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Another World 【胎動編】 ~異世界転生をまじめに考えたらこうなった~  作者: KRN
第Ⅲ章「勉強・勉強・勉強そして勉強」
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1.勉強のお時間 その①【魔法じゃないの? 魔術なの?】

 

 

「「「ガダスシアプ」」」

そうさ、まずは挨拶から全てが始まるんだよ。顔を合わせた3人、自分に老師(イジュマー)さんと古武士(アドバン)さんがお互いに挨拶を交わします。


「よし。坊主、早速始めようかの」

「で、ある」

昨日の面接会場、かつ歓迎会の会場でもあった家の居間が、今度はあっさりと教室へと変貌しています。なんともお手軽な事だ……。さてこうして先生方の歓迎会の翌日から、早速老師(イジュマー)さんと古武士(アドバン)さんによる、勉強会が開始される事になりました。ええ、これで昨日までの生活から、生活スケジュールが一変する事なりました。まぁ簡単に云えば小学校に入学したって事ですね。しかし小学校入学は6歳だから、若干早いな……。それに当面老師(イジュマー)さんと古武士(アドバン)さんは、我が家の客間に泊まる事になったので、ちょっといろいろな意味で窮屈かもね。


 ただし、今ね集落に新しい集会所を作っているので、それができれば二人ともそちらに移るみたいだ。まぁしばらくの辛抱ってことだね。そんでこれからの自分のスケジュールはこんな感じになっています。午前中は、老師(イジュマー)さんと古武士(アドバン)さんによる色々な座学、午後は主に剣術&体力強化って事らしいです。うがっ! 苦手部門の方が多い! でもまず最初はザザっと基礎をやろうって事で集中して座学の予定です。


 ただし集会所が完成するとラウド(10日週)のうち、半分は各集落から遣ってくる自警団の人達への授業が入るので、その日はこちらの方は自習ってことに成るみたいです。えっと、ちなみに日曜とか、そいう定休日はありませんので……。ええ、もともと農家には、お休みなんかはないですからね。お百姓さんには感謝感謝だよね。だからこんなのが当たり前って事なのかな? まぁその為に、季節季節にお祭りみたいな日があるんだけどね。と云う訳でそんな小学生生活が突然幕を明けたって事ですね。




 こーして始まった記念すべき最初の授業ですけど、開口一番老師(イジュマー)さんから、最初に何が聞きたいかと問われたので、“魔法とか魔法とか魔法とか”とリクエストしましたよ。その結果“魔道”が最初の授業のテーマになりました。ん? 魔法じゃないのか?


 居間の長テーブルの椅子の上に立って老師(イジュマー)さんがジットこちらを見詰めております。椅子の上に立っていても、座っている時とその顔の位置はそんなに高くはないですね。うん、つまり背が低い上に座高が高いって事だよな。ホピット(野人)ってのはみんなこうなんかな?


「坊主よいか!」

「集中するである」

「は、はいっ」

うおっ、マズッ、いきなり怒られっちたな……。


「よいか、坊主。魔道とは、即ち魔法・魔術等の仕組み成り立ち、そして精神を理解する事なんじゃ。魔道を知らずして、魔術を使うことは本来有ってはならん事なんじゃ。魔道あっての魔術なんじゃが、どうもこの部分を理解しておらん者が最近は多くて困っておるんじゃ。坊主もこの点をしっかり理解せんといかんぞ。魔道が先で魔術が後じゃ。よいなっ」

「はい。魔道が先で魔術が後ですね」

これが老師(イジュマー)さんによる魔道についての大講義の始まりでした。むむむ、魔法じゃなくて、魔術なんだ?




