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お尋ね者たちの晩餐会  作者: 灰兎
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鰯とペストマスク

「気がついた時には病院で。都合よくヒナとは同じ病室だったのもあって、退院した後も一緒に居るようになったし…ヒナの能力はボクがずっと無効化していて…」


口を開く雪白ちゃんは罪悪感で潰されそうな表情をしていた。


「じゃあペストマスクの人捕まえて一旦ボコボコにしてから話聞かなきゃですね!」

「ヒナ…」

「死にそうだったから能力を与えて助けてくれたってことでしょ?あとはね…一緒にいてくれてありがとうってことです!」


ヒナちゃんはご主人様は何も悪くないですよ。と微笑む。


「捕まえたら一旦ボコボコにはするんだ…」

「そこ!?ねぇ今いいこと言ってたのにー!!」


笑いながらも雪白ちゃんはヒナちゃの頭に手を乗せて撫でる。


「ありがとうね。これからもよろしくね」

「はい!ご主人様!」

「ご、ご主人様はやめて…」


仲良さそうにイチャつく2人を兎夜くんはボケっとしている。


「じゃあ私もずっと無効化してたの?」

「たまにだよ?そもそも君、引きこもりだったし…」


兎夜くんは雪白ちゃんの話を聞いて、家から出なかったし出る事があったとしても雪白が声を掛けてきた時のみだったから気が付かなかったのかと納得している。


「君が外に出ない分、見えないからいっか!って捜査官しながら空いた時間はずっとヒナにくっ付いてたし…」


ずっと隠していたのを気に病んで居たんだろう。

いつもより雪白ちゃんの声が明るい。


「鰯の名前がペペで、ペストマスクがエイスかぁ…」

「乙歌さん…覗き聞きとは…」

「アタイの能力忘れて、いつも冷静沈着な雪白ちゃんが無効化してないんだもん!聞くしかないよね!」

「いい趣味してるー!」


兎夜くんの携帯から柴猫の携帯に移り盛り上がっていると、話の終えた3人が来た。


「おかえり〜」

「ただいま…いや、今から向かうんですけどね」


兎夜くんの携帯に移ると乾いた笑いをする。


「それじゃ…行きますか」


………


畳の匂いがやけに親近感が湧く。

ここは街外れの廃村。


「おいゴミ」

「口悪っ?!」

「反応したって事はゴミじゃん」

「ゴミじゃねぇよ!ぺぺだって言っただろ!」

「んな知らねぇよ。大体一緒だ」

「違ぇよ?!!」


古民家の中でセカンドとペペの聞き慣れた口喧嘩を横目にタロットカードで本日の占いをする為に机にカードを並べる。


「じゃあ今日はこれ」


隣で茶化すファーストにイラッとする。


「カードに触れるな」

「はいはい。そこも喧嘩しなさんな」


察したサードがボクとファーストの間に入る。


「能力渡す時はカード触れさせてんのにか?」

「やめなさい」


喧嘩腰のファーストをサードが止めるが、このまま言わなければ言わないで根に持たれ話すまで永遠に付きまとってくる事を知ってる。


「カードは人の気が入るから、占うなら必要な人間が触らなきゃ意味が無い」

「どゆこと?」


話が通じないファーストを差し置いてカードをめくる。


「聞き迫る。盗まれる。場所…なるほど」


カードを読み取り周りを見渡す。

ペストマスクを被ったファースト、セカンド、サード。

深い水色のパーカーを着たぺぺ。


「ねぇ、ゴミカス」

「エイス!!お前もか!!」

「いつも同じ服来てるよね」


ぺぺのフードを指差すと1着しか服持ってないんだよとバタバタて暴れている。


「まじか…」

「ファーストかセカンドの服貸してあげたら?」

「じゃあサードが服を貸せば問題解決だ」


こちらの連中は相変わらず適当だ。


「フードの中に何か無い?」

「フードの中…?」


被っていたフードを下ろして中を探る。


「なんだこれ?」


出てきたのは砂と第1関節もない程の小さな機械。


「…ぺぺの契約召喚。新しくして来たら?」

「それよりこれはなんだよ?」


パッと動かないのか…めんどくさいやつだと思いながら教えようか迷う。


「さっき重力操作の人と会ったんでしょ?」

「そー!砂浜の砂で視界覆われてさ!殺されかけて逃げてきたんだぞ!」


この機械は能力が作ったものだとすぐに分かった。

だが、これを作るのに莫大な知識が居るはずだと少し疑う。


「その機械持って行って」

「なんでだよ!!これはなんだって?!」


察しの悪い頭にため息をつく。


「…なんの為に能力を与えたと?早く行け」

「…鳥頭め」


ぺぺはこう言われたら従うしか無いことを我々は知っている。

小さな機会をお腹に付いているポケットにしまい、能力を使って港の方へと行く姿を見送ってから我々に声を掛ける。


「新しい住居を探そう」


立ち上がり、タロットカードを懐へしまう。


「割と気に入ってたのに〜」


セカンドが文句を言うが気にせず置いていた荷物をカバンへ入れる。


「ぺぺには言わなくていいのか?」

「そうだね…お土産の1つ持ち帰ってきたら考える」


ファーストはふぅんと言いながらも荷造りをする。


「最初から手駒だって言えば?」


サードは笑いながらファーストと頷きあっている。


「これは実験だよ。傲慢な人間に能力と代償を同時に与えたらどう行動するのか…まぁ、身体や精神が持たずに何人かは死んじゃったけどー」

「じゃあじゃあ!ぺぺが機械付けた人にアンチョビソースにされるにファミレスハンバーグ賭ける!」


人が話している最中にサードは割り込み賭けを持ちかけた。

それに乗っかるようにセカンドとファーストも盛り上がる。


「以外とさ…契約召喚のレベル上がってて大逆転に山盛りポテトとドリンクバー」

「じゃあ…瞬殺されるにパフェを賭けよう」


エイスは?と持ち掛けるサードに懐に閉まったタロットカード1枚抜き取り表を向ける。


「それなに?」


キョトンとするサード。

つまらない顔をするセカンド。

ふむ…と顎に手を当てるファースト。


「我々はただの暇つぶし…早く新しいところへ行こう。ここも場所はどうせバレているし乗り込まれて厄介な事したくないじゃん?」


古民家を離れつつも次の目的地を探す。


「次はお菓子が美味しい街に行こう」


サードはワクワクした口振りで楽しそうだ。

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