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2.夢か うつつか?

 

 

 んんん~~。スーッと微かに意識と感覚が戻ってきたぁ。う~ん、なが~い夢だったなぁ。いやマジ、マジで……。なんかさ3日位は夢を見ていたって感じだ。そして凄く幸せな夢だったな。でもまぁ夢の時間感覚なんかアテにならないからね。さぁ、それじゃぁ、起きますかぁ。さて今何時かな?


 ん? あれ? なんだ天井の感じがおかしいぞ。ちょっぴり開いた目に飛び込んで来たのは、何故か何年も見続けた病室の染みひとつない真っ白な天井じゃない。今見えている天井は、薄い茶っぽい色の、間違いなく木の板で作られている天井だ。天井板には確りと木目までが見える。うんうん、間違いない、これは木の天井です。夢見てる間に引っ越しでもしたのか? それにしても随分とレトロな感じだな。


 びっくりして思わず身体を起こそうとしたんだけど、なぜだか身体に力が入らない。慌てて首を傾けて、周りを見てみる。まず視界に入って来たのは、すぐ傍にある細い木の棒だった。ん? なんだこれ? え~っとなんだ、なんだ? この棒はなんだ? 思わずその棒に手を伸ばしてみる。えっ、えっ、なんだっ!? 伸ばした自分の手が視界にはいってきたんだけど、それが今まで見慣れた自分の手じゃなくて、ぷっくりとした小さな白い丸い手指なんだ……。


 えっ? どうなってる? どうなってる? でもでも間違いない、そのぷっくりとした小さな白い丸い手が自分の手なんだよ。だって確かに感覚もあるんだから……。うwwwwwあaaaaaa思わずパニックになりそうになった。すると寂しい? 悲しい? 冷たい? そんな不思議な感情がぐぅっと胸に迫ってくる。そして何故だか突然泣き出してしまった。その自分の泣き声が、“うぎゃぁ。うぎゃぁ”と耳朶に響いた。そしてその自分の声が更にパニックを呼び起こすんだ。うあぁぁ、もう泣き声を止められません~。なんだかもう訳わからんよ……。はぁぁ、結局パニックになって、ただただ大声で泣き続けるだけだ……。




 ふぅぅ~~、泣き疲れましたぁ。マジです。マジに泣き疲れたんですよ。こんな体験始めてだよ。なんとか泣き疲れでようやく落ち着いた自分は、もう一度周りの状況確認をする事にしました。えっとまず天井ね。うんやはり木製の天井板だね。よし次は手だ。う~~む、やっぱり小さくて丸くて可愛い手だなぁ~。


 それでこの横にある木の棒は? どうやらこれは木製の柵だね。指先が怪我しないように、表面がスベスベに丁寧に加工された丸い棒でできた柵です。その柵が両サイドを囲っています。そして足の向こうと頭の上側には柵より少し高めの木の板が、バーンと聳え立っております。四方を完全に囲まれ、そしてふかふかの布団? に包まれている自分……、この状態って……。


 うん。つまりこれってベビーベッドだよね。そしてそのベビーベッドで仰向けに横たわっているって事だ。うん、そして間違いなく自分=ベビーって事だね。首も身体もあんまりよく動かないけど、なんとか自分の両手、両足を目視で確認っ! 間違いない思わず頬擦りしたくなるような、我ながら可愛い手足です。そうそしてそれが自分の手足なんです……。


 結論! つまりこれは夢なんだ。そうそうまだ夢の中なんだよ。いやぁ~長い夢だね~。全く早く醒めて欲しいよ。ところで夢って奴は過去の記憶から構築されるって事だったよね。じゃぁこの天井やらベビーベッドやらは、俺の過去の記憶なんかな~? 


 な~んてつらつらと考えていたら、うわっ、いきなり抱きあげられたぞ!


