11,勉強のお時間 その⑨【セラワルド史の4 リジェット・エレリープティクの登場】
「「「ガダスシアプ」」」
今日も居間の勉強机(居間の長テーブルね)の前に定時集合すると、まずは3人揃っての挨拶だ。そして昨日と同様に先生おふたり方に挟まれる格好で、3人で並んで座ります。そして勉強机(居間の長テーブルだよ)の上には、これも昨日と同様ちょっと黄色味はあるが、きちんと糸で綴られた10数枚位の紙の束が置かれました。そうです老師さん編纂の、正説セラワルド年史ですね。当然本日も歴史の時間です。説明は昨日に引き続き古武士さんで~す。
「さてご子息殿始めるである。まず昨日説明したであるがエスタ暦845年に軍神ヴォルグ・アルブレリトが謎の死を遂げたである。それ以後聖帝軍とトテム合同軍の乱戦が長く続いて行ってのであるな。そしてエスタ暦1141年、魔道の始祖たるリジェット・エレリープティクが、聖帝軍の軍師となったのである。まぁ当初は聖帝軍中央指揮部に数多く居た無席軍師達のひとりであったが、魔道軍の創設と内功術の普及やらの貢献が認められて、あっと云う間に主席軍師に登りつめるのであるな。
この異常な昇進は、確かにリジェットの功績に拠る処も大きかったのであるが、中央指揮所を襲ったテロによる中央指揮部の人材枯渇も大きく影響した様である。しかしながら聖帝軍にとっては、このテロによりリジェットに道が拓かれた事は、大きな幸運であったのである」
「このテロの犯人じゃが、フェルキア族長国情報院ともトテム合同軍隠密部隊や白蛇の槍とも、はたまた内部犯行説まであっての、様々に噂されているのじゃが、結局の所は闇のまた闇じゃな」
おお、隠された歴史の謎かぁ~、いいな探偵になって謎を解決してみたいな。いいかね、こーいう問題は、誰が利益を得たのかと云う観点から全体を観るべきなのだよ。ワト○ン君。ん? それじゃ……。
「リジェットが中央指揮部の主席軍師になった翌年、エスタ暦1146年に、いよいよ第三次ノボフォ決戦が行われるのである。この戦いでトテム合同軍は大敗北を喫するのである。聖帝軍の勝因は魔道軍による効果的な幻惑と恐怖、それに内功術によって強化された魔戦士達の効果的な使用が大きかったのである。まさにリジェットの戦略と戦術の勝利であった」
ついにでましたぁ~。魔道軍~。来ましたぁぁ、これこそ剣と魔法の世界の醍醐味だよね。
「聖帝軍は第三次ノボフォ決戦の勝利の勢いのまま、第三次エクスムア決戦にも大勝利するである。ここに至ってトテム合同軍はほぼ壊滅となったのであるな。しかしながら聖帝軍は、いや主席軍師のリジェット・エレリープティクは、トテム合同軍への掃討戦を行う事無く一方的に“乱結”を宣言するのである。
ただし一方的に乱結を宣言しながらも、聖帝軍は第三次エクスムア決戦後にエクスムア大草原よりサヘル沿いに、ゆっくりとゆっくりとフェルキア族長国へ向かって進んで行くのであるよ。この進路については幾度も大逆転が起こったノボファを通りたくなかったであるとか、色々云われているのであるが、まぁ間違いなくフェルキア族長国に対する圧力であるな。
このリジェット・エレリープティクの無言の圧力の前に、ついにフェルキア族長会議からの指示で、フェルム義勇軍団がトテム合同軍より離脱するである。これに続きトテム合同軍が解散を宣言するである。これを受け聖帝軍はフェルキア族長国への進軍を停止したのであるな。この聖帝軍の進軍停止によって、長らく続いたフェルム戦乱時代の幕が事実上閉じたと云われてるのであるよ」
おお、リジェットさんって単なる大魔法使いを超えた存在なんだね。戦略家であり戦術家、そして政治的能力もあるんだ。もしかすると初代エスタリオン教皇のロキシア・エスタ・ヴォツェック並かもね。
