第3話 手伝い
「ヒルドー、ちょっとコッチ来てくれ~!」
「はーい!」
前回の薬草採取から約3ヶ月、現在父の畑に兄と父、俺と合わせて3人で来ています。何でも畑を広げるとの
話で邪魔な石や草を取り除くだけでも一苦労です。
因みに畑は町の周りにあり、一応夜の見回りも農家全体の持ち回りでやってたりします。害獣被害があると
目もあてられないのです、動物タイプの魔物はそれ位農作物をごっそり食べてしまうのである。
「すまんがこの岩向こうに捨ててきてくれるか?」
そう言っているのが父の『ダグラス』、大人3人分位ありそうな岩をペシペシと叩きながら「この荷物運ん
でおいてくれ」位の気軽さで言ってくる。父も大概俺のステータスになれた物だ。
「父さん、後でちゃんと小遣い頂戴よ?」
「応、500ルクだな?ちゃんと渡すさ。」
「父ちゃん、そろそろ昼にしようよ。」
「おや?エルダ、もうそんな時間か。そうだな、この岩を運び終えたら昼にするか。」
「じゃぁ父さん、これ森の方に捨ててくるね。」
「あぁ、頼むよ。」
そう言って俺は岩をサッカーボールを持つ様に地面から引っこ抜き、ソレを運んでいく。
「ヒルド、お前相変わらず馬鹿力だよな・・・。」
「兄貴・・・馬鹿力は無いんじゃないの?」
後ろから近づいてきてヒドイ事を言ってくるのは『エルダ』、今年12歳を向かえる俺の兄だ。
「だって普通こんなの一人で持ち上げたりしないぜ?」
「まぁでも俺は出来るし、いいんじゃない?誰か損する訳じゃないんだからさ。」
「ちぇ、お前は良いよな。そんだけ力持ちならそれだけで食っていけるじゃないか。」
「だったら兄貴も稽古したらいいじゃん。前から誘ってるのにやらないのは兄貴だろ?」
「嫌だよ俺は。何が悲しくて下穿き一枚にならなきゃいけないんだよ。」
「そういうもんなんだよ、稽古ってのは。」
そう言いながら森の端に着いたので森に向かって岩を放り投げる。
「いいさ、俺はこのまま農家として生きて行くんだからよ。」
「勿体無いな、兄貴は鍛えれば絶対伸びるのに。」
「良いの良いの、俺はのんびり過ごせればそれで。お前が色々冒険して帰ってきたら俺が作った米食わせてやるからさ、お前は冒険話を聞かせてくれよ。」
「分かったよ、まぁ俺も何になるかなんて未だ分からないけどね。」
そんな将来の話を2人でしつつ、父が待つ農地(予定)に戻っていく。
するとそこにはイビルボアとやりあう父が居た。
「親父?!」
「父さん!!」
イビルボアとは四つ目のイノシシで背骨のラインにそって触手が生えた魔物である。体躯は子供でも1mはあり、成体になれば全長3~4mがざらである。
父に襲い掛かっていたのは全長2m程、恐らくまだ成体では無いにしろ2mサイズのイノシシだ、襲われては溜まったものじゃない。
焦った俺は全力でイビルボアに向けてHARITEを突き出した。一切の加減をせずに。
結果、地面がイビルボアを基点に1km程『えぐれて』しまった。
その日俺は母にしこたま説教を食らう羽目になった。
長々書くよりも短くもサクサク上げる事にしました。
テンポ良く進めたいものです。