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4.10歳に成りましたっ! 近況報告します④

 

 

 それでは近況報告を続けますね。老師(イジュマー)さん、つまりナハトマ・イジュマーさんは、今年でなんと89歳です! でもさすがホピット(野人)族だけあって、全く老いを感じさせません。老師(イジュマー)さん曰く、

「坊主の子供に魔道の指導をするまでは死にはせんぞ」

だそうです……。はぁ、まったく元気な事で……。


 そうそう、老師(イジュマー)さんがセシル達を雇って初めた、テゥス・オマジク(ことわりの書)の最新版の写本(前にも説明したけどほぼ製作に近い写本ね)事業ですけど、なんと3年掛かってようやく、最初の1冊目が出来たみたいです。そしてこの1冊目はリジェット魔道国の王立魔道院へ送られて、この度正式に承認を受けたそうです。なんでも承認されるとシリアルNoと承認のサインが魔術で表紙にバッチリ刻印されるらしい。なんでもこの刻印する為に表紙はある動物皮じゃないと駄目らしい。それでそのセシル達が作った本のシリアルNoはなんでも544だったらしい。数少なっ! 現在はその1冊目をベースに、2冊目、3冊目の写本(これはほんとの写本らしい)作業が開始されているらしいです。つまり1冊目は完全な先行投資って事だね。


「ここまでは、全て持ち出しじゃわい。そうじゃ、ここからがホントの商売なんじゃ」

「イジュマー老にとってテゥス・オマジク(ことわりの書)の写本は、テゥス・オマジク(ことわりの書)の普及が目的ではないのであるか?」

「お主はアホか、これは慈善事業ではないぞ。わしはもともと教導ギルドにナハトマ製本所と云う業主登録をしておるんじゃ。まぁ、永らく休眠させておいたが、今回の写本事業の為にそれを復活させたのじゃ。判るか? 嬢ちゃん達とも、きちんと雇人契約しておるんじゃぞ。つまり利益をださんと嬢ちゃん達に奉給を払えんと云う事じゃ」

「うむ、イジュマー老が業主とは意外である。無縛人とはそういう事を嫌うものと思っていたである」

「自分が働くなら、無縛人がよいんじゃ。いつでも辞められるからのう。じゃがひとを使うなら、職を安定させてやらんとのう。当たり前の事じゃろ?」

「で、ある……」

と云う訳で老師(イジュマー)さんは、そのテゥス・オマジク(ことわりの書)の販売の為に、時々王都と手紙のやり取りしています。なんでも完売必至、予約殺到な模様らしいです。これでセシルの仕事も当面は安泰ですね。そういう訳で老師(イジュマー)さんは、ナハトマ製本所の業主(社長)業を驀進中です。




 古武士(アドバン)さん、つまりサローン・アドバンさんは、今年で49歳です。鍛えてるだけあって、こちらも衰えの感じは一切ありませんね。

「たしかにホピット(野人)族はヒトより長命である。しかしであるが、それがしは、イジュマー老より40も若いである。イジュマー老が現役な限りは、それがしも現役である」

あれ? 変な所にライバル意識があるんですね。


「それがし、健康については自信があるのである」

そうそう古武士(アドバン)さんは、古今東西の健康法を実践してるらしくて、老師(イジュマー)さんに云わせると、“健康馬鹿”らしい……。そんな健康馬鹿、いや古武士(アドバン)さんは、目下キグトア地区で続々と誕生してる自警団の訓練に集中しています。古武士(アドバン)さんは個人としての武芸も凄いけど、親父殿に云わせると指揮官としての才能も非常に高いらしい。“さすが元ハソチフ(百士長:中佐)で百士隊長をしてただけの事はある。そこらへんは俺よりもずっと上だな”との評でした。



 さて古武士(アドバン)さんは、ホピット(野人)族がヒトより長命と云ってましたけど、実はこの世界での人間の寿命がどうもよく判らないんですね。何と云って10歳時生存確立が50%を切ってる世界だから、平均寿命とかあんまり意味ないよね。そこで色々な人の話しを聞いた処、どうも50歳を超えた当たりからパタパタと逝く人が増えるらしいから、そこら辺が平均寿命かと思われます。う~ん、かなり短いな、人生50年かな?


