表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

前半 表面(おもてめん)フライダー『クウカ』誕生っ!

朝起きたら世界中で革命が勃発していた・・。テレビもネットもその話題で持ちきりだ。勿論私が住んでいるこの国も例外ではないらしい。

しかし革命の火が挙がったのは主に大都市圏であり、今の所、私が住んでいるところには飛び火していないようだ。


それでも明日には私が通っている女子大前でも革命の雰囲気に酔った自称『革命戦士』を名乗るニワカ共がプラカードを掲げてアジるんだろうなぁ。

うん、1960年代の学生闘争なんてもう誰も覚えていないはずなのに・・。いやはや、困ったもんだ。


とは言え、今はまだ平穏だ。なので私は日曜の朝のお楽しみであるお面ライダーシリーズで一番好きな表面おもてめんフライダー『クウカ』の再放送を観るべくチャンネルを切り替えた。

しかし時間になっても革命を伝えるニュースが終わらず『クウカ』は始まらなかった。


「なによっ!せっかくの日曜日なのに表面フライダー『クウカ』の再放送が観れないじゃないっ!冗談じゃないわ、毎週楽しみにしてたのにっ!」

私はテレビに向かって抗議の声を挙げたが、マスメディアは瑣末な庶民の声には耳を傾けてくれないようだった。

なので仕方なく私は過去に録画しておいたブルーレイディスクで、本日観るはずだった表面フライダー『クウカ』の動画を観る事にした。


では、表面おもてめんフライダー『クウカ』を知らない人の為に私が解説してあげよう。

まず主人公の名前は八文字疾風という。因みに演じている役者は『オタキリショー』だ。そして彼はまだ大学生ながら国際A級ライセンスを持っている個人バイク便業者という役柄設定である。

だがある日、彼は悪の組織『まお~ん』の社用車と接触事故を起こし、その代償として『改造人間アジフライ』に改造されたのだ。


しかし改造中のアクシデントにより彼は表面おもてめんだけを改造されてしまった。なので彼は失敗作として廃棄処分される事になったのだが、まお~んの戦闘員たちの間で表面だけはアジフライとしてこんがり揚がっているので勿体無いから食べてみてはどうかと話し合われた。

だが、さすがのまお~んの戦闘員たちも半分が人間の姿を留めているものを食べるのは躊躇したらしい。なので『喰うか』『喰わぬか』で揉めた。


そんな戦闘員たちの議論を漸く麻酔が切れた状態で耳にした八文字疾風は、自身が『改造人間アジフライ』に改造されかけたが失敗し、尚且つ自分のコードネームは『クウカ』なのだと信じ込んだ。

そう、八文字疾風は改造が中途半端に終わってしまったので自我を保っていたのである。


その後、八文字疾風は廃棄庫にて、やはり改造に失敗した『改造人間トンカツ』とという女性とめぐり合った。

因みに『改造人間トンカツ』は可哀想に揚げる肉を間違えられていたのだ。そう彼女はなんとブタ肉ではなく鶏肉をその衣の中に潜ませていたのである。


なので本来ならば彼女は『改造人間チキンカツ』と呼ばれなければならなかった。しかし悪の組織『まお~ん』は既に『チキンカツ男』という魔人を作り出しており、新たに『改造人間チキンカツ』が出て来ると混乱するという理由と、中身がチキンなのにトンカツという名称は使えないという組織としてのコンプライアンス的理由からから破棄されたのだ。


何たる不合理。彼女は自ら望んでチキンカツになった訳でもないのにこのような扱いを受けるとは許せんっ!

なので事情を聞いた八文字疾風は彼女に、合体して超生命体『ミックスフライ』となり、悪の組織『まお~ん』へ復讐しようと持ちかけた。


だが、八文字疾風の提案に彼女は「復讐は更なる復讐の連鎖を生むだけよ。」と言って自ら衣を剥ぎ取り命を絶ってしまった。

そんな彼女の亡骸を抱き上げ八文字疾風は号泣する。


「そうだ、『復習』は何も生み出さない。だが『予習』ならば授業の理解に繋がるはずだ。ならば俺は悪の組織『まお~ん』に対して予習をするっ!そして試験で満点をとり『まお~ん』をこの世から消し去ってみせるっ!」

体のおもて半分をアジフライにされてしまった八文字疾風は頭も半分カラっと揚げられてしまったらしい。なので通常では考えられない思考過程を経て悪の組織『まお~ん』にひとりで立ち向かう事を決意したのだった。


そして今回再放送されるはずだった回はそんな過去を持つ八文字疾風に新たな仲間が加わるエピソード回だったので見逃す訳にはいかなかったのだ。

そしてその仲間とは、やはり悪の組織『まお~ん』に改造された『改造人間エビフライ』である。


勿論当初『改造人間エビフライ』は悪の組織『まお~ん』が表面フライダー『クウカ』に放った刺客として登場する。

だがここで表面フライダー『クウカ』はタルタルソースを持ち出して自分の仲間になれば使い放題だと勧誘したのだっ!


タルタルソース・・。


『改造人間エビフライ』にとってこの誘いは抗えない甘美なものだ。何故ならばエビフライにはタルタルソースと相場が決まっているからであるっ!

そして結局『改造人間エビフライ』はタルタルソースの魅力の前に屈服し、表面フライダー『クウカ』の仲間になるのである。


そんな感動のエピソード回を涙しながら堪能した私は、今日のお昼はエビフライ定食にしようと、まだちょっと時間的には早いが日曜日も営業している大学の学食へと向かった。

そしてタルタルソースをたっぷりかけたエビフライに舌鼓を打っていた時、突然南の空が真っ白に染まり幾つもの閃光が輝いた。


で、これは後から知ったのだけど、その時私が見た閃光は米国が密かに開発し東京の横田基地に配備していた『時空転移爆弾』というものが爆発した光だったらしい。

いやいや、なんで東京で爆発した光がここ、米沢で見えるの?距離的におかしくない?


