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9.なぜ僕は存在するか

 

 

 先生達の歓迎レセプションも終わり、自分の部屋の固めのベッドの上で横になりながら、頭上を走るごつごつした丸太の梁を見つめながら、ちょっと考え込む。


“つまり、なぜ僕は存在するか? ですか?”

お昼の面接で、自分の云った言葉が、なぜか頭に引っかかる。


 自分としてはこっちに来てもう5年以上経っているんで、もうこちらの世界で生きていく決心は出来ている。もし誰かに、元の世界に戻る? って問われたなら、即座に拒否るね。あっちの母さんには悪いけど、あの監獄(病室)に戻る位なら、100%こっちがいい。ってか、既に自分はギルナス・ヴェルウントなんだ。お母様や親父殿を愛してるし、カリ姐ぇさんとも家族なんだ。ここが自分の居場所なんだ。この事実に一切の疑念は感じないし、その自信に僅かたりとも揺るぎはないぞ。


 でもそんな上でも考えてしまう……。自分の存在理由。マジそれってのはなんなんだ? ってか、自分はそもそもなんで、ここに存在してるんだ?


 転生とか生まれ変わりって話は、確かに無くはないよね? でもこちらに来るときに女神様とかには一切会ってない。それに変な夢とか見ていないし、召喚した人もいないようだ。う~ん、一体転生ってのは、なんなんだろう?


 転生って云えばダライ・ラマとかは割りと有名な話だよね。あれって確か前世の記憶を持ってるって話だったな。うん所謂、輪廻転生だな。


 輪廻転生かぁ~~、でもね、多分自分、生物学的にホモ・サピエンスじゃないと思うんだ。自分の身体を色々と触ったりして調べた結果、いくつかホモ・サピエンスとは明らかに身体的特徴で違う部分がある。例えば鎖骨が2段構造になってる事や、心臓の位置が左側で無い事。それに肋骨の本数が明らかに多いんだ。たぶんこれってのは自分だけが、特別って訳じゃないと思うんだね。


 そして耳朶がなくて先が尖った耳の形だね。お母様も親父殿も、同じ様な耳の形をしている。この耳の形からホモ・バルカニア? かと思った事もあったけど、血の色は赤いからそれも違うって事だね。


 更にはどうやら歯は、抜けても何度何度も生えてくるらしい。おいお前はサメかって話だよ。まぁ便利でいいけどさ。でもこの世界の歯医者さんは、商売上がったりって事だね。これらの事から考えると、外見的には、この世界のヒト族は、ホモ・サピエンスにかなり似てる気はするけど、似て非なる存在だろうって事だ。DNAとか比べてみたいかど、ホモ・サピエンスのDNAサンプルがないから比較できんな。残念だ。


 その上、ここって間違いなく地球じゃない。なんたって太陽が西から登って来るって事は、公転方向が逆ってことだよね? いや自転方向かな? まっ、どっちにしろ地球じゃないって事だね。それに空には月がふたつあるしね~。


 更に云うとだ、自分としては、多分ここはあっちとは同一の宇宙ですらないんじゃないかと思っているんだ。きっとどこか基本的な物理法則が違っているんじゃないかな。次元的には3次元みたいだけど、なんか別の宇宙ぽい。巨大望遠鏡があれば、きっと宇宙年齢とかアッチとは違ってるのを証明できるんじゃないかと思ってるんだ。


 だってそうじゃないと魔法とかきっと成立しないよね……。でも逆に万有引力の法則だとか、E=mc2 とか、光速が最速とか、エネルギー保存の法則とか、熱力学の法則とかはおんなじなんだろう。じゃないと一般的な物理現象がぐちゃぐちゃになるからね。ええ、こっちでもきちんと林檎は下に落ちるよ。多分大統一場理論の基本式のどこかが、ちょっとだけ違うんじゃないかな……。


