第二号 あいさつ
私の燃料補給の方法は、食べることと寝ること、そして遊ぶことです
履歴書
名前 中神 魔子 (なかがみ まこ)
性別 女
年齢 499歳7ヶ月
学歴 帝都立特殊教育学校 卒業
職歴 帝都軍偵察部隊「影」隊長補佐
資格 射撃検定一級
特技・趣味 読書(聖書) 暗殺
一言 なし
何かの冗談だろうと思った。
「ハイ、これ明日から来ることになった魔子ちゃんね。キミが担当だからよろしく頼んだよ」
店長から渡された新人アルバイトの履歴書。
いろいろとおかしい…
そう、おかしいのだ。年齢から学歴職歴に至るまで、中学生並の落書きかと思ってしまう。
あの、と僕が声をあげる瞬間に店長は続けて言う。
「最近の子はさ、面白さというか変化がないでしょ。並列というか、ずば抜けてる感がないというか。だけどこの子は違う。面接をしてみて思ったことがあるけど、この子はなにか光るものを持っているよ、店長の俺が言うから間違いない。だから採用した。質問は受け付けない。以上」
「は、はぁ。頑張ります」
店長の性格はここ三年間でだいたい把握してきた。自分で決めたことは曲げないし、たとえそれが間違っていたとしても彼の場合”答え”のほうをねじ曲げ自らを正解とする。
そのような性格であるから、逆らわないほうが身のためなのである。
ともかく自分にも部下というか下(後輩)ができるのは嬉しい。しかし半面、責任というか上司・先輩 としての威厳も問われてくる。
せめて嫌われないようにしないとな、女の子だし気まずくなるのだけは避けよう
聞きたいことは山ほどある。確かにこの履歴書を見ると彼女に興味が湧いてくる。
よし、やっぱり最初が肝心だからな。気になったことを聞こう
「ちょっといくつか質問していいかな」
僕は出来る限りの微笑みをうかべた。
「な、なんでもどうぞ」
そういうと中神は僕の顔を見上げながらなぜか敬礼をした。
「どこに住んでるの?」
「え、えっと…」
………
……
…
し、しまった。いきなりなんて質問しているんだ僕は!?
初対面の女の子にいきなり住所を聞くとは、どれだけハイスペック仕様なのだろうか。
確かに中神は可愛いし、僕としてもテンションが上がったのは否めないが、しかしストレートだよ。直球だよ。ど真ん中150kmだよ。
「えっと、ここの交差点を右に曲がったとこにある公園です」
「公園? ホームレス?」
いくらなんでもその返しはなかっただろ自分。
「はぃ…家はないです」
それから僕たちは5分ほどお互いの顔を見つめ合った
上杉 男 自宅出勤
中神魔子 女 公園出勤