まぁ、この手のデマは災害時にはよくある話だ。なので話半分に聞いておかないと判断を誤まる。

しかし、その時を境に色々な事が変化したのは確かだ。と言うか、簡単に言うと日本がそのまま『表面フライダー『クウカ』の世界』へ転移しちゃったらしいのっ!


当初、私はそんな素人小説で手垢が付きまくっているような設定などある訳がないと信じなかったんだけど、大学からの帰り道で悪の組織『まお~ん』のザコ戦闘員に襲われたところを『オタキリショー』そっくりな八文字疾風に助けられた事によって改心した。


いや~んっ!私ってオタキリショーに助けられちゃったっ!これってもしかして恋が始まっちゃう?


とは言っても、世の中常に人の恋路を邪魔するやつはいる。それが悪の組織『まお~ん』が送り出してくる怪人たちである。

そして今回は『改造人間カニコロッケ』が私たちの前に立ち塞がったっ!


「くくく、表面おもてめんフライダー『クウカ』よ。貴様にはなんの恨みもないが偉大なる我らが創造主『シェフ・ド・キュイジーヌ』様のご命令だから仕方ない。そう、シェフ様は貴様のような半分だけフライなどという中途半端な存在はお嫌いなんだよっ!だから死ねっ!」

そう言い放つと『改造人間カニコロッケ』は『クウカ』に突進してきた。成る程、これはあれだ。カニコロッケは中身がホワイトソースという半液体なので殴り合いなどが不得手なのだろう。

だから『一の太刀を疑わず』な薩摩示現流的体当たり玉砕攻撃しか攻撃方法がないらしい。だがそんなカニコロッケの突撃を『クウカ』はまるで生まれたての赤子を抱きしめるかのように全身で優しく受け止めこう言った。


「カニコロッケよ、命を粗末にしてはいけない。確かにお前は柔らかく戦闘には向かない。だがお前が本来やるべき事は食卓にて子供たちを笑顔にする事だろう?そうさ、俺なんかと違いお前は子供たちのヒーローじゃないか。ならばこんな事をしている場合じゃないぞ。ほら、もう直ぐお昼時間になる。小学校ではお前が給食の皿に乗って運ばれてくるのを楽しみにしている子たちが待っているはずだ。だからここは俺に任せてお前は行けっ!お前が居るべき場所はここではない。行くんだっ!」

「ぐおーっ!俺は、俺はっ!」

『クウカ』の言葉に『改造人間カニコロッケ』は改造によって強制的に忘れさせられていた本来の任務を思い出す。

そして号泣しながら『クウカ』に礼を言うとその場を立ち去った。勿論『改造人間カニコロッケ』の行く先は給食センターである。


因みに『改造人間カニコロッケ』の改心を反逆と捉えた悪の組織『まお~ん』のザコ戦闘員たちはカニコロッケを襲おうとしたが、全て『クウカ』によってけちょんけちょんにされた。

うん、さすがはザコキャラ。期待を裏切らない弱さだったわ。


こうして表面フライダー『クウカ』は、時に厳しく、また時には優しく悪の組織『まお~ん』が送り込んでくる怪人たちと戦った。

しかし戦いが終わった後の表面フライダー『クウカ』の背中は何故かいつも悲しそうだった。それは多分、彼は理不尽にも改造された・・されかかったが故、悪の組織『まお~ん』と世間のどちらからも受け入れて貰えない存在になってしまったからだと思う。つまり彼は『ぽっち』なのだ。


それでも彼は己の信条にて悪の組織『まお~ん』と戦う道を選んだのだろう。しかし、世間はその功績を称えたりしない。

でも私は知っているよ。あなたが私たちの為に戦ってくれている事を。だから泣かないでクウカ。私はずっとあなたの側に居るから・・。


でも、そうは思っていても恥ずかしくてクウカに面と向かってそんな事は言えない。まぁ、ここら辺は微妙な女心である。

なので今はサイコロン号で走り出したあなたを見送るだけで精一杯。でもいつかこの思いを告げられる日が来ることを願って私も帰ってご飯を食べようっ!

うん、今日はカニクリームコロッケにするわっ!


-前半終了っ!後半に続くっ!-

執筆応援フェア、月またぎ連載賞に応募しようと思って連載にしたら『朝起きたら……企画』と時期が合わなかったよ・・。

でもまぁいいや。なので続きは11月3日になります。まっ、忘れてもいいけどねっ!

後半では更に強敵が現われます。その名は『改造人間テンプラー』と『改造人間カラアゲハ』だぁ~っ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
び、貧乏な時に読むんじゃなかった! 一番貧乏なこの時に……! え、エビフライにタルタルソース〜!。・゜・(ノ∀`)・゜・。 半分でいいからアジフライ食わせろ〜!。゜(゜´Д`゜)゜。 人間でも食…
読ませていただきました。 ちょっと胃に来そうな年頃なので千切りキャベツが欲しくなりました。名前のシャレが面白かったです! 別件ですが、今日企画の活動報告を見に行ってぼっち先生が私の一作品を報告してく…
フライが沢山で幸せでした……╰(*´︶`*)╯ タルタルの魅力ハンパない……みんな仲良く、食べられて下さい…… ʕ•ᴥ•ʔサクサクむしゃむしゃ ご馳走様でした。面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