 さて、そんな違う種、違う惑星、違う宇宙にたまたま輪廻転生とか絶対しないよね? ええ、さすがにそこまで能天気じゃないですよ。だってこっちには仏教とかなさそうだし。これってきっと絶対になんかの理由や目的があるはずだよ。それは100%間違いない……。でも残念ながら、それって今考えても仕方ないと思うんだ。そうそう、わかりっこないからね。だって調べようにもな~んにも出来ないし……。


 と云う事で、“自分はそもそもなんで存在してるんだ? なんで転生したのか?”って疑問、これは、なんらかの意思、理由、目的があると確信してるんだけど、なんらかの新情報が入手されるまで、その解明については当面保留としよう。うん、あんまり哲学論争に入り込んでもいい事ないからね。


 じゃぁ次! 自分は確かにこの世界に存在してる。ではその存在理由はなんだろう? ああ、これってのがさっきの正道問答だな。


 老師(イジュマー)さんが云った言葉は、“ただ生きる為だけではなく、この存在はなんらかの目的の為に生きているんじゃと考えた訳じゃよ。そしてその目的を考え、実践し、究める事が正道じゃな”だな。


 そして、古武士(アドバン)さんが云ったのは、“自己の信じるべき事の基準とでも言うべきか、物事を決断する場合の判断基準であるな。その基準を整理し明示し究める事が正道である”だったな。


 つまり……、それは……、結局は自分で考えろって事だよね。そうそう、そもそも答えなんかはないんだよ、これってのは、人類の永遠の課題さ。ほんとは唯一の解答があると嬉しいんだけど、きっとそんなのはないんだと思うんだ。その答えってのはその時、その場、その人で様々に違うんじゃないか? なんかそれって逃げかもしんないけどね。自分的にはそれはそれでいいと思えるんだ。




 え~、そーすると、今の自分の場合はど~なんだ? 今自分は5歳の子供だ。そして外の世界は想像以上に危険で、正直云うと自分の命すら、自分自身では充分に守る事ができない。ほんとに先日は危うくあっさりと、サラニム(野馬)に殺される所だったしね。


 一方自分の回りの大事な人達、お母様、親父殿、カリ姐さんなんかは、みんな自分より強くてこの世界に適応出来てる。じゃぁ自分の大事な人達、お母様、親父殿、カリ姐さんに今の自分が出来る事はなんだ? それってのはきっと自分が健康に成長する事だろうな。


 つまり、まず自分の命を守って生きて行く事、これが自分の今の第一目的なんだろうな。うん、死んで花実の咲くものかだよね。まぁ、生物(いきもの)なんだから“命を守って生きて行く”は基本なんだけど、そうだね今の自分はあえてこれを中心にして行くしかできないな~。よしっ、当面は“命大事に”だな。


 よしっ、じゃぁ次! “命を守って生きて行く”為にはど~するかだな。まずは知識を吸収しよう。今持っているあっちの知識の何が、こっちでは有効なのか? それを知る為にもこの世界の知識がなきゃ仕方ないからね。それにまだ知らない知識で、こっちで生きていくの有効なものは、とーぜん一杯ありそうだしね。例えば魔法とか、魔法とか、魔法とかね。それにこの世界の社会の有り様や仕組みも知らなきゃ、普通に生きていけないよ。


 そしてあんまり好きではないけど、並行して体力とか剣とかの方面も必要なんだろう。なんといってもここは基本、剣と魔法の世界なんだから。必要最低限の準備はいるんだろうな。まっ、一生カリ姐ぇさんに守って貰いながら生きて行く訳にはいかんしな~。


 つまりは、いろいろな知識を吸収しながら、体力を向上させて行くって事だな……。ん? ってか、これって普通の子供が普通にやるべき事だよね? あれっ、こんな普通の結論に至るまでに、ここまで考えないと駄目なのか? なんだこれ?


「ぷっ、あはははは」

なんか思わず吹き出してしまった。まぁ、意外にこんなもんかな? でも、すっごく気分が軽くなったぞ。さぁ寝よう、寝よう、いよいよ明日からはついに勉強が始まるんだ!






第Ⅱ章「人生(旅)の仲間達」 完




 

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