 ただその一方でどうも異常に長寿なヒトもいるみたいなんですよ。ほんとかウソか知らないけど、王家の人とか貴族さんとかだと、なんと200歳近い人がいるらしいんだ。マジか~。それってホントですかと何度も尋ねた所、どうもマジに150歳とか200歳とかってのが存在してるみたいです。一体どうなってるんだろう。訳わからんな……。


 そして一方のホピット(野人)族ですが、どうやら100歳超えはザラらしい。長老とか云うと普通に200歳になるみたいね。他に長命族としては、エルフ(耳長人)ドワーフ(山人)がそうらしい。猫人、犬人は、ヒト族と寿命は大きくかわらなくて、ワーウルフ(人狼)ケンタウロス(人馬)ミノタウロス(人牛)リザードマン(人鰐)なんかは、運動量がハンパないからかな、ヒト族よりも寿命は短いらしいです。でもどうもどの種族にもヒト族同様に特異に長寿な個体が存在するみたいなんです。う~ん、ちょっと、かなり、結構、不思議な話ですね……。




 そしてサラキトア集落で始まった塾所と公童塾なんですけど、今ではウルガムにも塾所が出来ています。塾所ではサラキトア同様に公童塾が開かれています。ウルガム公童塾の講師は、ウルガム集落の中から数人を選抜しました。それに親父殿や老師(イジュマー)さん、古武士(アドバン)さんに自分とキャスが出張で教えにも行ったりしてます。親父殿の考えではキトア郡キグトア地区全ての集落に小さくていいので塾所と公童塾を設置する方針らしいです。


 更にキトア郡キグトア地区のサラキトア、ウルガム、キグナス、モーベス以外の集落でも自警団が結成されています。なんといっても最近開拓がされだした集落は、ソン()の壁がまだまだ不十分なもんだから、自警団が必須なんですよ。でも自警団ってのはただ人がいればいいってもんじゃないんで、サラキトア、ウルガム、キグナス、モーベスの各自警団から選抜された数人を、あちこちの集落に派遣して基礎訓練をしているみたいです。その上で古武士(アドバン)さんの指揮下で、集団戦的な訓練をしています。その上で何度も各自警団同士の合同訓練を行っているんだ。どうも親父殿は、各集落の自警団の連携を高めて、集落単位の自警団じゃなくて、地区の自警団として機能できるような自警団を作ろうとしてるみたいだね。それは間違いなく自警団としての能力を高かめる事だと思うけど……、でもなんでかな? そこまでする必要がちょいわからない。しかも最近では自警団同士での擬似戦闘訓練まで始めてるらしい。そんな時は片方を古武士(アドバン)さんが指揮して、もう一方を親父殿が指揮するらしい。戦績は古武士(アドバン)さんが一方的に上らしい。“いや~、アドバン殿には敵わん敵わん”って苦笑いしてるけど、しかし只でえ忙しいのに、なんで自分から仕事増やすんだろうな……。まぁ、そういう訳で、古武士(アドバン)さんは自警団の総司令官的な道を驀進中です。






~ナイアス・ヴェルウントからの視点~

 ここ2~3年のキトア郡キグトア地区の発展は目を見張るようだ。まずはサラキトアで先行実施した煮沸消毒や子供への生水禁止、それに腹下し対策と下所の改善をキグトア地区全域で推し進めてみた。まぁ、若干の抵抗もあったけどサラキトアに呼んでその効果を見せればそんな抵抗は一瞬で吹き飛んだもんだ。そしてその効果が現れ出した頃に続いて、肥料、クローバーの導入と茶芋じゃがいもの普及活動を行ったもんだ。こっちへの抵抗はかなり大きかったな。農民と云うのは、とかく新しい事を嫌がるもんだ。それにやはり肥料への反発は特に大きかったな。しかし最初の改善の実績が物を云ったし、それにサラキトアのエリシュキタス(王税確定の儀)の実績が一番有効だった様で、取り敢えずは一部だけやってみようと云うことになった。そして当たり前だがサラキトア同様に驚きの効果が上がるのを見て、ほとんどの集落で今年からは全面的に肥料を使用し始めた。これでこれからが益々楽しみだ。


 キグトア地区で子供の死亡率が劇的に減った事と、毎年毎年、エリシュギタス(王税確定の儀)で決まる収穫量が増えている事が、どうも王国全域で噂になっているらしく、他の地域からの入植希望者が後を絶たない状況だ。ほんとならこっちが鉦や太鼓で集めなきゃいかん処がこれだから大いに助かってる。キグトア地区には耕作可能な土地がまだまだあるし、いくつもの集落には居住利用に可能な土地がまだまだある。今みたく収穫が年々増加する状況であれば、集落にしてみると働き手が増えることは、集落に取っての負担よりも利益な部分が多い。だからこそ各集落の首長達も新しい入植者を両手を挙げて歓迎する姿勢だ。