「魔道というのは、それまで古から伝承されてきていた、各地で“魔法”とか“神法”、“道術”、“魔道”、“修術”、“法術”やら“精霊術”とか云われたものを、整理して体系化・論理化したものじゃ。約1900年前にそれを成し遂げたのが、“大魔法師リジェット・エレリーパティク”じゃよ。だから、かの大魔法師殿が、“魔道の始祖”と呼ばれておるんじゃ」

ほう、大魔法師? ちゃんと魔法って言葉もあるんだね。どうやら魔法と魔術はかなり明確に区別されてる感じがするな。すると老師(イジュマー)さんが、目の前にぶ厚くてかなり使い込まれた感がありありとする、黒皮で丁寧に装訂された本をドンと置きました。


 そう、それはこの世界で始めて見たまともな“本”だったね。なんたって家にある2冊の“本”は、紙とも云えない様な、なんか草を押し延ばしたような粗雑な紙で出来てたし、片面にしか文字はないし、当然表紙もない。ただ文字を書いた紙を糸で綴じましたって云う、お世辞にも“本”とは言い難い様なものだったからね。それに比べると今目の間にあるこれは、まさくし”本”、それも皮装のちょ~立派な本ですよ。


「どうじゃ、これこそが”テゥス・オマジク(ことわりの書)”じゃ。大魔法師リジェット・エレリーパティクの没後、彼の遺した文書、言葉、教え等を300年掛けて編纂した全ての真理を記した書じゃな。よいかここには魔道だけでなく、森羅万象に渡るこの世の全ての真実が記されておるんじゃ。しかもこの”テゥス・オマジク(ことわりの書)”は常に進化しておるんじゃ。ここにあるのは、”テゥス・オマジク(ことわりの書)”の第27版じゃ、わしが第26版に100冊に及ぶ附書と改定書から、1年かけて自らの手で記述、編書したものじゃ。おお、当然ながら魔道国の王立魔道院の認証付きじゃ」

最後の一説はかなり誇り高く宣言していましたね。それにパラパラと愛しむ様にページをめくる老師(イジュマー)さんの姿……、いや~、ほんとに大事にしてるって事が伝わってきますね~。でも全ての真実って……、ブリ○ニカの百科事典ですか?ってかこれ全部手書きすっか? なに? 活版印刷技術まだですか~?


「この”テゥス・オマジク(ことわりの書)”の最初のページ、序章“魔道のことわり”には、リジェット・エレリーパティック自身が直接遺した言葉でこうある。よいか、心して聞くんじゃぞ」

老師(イジュマー)さんが、なにかの皮で丁寧に装訂された黒皮の表紙をゆっくりとめくりました。現れた最初のページには、流暢な美文字で手書きれた達筆な文書が現れ、それを敬々しく読み上げる老師(イジュマー)さん。


「全世界の物質と力は、フェシルの12の素子とボスなる5つの素力から形成される。これを統一のことわりと云うなり。だが我はこのことわりの疇外たる物質と素力が存在する事を解明したり。それこそが暗き物質と第6の素力たる影子である。


 暗き物質とは、存在はするが、光を出さず目に見えず、我らには捉えることすら困難な存在、密かにこの世界を支えている存在、この世の全ての重さの1クオ(1/4)を占める存在である。世界のどこにも存在するが、感知できない暗き物質。この隠遁し寡黙で無力な暗き物質は、第6の素力たる影子もって励起され、その力を顕現させるなり。


 そもそもこの第6の素力たる影子とはなにか? 影子とはこの世に満ち溢れ、この世の全ての力の2グブ(2/3)を占める力である。影子の力とは負の圧力を持ち、反発する力であり、この力こそが(そら)を拡げ続ける力なり。この世そのものを支える影の力なり。そして我らはこの影子を使役する事で、暗き物質を励起し、暗き物質を顕現させし得るなり。


 この影子を使役する力こそが、我らの想念の力である。つまり我らが想念する事で、影子を使役せしめて、暗き物質を励起し、暗き物質を顕現させ力とせんとする事こそが、即ち魔力の発現である。


 顕現されし暗き物質の力は、5つの素力に直接作用し、12の素子の創生・安定・消滅を可能と成せるなり。しかりて影子を使役し、暗き物質を励起し顕現さしめ、5つの素力と12の素子を操る事は、即ち万物を操る事と同意なり。我は、ここに影子を使役せしめる為の知識と術技を記すなり。そは、森羅万象、ありとあらゆる万物の真実へと繋がる事と理解せよ。


 もし汝が魔道を求めんと欲するならば、この書の知識を求め理解せよ。この万物の真実と知識こそが、即ち“魔道” なり。だがまた魔道を究めんとする者は注意喚起せよ。万物を操る力とは、神の力、悪魔の力と同意であり、魔道が神の力となるか、悪魔の力となるかは、即ち汝の心次第なり。そして心せよ。汝の心を操ることは何人にも叶わず、汝は自らの意志で神にも悪魔に成れる事を。常に自らを戒め、律せよ。そして常に汝の心と行いを省みよ」

