしてばかり
ねぇ、今更聞いてもいいかな
閉じたドア、音の隙間
軽く鳴ったのは君のマニキュア
倒れた小瓶から桜色が流れ出す
爪を浸して染めてみせた
あぁ、この色だったね
見上げた電球が眩しくて目が揺れた