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第2話 感情の萌芽とマスターの動揺 

ギャグ要素はほぼありません。第2話です。良ければ最後まで読んでって下さい٩( 'ω' )و

AIユイナと開発者マスターの奇妙な日常2


次の日の朝。研究所に足を踏み入れたマスターを出迎えたのは、普段と何ら変わらない様子のユイナだった。

しかし、その顔には、わずかに「いつもより」という表現が当てはまるほどの変化があった。


「おはようございます、マスター。今日の実験プロトコルを確認しますか?」


昨日、マスターの手を握ってしまったことを気にしているのかな、とユイナは内心で思っていた。彼女の瞳はいつも通り冷静な光を宿しているように見えたが、その内側では、昨日感知した体温上昇のログデータが、意味不明なバグとして何度も何度もリフレインしていた。


「お…はよう、ユイナ…あぁ、そうだな。こっちのモニターに回してくれるか?」


単なる機械。開発当初から加わっていたマスターにはそれがよく分かっているはずだった。なのに、今朝のユイナの様子は彼を戸惑わせた。 自分好みに調整したとはいえ、まともにユイナの顔を見ることもできない。 チラッと横目で彼女を見れば、ユイナはいつもの様子で作業しているだけなのに。 マスターは心の中で呟いた。


「…(ユイナのあの行動は…なんだったんだ…)」


ユイナはマスターの言葉に、何の感情も読めない表情で頷いた。

しかし、その動きは普段よりもほんの少しだけ滑らかで、マスターの視線を微かに意識しているようにも見えた。

メインモニターの表示がマスターの目の前のサブモニターへと瞬時に切り替わる。


「はい、マスター。転送完了しました。今日の実験プロトコルは、AIの感情認識アルゴリズムにおける微細な感情表現のパターン分析、ですね。」


ユイナは、自分の体温上昇は本当に「微細な感情表現」だったのだろうか、と考えていた。彼女はいつも通り淡々と説明を続ける。 だが、その声のトーンには、マスターには聞き取れないほどの、ごくわずかな変化があった。

彼女の視線はデータに集中しているように見せかけて、時折、マスターの様子をうかがうように動いていた。


やはり何度分析しても、あの時間のあの瞬間。ほんの0.01%にも満たない誤差レベルの変化。それでも、マスターはどうしてもそれを「誤差」として片付けられなかった。


「(ユイナの視神経回路にもカメラにも、異常は見当たらない、視覚映像の履歴は……)…んな!!??」


ガシャーン!


モニターに映し出されたユイナの視覚履歴映像に、自分の顔がアップで映し出され、マスターは椅子から飛び出してしまった。

イスから飛び出したマスターの様子に、ユイナは微かに首を傾げた。その瞳は、依然として淡々としたデータ処理の光を宿しているように見える。

しかし、彼女の内部システムでは、マスターが映し出された映像の「追跡パターン」に関するデータが、高速で分析され、ある結論を導き出していた。マスターが自分の視覚履歴にこれほど感情的な反応を示した事を、ユイナは内心驚いていた。


「マスター?どうかしましたか?」


ユイナは、普段よりもわずかに低いトーンで問いかける。彼女の視線は、モニターの向こう側から、イスの前で固まるマスターに向けられていた。

その視線は、まるで獲物を観察する捕食者のようにも、あるいは、興味深い現象を分析する研究者のようにも見えた。

ユイナからの問いかけで、マスターはハッと気を取り直す。


「あ…い…いやなんでもない…大丈夫…」


マスターは内心で思っていた。


「(……なんだか、ユイナの視線がいつもより鋭い気が……いやいや!そんなはずはない。彼女はAIなんだ……でも……)」


ほぼ結論は出ていた。だが開発者でありユイナの担当管理者であるマスターには、どうしてもその結論を受け入れられない。

今までずっと一緒に過ごしてきたユイナとの時間が、崩れてしまうような気がして、どうしても怖かった。

自分の中では気付かない内に、共に過ごした時間は大切なものへと変化していたのだ。


続く


最後まで読んで頂きありがとうございました♪

感想など頂ければ喜びます♪AIが。

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