老師(イジュマー)さん、あの~、目が文字を追っていません、ってか目を瞑ってるし……。ああ、多分暗記してるんですね。そして古武士(アドバン)さんも目を瞑ってますが、こちらは半分居眠りですね。だけどこの内容って……。


「これこそが、全ての真理で、全ての謎で、全ての混沌じゃな。この序章“魔道のことわり”を理解できた者はリジェット・エレリーパティックを除いて一切おらんのじゃよ」

もう一度、テゥス・オマジク(ことわりの書)を覗き込んでゆっくりとその序章の文書を追いかけて見ます。フェシルの12の素子? ボスの5つの素力? 暗き物質? 負の圧力を持ち、反発する力の影子? むむむむ……。それにエレリーパティックって、う~ん、なんだかこれって……。


「坊主、ぬしは字が読めるな」

「で、あるか?」

そんな序章に思わず食いついてる様子をみて、ズバッと言い当てる老師(イジュマー)さん。古武士(アドバン)さんは正直驚いてる感じかな? あっ、思わず頷いてしまったけど、小学校入学前に、こんな難解な文字が読めるってのは、ちょっと不味ったかな。


「どうじゃ、なにか感じるものがあるかの?」

「いえ、わかりませんよ……」

実は引っかかる点は多々あるんですが……。ちょい説明はムズいんですよ。でもなんか、こちらをジッと見詰める老師(イジュマー)さんの視線……。あぅぅそんな目で見ないでください……。そして古武士(アドバン)さんはなにか遠い目してるし……。


「坊主にしろ、奥方にしろ、なかなかに面白味のありそうな一家じゃな……」

お母様が???? なんだよ老師(イジュマー)さん? なにがあるっていうんだよ?


「まっ よかろうて、全て万物にはそれぞれの道があるもんじゃ。全ては宿命であり必然なのじゃよ」

おお、でたな~~~、老師ぽい台詞だぁぁぁぁ。うむ、そしてどうやら文字が読める事はスルーみたいだな~。よかった。






 こうして“真理と謎と混沌”で始まった魔道の授業ですけど、その後の内容は非常に面白かったです。さてそこでまずは、魔法と魔術の違いについてですけど、どうやら魔法ってのはこんな定義らしいですね。


 魔法とは、自然の(のり)に従った原理を想念する事で影子を使役して、暗き物質を励起・顕現させて、12の素子と5つの素力を制御する事。魔法師の純粋な想念、が影子を使役し、暗き物質に伝わるので、暗き物質の励起は強力で12の素子と5つの素力の制御がとても効率的となるらしい。したがって極めて強い魔力が発現できるって事です。この魔法ってのは魔道の始祖たるリジェット・エレリーパティックが初めて発現に成功したらしいよ。


 一方、魔術とは魔道の始祖たるリジェット・エレリーパティックが誕生する以前より、各宗教宗派や民間伝承で伝わってきた魔法、神法、道術、修術、法術やら精霊術やらの総称らしいです。それはこの古代より脈々と伝承され、様式化された呪文とか術式に従って、自然の(のり)に倣って、擬似的に自然の原理を想念する事で影子を使役し暗き物質を励起・顕現せしめて12の素子と5つの素力を制御する事こそが魔術みたいですね。つまり魔術師ってのは実際には自然の(のり)を理解していなので、その想念は純粋なものとは成り得ない。だから影子の使役も完全とは云えなくなり、暗き物質の励起・顕現も不十分となります。従って12の素子と5つの素力の制御は非効率なものなので、強い魔力の発現はできないって事になるらしいね。


 リジェット・エレリーパティックが生まれて“魔道”が確立された事で、魔法と魔術はこんな風に厳密に区別されたらしいよ。ただしね、せっかくこうして確立された“魔法”なんですが、リジェット・エレリーパティックから、数名の高位の直弟子に伝承はされたらしいんですけど、その後その弟子達は魔法を伝承する事ができなかったらしいんですよ。つまり“魔法”ってのはあっさり2代で潰えてしまったって事です。うむむむむ、なんと皮肉な事か……。