「XYY>>!b%ZZ&#$$$*+」

おお、なんかいい香りに包まれたぞ、凄く和みます。でもなにを云ってるのかは、全くわからないな。しかし自分にはその言葉の内容が大体想像ができましたね。テレパシーでも思念読みでもなんでもないですよ! なぜなら抱き上げて呉れた人が女子で、彼女は俺を抱き上げると、ササッと自分の胸を肌蹴て、その白い豊満なおっぱいに向かって俺の顔を近づけたからだよ。ああ、これは、なんていい夢なんだろう……。




 えっと母乳ってのは牛乳とは全く違いますね。もっともっと濃くて複雑な味です。それになんとも言えない温度なんですよ。そうそうまさに人肌だよね~。嫌いか? 嫌か? いえいえとても素晴らしいです。母乳最高です。至高の飲み物(食べ物?)ですよ~。不思議に心が落ち着くし、お腹も膨れる。マジ母乳最高すっ。感動したですっ!


 あれ? 夢って、ここまでリアルに味とか感じるんか? それにまだ手に残るあの柔らかで暖かな、おっぱいの温もり? マジ夢なら覚めるなって事だが……。あれ? あれ? なんだか混乱してきたぞ……。そしてお腹が膨らんだ自分は、その膨よかで温かい豊乳の中に抱かれながら、優しく左右に揺らせれている内に、夢見心地のまま、また意識を失っていった……。




 うう~~ん、おっと目が醒めました。今度こそは本当に目が醒めたかな? ほう、いつの間にかベッドに戻っているみたいだね。では、またまた天井を睨みつけてみようか。そこに在るのは……、むっ、やっぱり木の板の天井だな。夢の中で寝て、また夢の中に起きるなんてあるんか? ん? なんかお尻の当たりの感触がなんか変だ……。


「XYY>>!D&WA#&?*++#LM\\$*+」

先ほどのおっぱい女子が、再び意味不明な言葉を発するが、今回もまた自分はその発言内容が大体想像ができました。なぜならその女子が俺の下腹部を覆うパンツの様なものを手早く脱がすと、間違いのないあの臭いが辺りに漂ったからだ……。食事中の方申し訳ありません……。でもマジこれってホントに夢なの?






 猫耳だっ! 猫耳ですよ! 大事な事ですから、もう1回言います。猫耳ですっ! 猫耳カチューシャとかじゃない。正真正銘の猫耳だよ。うwwwwなんかピクピク動いてるしぃ~。うん、これでもう間違いない、これは絶対夢ですね。よかったぁ、やっぱり夢だったんだなぁ。安心したなぁ~。


 シンプルな麻の上着にブラウンの長めのスカートをきちんと着込んだ、ひとりの猫耳の女子が、今まで自分の面倒を見て呉れていたおっぱい女子さんに向かってお辞儀をしながら、あの意味不明の言葉で、なんか話をしています。当然意味は判りませんがそんな夢の様な、ん? 夢だから当然なのか? 夢の様な風景をぼ~っと眺めていると、急に下半身になにかを催して来る感覚が襲ってきました。だが悲しいかな、この下半身の随意筋が、随意筋のくせに何も云うことを聞いて呉れないのだ。そして直ぐに下半身が生暖かい感触に包まれていく……。なんだかホッとしたのも束の間で、直ぐになんとも悲しくて寂しい感情がぐわぁっと胸に湧き上がってくる。


“うぐぅぅ。うぁぁっぁ。うっぎゃぁ、うぎゃぁ”

どうも感情の表現方法として泣くことしかできないこの存在は、今の自分のちょっとした理性なんかでは、感情の起伏を抑えようがないみたいです。するとその猫耳の女子が“XYY>>!;F”とか何んとか叫びながら、優しい微笑みを浮べこちらにすすっと近づいてきました。嫌っ。辞めてぇぇ。お願いっ辱めないでくれぇ~。夢なら今直ぐに覚めてくれぇぇぇ!


 あっ。指の爪は猫爪じゃないんだ。ふと猫耳女子の指先を見ながら冷静に考えた自分が、ちょっと憎らしかったです。


 でも牢獄(病室)の中に居ながらにして、新しい牢獄ベビーベッドに居る夢を観るなんて、自分ってどんだけ牢獄好きなんかな……。これって新しい発見だな。





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