「第三次エクスムア決戦の翌年の1148年は、“回復の年”と呼ばれているのである。まず年明けそうそうのエスタンに神聖ダイトニア皇国の皇都ダイトが奪還されるである。まぁ既にタトム合同軍が解散しているので、実際は無血解放であったのである。そして皇都を奪還した神聖ダイトニア皇国皇帝が、皇国のアシャス・エリルブラゾのテラスから皇国再興を高らかに宣言したのである。
続いてエスアドにはフェバオロ族、チェバオロ族、ロガーハ族が、それぞれの占地の破棄を宣言し、残存トテム合同軍ともに3氏族は、フェルキア族長国への移動を開始するである。アラニアには、神聖ダイトニア皇国とフェルキア族長会議は、”剣下の誓い”の継続性を確認したのである。更にこれを受けて、アラアドにエスタリオン神国教皇が、400年以上に渡った”守神戦”と“命献”の神宣解除を宣するである。
この年のウズアドにとうとうフェルキア族長会議が、エスタ暦587年に発令されていた、”始祖への回帰”の終結を宣言したである。これで完全にフェルム戦乱時代が終結したのであるな」
「この終結宣言と同時に族長会議は、タトム合同軍と3氏族を受け入れる事を理由に、族長国の領土をほぼ倍増する宣言をしておるんじゃ。リジェットは黙ってこれ受け入れたのじゃ。もう戦いには飽いたのじゃろう」
長い長い、ほんとに長い戦乱の時代がついに終わったんですね。そして終わってみれば、そこは元とあまり変わらない世界であったと……、一体なんだったんでしょうね。兵どもの夢の跡……か。しかし族長国はなんともシブトイ。
「“回復の年”の2年後、エスタ暦1150年に、リジェット・エレリープティクにより、リジェット魔道国が創国されたのである。そしてこの年から、魔道の時代が始まったである」
ここで古武士さんが、老師さんにサッと目配せしました。まぁ次は魔道の時代って云うんだからね、当然ここからの説明は老師さんでしょ。
「では、ここからはわしがやるぞ。リジェット魔道国創国の6年後のエスタ暦1156年から、リジェットの魔道探索の旅が始まるんじゃ。この魔道探索の旅は、だいたい5年に及ぶんじゃが、この旅で各地に伝わる“神法”、“道術”、“魔道”、“修術”、“法術”、“精霊術”等を調べた結果、リジェットは魔道についてのなんらかかの確信を得たようじゃな。リジェット魔道国で王立魔道院が開校されたのが、エスタ暦1164年になるが、この後矢継ぎ早にエスタリオン神国の神威法学院、イラワルドのコロンマウト道教国の仙道教院、アニウラワルドのラザエニフ王国のキストナ修道院を、開校させておるんじゃ」
その旅でアナワルドへの道が拓かれるんですね。でも実際は飛んで回ったのか~、すっごいよな~。
「そしてエスタ暦1179年には、テゥス・オマジクの序章にあたる「魔道の理
おお~、本当に魔道の時代なんですね。ってか、一冊の本作るのに200年かよぉ。ちょっと遅過ぎで泣きそうになるな。サグ○ダ・ファミ○アかよっ。まぁテゥス・オマジク
「テゥス・オマジク
これが第2世代の魔法学園って事になるんですかね。えっと、テゥス・オマジク
「どうやってテゥス・オマジク
「さすがにわしでも飛ぶのは無理じゃ。あれは正に“魔法”じゃな」
「えっ、それじゃどうやって?」
「まぁ数年は掛かるんじゃが、ノラワルドとアニイラワルドまではイラワルドそしてティイーを通って行く経路があるんじゃ。サラワルドとは勿論航路はないんじゃが、フリピ
かなり苦しげな表情で応える老師
「それに確か8大魔法学園でしたよね?」
「うぬ……。そうじゃなな。坊主よく覚えていたのぉ」
これには、なんかすっげぇ嬉しそうに応える老師
「最後の魔法学校の設立は、エスタ暦1835年にリジェット魔道国が始めた“スムイーへの挑戦”たる、ウラワルド派遣船の成果じゃな。このウラワルド派遣船は、フィブ
ほ~。1899年か、それが魔道の時代の最後の年って事かな?