 しかし、だからと云って誰でも彼でも受け入れる訳にはいかない。新しいヒトが入ってくれば、そりゃどうしても古い連中との軋轢が起こるからだ。一番いいのは家族での入植者だ。家族として入植するならば、家族を守る為にも多少の軋轢や労苦には耐えられるハズだ。そこはやはり単身者の入植者に比べるとずっと安心できるってもんだ。


 だが、一方で全ての入植者を家族持ちにする訳にもいかない。そんな事したらキグトア地区の娘達に俺が暗殺される恐れがあるからだ。そう病気で死ぬ子供は圧倒的に男の子が多いし、農作業なんかの野外の事故で死亡する子も男の子が多い。王国では魔獣との戦いこそ、そうそうあるもんじゃないが、森賊、盗賊、無法な傭兵団やら、正体不明な軍賊なんかの討伐で、いつでもどこかで戦いが起こっている。そしてそこで犠牲と成るほとんどの者は、大抵若い男って事だ。つまり王国では常に婿不足が常態化している。そしてそれは都市部より農村部の方がより深刻なんだ。


 農家の2男、3男ってのは、どうかすると都市の魅力へ惹きつけられるもんなんだ。まぁ、かくなる俺もそのひとりって訳だから、その気持は痛いほど判る。15歳を超えるとみんなそわそわしだすもんだ。そしてポツポツと歯が抜けるみたいに連中は集落を捨てて外へと向かっていく。その結果集落の男女比率は更にガンガン歪んで行く訳だ。そう云う中で新規入植者に掛かる期待たるや、首長達よりも集落に残った娘達の方が遥かに巨大だ。そんな娘達の期待を裏切り続ける事なんかできるハズがないし、俺もまだ死ぬ訳にはいかないのだ。だからベストな入植者ってのは、家族単位の入植でその家族の中に独身の15歳以上の男が居るってのが最高なんだが……。まぁ、そんな都合のいい連中ばっかしって事は有り得ないので、やはりある一定の人数は、独身の若い男(俺としては、この場合29歳までを“若い”としている)の入植者も選ばざるを得ない。今見ている入植の希望申告の書類の男は、なかなかいいかも知れない。ロドオルソ州、コート郡ボヌス地区のコートボーヌ集落の葡萄農家の4男坊。年齢18歳か……、よし書類選考は合格だ。次に俺が面接を行ってその後で入植先の集落の首長との面接をして、その上で入植が決定だな。それじゃ面接の連絡の手紙を公伝便で送ろう。この男が上手く入植してくれれば、俺の暗殺の危険性が少しは低下するってもんだ。いやいや、ナイアスよ良く考えろよ。どこの集落に入植させるかが最大の問題だぞ。公平感に欠けたりしたらマジ暗殺もんだからな……。


 そしてアズナルへの手紙にも書いたが、キグトア地区の自警団は、ご老人と武士殿の協力もあって順調に育っている。そう一番いいのは彼らの意識が、おらが村の自警団って狭い意識から、キグトア地区の自警団ってちょっとは広い意識が出てきてる事だ。なんと云ってもこの為に、訓練以上に正道の修学に力を入れたからな。武士殿の熱心な指導で、個人の技量も上がってるし、集団戦闘の能力もグングン付いてきてる。ただ悔しいのは模擬戦で俺が一度も武士殿に勝てない事だな。1対1ならば間違いなく俺が上なんだが……。俺は分隊指揮しかやった事ないから、やはり経験の差はなんともし難いな……。そして自警団の何人かが兵士としてだが、黒虎騎士団の入団に成功している。ああ、そうだ、俺の計画は順調に進んでいる。時間はまだまだ掛かるかも知れないが、順調だ……。


 今一番の問題は俺自身がこの頃忙しすぎて、かなり疲れているって事だな。最近リリュともさっぱりご無沙汰だ。ああ、こんなんじゃ、ギルに弟か妹を作ってやる事は不可能だな。リリュを見ていると、何時でも気持ちはあるんだが、どうも身体がついて行かない。俺も歳なのかな……。もしや武士殿はコッチの健康法にも明るいかな? 一度相談してみるか……。




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