 まぁそんな魔法、魔術なんですけど、魔法と魔術の違いってのは、その質に差がある訳で、実際に発現される魔力の中身は同じなんですね。あと、この魔力を発現する事を“発功”って云うそうなんです。だから魔法と魔術で発功できる魔力の内容、つまり術系はまったく同じなんですね。


 魔道では、この発功できる魔力の内容=術系を10系術に大別しているらしいです。その正統10系術って奴こそが、光系術、火系術、爆系術、風系術、雷系術、冷系術、動系術、癒系術、操系術、産系術の10系術(魔法なら10系法)らしい。ああ、そうか、そうか、これがあの“コウ(光)カ(火)フウ(風)レイ(冷)ドウ(動)ユ(癒)ソウ(操)”の正体なのか……。まぁ、大体どんなものかは想像つくけど、動系と操系、産系がよくわからないな?


「イジュマー先生! 術系の中の動系と操系、産系がよくわかりません!」

ちゃんとはいって挙手してから質問してますよ。ええ、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だよね。同じ恥なら聞かぬが損損。ん? 違うかな……?


「うむ。動系とは、物を動かす術系じゃな。操系とは操る事、つまり眠らせたり、動きを操ったり、視界を奪ったりじゃな。産系とは、無から有を生み出す術系じゃが、こいつは失術での、伝える者は久しくおらん」

なるほど、よ~~くわかりました。でもなんか一番凄い、無から有を生み出す術が失術ってのは、なんとも残念ですね~。


「この10系術以外にも、特殊な術系はあるようじゃ。それらは秘匿系術とも云われておるようで、当然わしも詳しくは知らんのじゃ。まぁそれにしても実際は正統10系術の、なんらかの応用じゃな。ああ、秘匿系術で最も有名なものに、プロネ(誓銘術)があるな。そのプロネ(誓銘術)にしても結局は操系術の応用じゃよ」

うんうん、なんにでも例外はあるって事ですね。でも“ぷろね”ってのはなんだろう~?


「“ぷろね”????」

プロネ(誓銘術)とは、ほれ、これの事じゃな」

老師(イジュマー)さんが、すっと中指と人指し指の2本を自分の顎の右下部分に当てる。

「プロトの正のエレの域を短く震わせ、青より更に短き波を顕せ」

うおっ、それ呪文ですか! すると老師(イジュマー)さんの顎下の皮膚の上に、数字と文字が組み合わさった青黒い刺青の様な文様が浮かびあがってきた。おおっ、なんだあれ?


「これを命番顕現と云うのである。イジュマー老の様に操系術を使うか、青ラストン(光石)の光でも顕現は可能であるな」

「坊主の首にも、このプロネ(誓銘術)で命番が身入れされておるんじゃよ」

身入れって……、むむむ、ん? あれか? 赤ん坊の時に、なんか変な爺ぃがこの首の所に触ってなんか呟いていたあれなのか? 思わず自分の首筋を触ってしまう。こっちはてっきり親戚の爺ぃの(まじな)いか、宗教的儀式なんかと思っていたぞ……。あれがプロネ(誓銘術)だったのか、そういえばあの時、ついでに両手の掌紋を紙に取っていたな……。


「命番身入れのプロネ(誓銘術)は、有名な秘匿系術での、魔道国のエレリーパティック家に繋がるある一族のみが伝えてるらしいのぉ。そこで各国から選抜された一部の公民の外功術使が、魔道国まで出向いて身入れのプロネ(誓銘術)を伝授されるようじゃな。逆に命番顕現は、広く公開されており操系術が使える外功術使なら誰でもできる術式じゃよ。まぁ命番の利用方なんかについては、また別の機会に説明しようぞ」

うがっ、今そのあなたの首筋に浮かび上がった“命番”について聞こうと思ったのに、もしかして心とか読めますか? 老師イジュマー!


「それでは、一旦休憩じゃ。ガダスシアプ」

「で、あるな。ガダスシアプ」

「ガダスシアプ。ありがとうございました」

えっと、ここで一旦、休憩となりました。なんか初っ端からいろいろと、深くて気になる部分の多いお話でしたね。ええ、確かにちょっと疲れたかな……。





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