「またこの魔道の時代は、開国の時代とも呼ばれておるんじゃ。その開国の始まりこそが、リジェットの魔道探索の旅の報告を受けたエスタリオン神国が始めた、エスタ街道イラへの道の建設じゃな。エスタ暦1195年に始まったこのエスタ街道イラへの道建設の事業は、エスタ暦1230年に完成するんじゃ。そしてイラへの道は、ついにイラワルドのクリルタイ主国のアニウラ
むむむ、未開の地にまず道を作りましたか。それはかなり野心的な事業ですね。まぁエスタリオン神国ってのが、覇権国家じゃない事は確かだから良かったけどね。下手すりゃ侵略用の道路だよね。
「だがエスタ街道イラへの道が完成した3年後のエスタ暦1233年に、このイラへの道を使って、イラワルドのクリルタイ主国が、ヴォツェック大公国に突如侵攻を行って来るんじゃな。まぁヴォツェック大公国はこれを簡単に撃退するのじゃが、この事態がセラワルドでのイラワルドへの警戒心を呼んでしまい、両世界の親交はしばし途絶するんじゃよ」
「噂では、このヴォツェック大公国への侵攻の影には、フェルキア族長国の動きがあるとか聞いたである」
「それはどうかの~。ちょっと飛躍し過ぎと思うんじゃがのう?」
「で、あるか……」
ありゃりゃ逆に侵攻されるってか……。ファーストコンタクトってなかなか上手くいかんもんだね。それにどうも陰謀=族長国の図式が完成してますね、
「クリルタイ主国のヴォツェック大公国侵攻から400年後の、エスタ暦1620年に、ようやくヴォツェック大公国とクリルタイ主国が国交を樹立するんじゃ。この後リジェット魔道国が魔法学校を持つイラワルドのコロンマウト道教国、更にアニウラワルドのラザエニフ王国と国交を樹立するんじゃな。そしてエスタ暦1800年に、ついにエスタリオン神国がイラワルドとアニウラワルドへの“広教教導”を教宣するんじゃな」
国同士の不信感を払拭するのに400年か~。まっ、どっかの女性大統領は1000年恨むとか云ったしね。それに比べるとマトモ? おおお、ついにエスタ教の世界進出宣言ってことですね。でもその先導が魔道だったってのが面白いねぇ。
「この開国の時代の最後の事業が、リジェット魔道国によって5度に渡り行われたウラワルド派遣船団じゃな。ウラワルドへの航海とは、嵐と強い海流、海獣の脅威で正に生死を掛けた大冒険じゃった。この幾度に及ぶ派遣船団の犠牲により比較的安全な航路が見つかったのじゃが、今でもウラワルドとの交易船団の旅はかなり危険なんじゃな。だからウラワルドへの航海は安全の為に季節限定なんじゃ。ウラワルドではパピス
大航海時代じゃないけど、ついに世界は繋がったのかな? う~ん、そうでもないか? でも海獣はまだしも、嵐と海流が難敵って事は、造船技術はまだまだって事ですかね?
「イジュマー先生、ウラワルドとの交易船ってのはどんな船なんですか?」
ちょっとしたこんな素朴な質問に老師
「今も昔もウラワルド交易船と云えば、大きな一枚帆といくつもの櫂を持った、50人程が乗り込む大きな船であるな」
「た、確か風系を使える術使が乗っておるんじゃ……」
「で、あるな。風の凪いだ季節こそが航海は一番安全なのである。そこで風系術を使える者を乗せて進むのである」
おおおお、魔術で進むのか~。でもでも櫂がある船って事は、それって多分低底船だな。しかも帆は一枚なんか~。そんなんでよく外洋に出るな~。そりゃ危険だよ。なんでこんなに長期間の間、船が発達しませんか? もしかして海戦がなかったからか? う~ん、多分それが正解だな……。戦争こそが発明の母か、ちょっと悲しい話だね。確かにこっちにはヨーロッパにおけるイギリス的な国がないから、海戦も渡航貿易も起きないよね。
「このウラワルド、スワジニア氏国でのナハタリ宗院の開校を持って、リジェット・エレリープティクの登場から始まった、魔道の時代・開国の時代は終りとなるんじゃ。そしてエスタ暦1907年に、あの2度目の魔禍が発生するのじゃ……」
おっと、きましたぁ~~~、再びの魔禍ぁぁ、最初の魔禍から1500年振りですね。
「さて、ここまでで一旦休憩じゃな」
「で、あるな。あともう少しである。」
「はい。ありがとうございました」
「「「ガダスシアプ」」」
ここで、いつもの様に空気を察した、カリ姐ぇさんが木製のコップをお盆に載せて颯爽と登場しました。ほんと隙がないな~。
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