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お尋ね者たちの晩餐会  作者: 灰兎
21/27

正義の味方プリン

「しろー」


陽の光が差し込む部屋に紫髪のパッと見ヒロインがこちらを見下ろしている。

見覚えのある紫髪がいつもの一つ縛りではなくツインテールで、レースで着飾った洋服を纏い、女の子より女の子らしい。


「えっと…有珠析さん…?」


これが別世界に来たってことかと思いながら状況の把握をする。


「ん?あー…いつもみたいに『あずりん』でいいよ!」


怖い怖い怖い。

この世界線の有珠析さんがいつもと正反対なんだけど…。


「しろはいつも頑張ってるもんね」


そう言って急におでこをくっ付け出す。

普段の薬品臭い有珠析さんではなくちゃんと可愛い女の子の匂いがするのに脳がバグりそう。


「熱はだいぶ下がったね!みんな呼んでくるから待ってて!」


状況が把握出来ないのですが?と言いかけた時には階段を駆け下りる足音が響いていた。


「朝から騒がしてごめんね」


いきなり声を掛けられ驚きを隠せずに動揺していると茶色の髪に白のぼんぼんで結った女の子がいる。


「とやだよ」


オドオドとしている兎夜くんはなんとなく解釈一致だ。


寝ているのはベット。

隣のサイドテーブルにはコップと体温計。

なんやかで風邪でも引いた…という事なのだろう。


「しろたん!!心配したんだからね!!」


足音と共に抱き着いて来たのは…

エメラルドグリーンが特徴でマッシュヘアに近いショートカットに見せた襟足があるクラゲヘアの…女の子?


「え、誰…ですか…?」

「…?あたしは柴猫!」

「柴猫?!?!」


特殊捜査課イチバカで脳筋の柴猫が小柄で可愛い女の子になっている。


「もう…柴猫ちゃん!しろちゃんは病み上がりなんだから!」


そう言って引き離すのはすこしウェーブの掛かったロングヘアの…。


「戦いで倒れて5日も気を失ってたんだよ。混乱もしちゃうよね…うちはパスタ!」


あ、パスタくんが女の子になるとこうなるんだ。


「おと姉とヒナ姉も戦闘が終わったら来るみたい!」


そう言って微笑むのは…いつもとほぼ姿が変わらない柑奈さん。

この人の性別分からないからどちらでも違和感がない。


「ちょっと混乱してて…状況の説明して欲しいなぁ」


そう言ってみると一気に心配そうな顔を向けられる。


「うちらは魔法少女ホワイト☆マジック!悪の組織ペストンが世界中にばら蒔いた黒く染る悪のエナジーで人間が悪魔化されて、その大暴走を止めるのがお仕事だよ!しろちゃんはペストンに悪魔化させられかけて…うちらでピュアパワーを毎日送ってたんだ!」


長い説明をありがとうパスタ。

…絶対に僕が来る世界線じゃないって事だけわかったよ。


「おと姉とヒナ姉が終わったみたい!」


パスタくんが説明を終えると同時に柑奈さんはそう言って下の階へと降りていく音が聞こえた。


「しろたん!ピュアエナジーで大魔法使い様を呼んでみて!」


有珠析さんはそう言って水色に近い青色のハートが特徴的なステッキを渡してきた。


「大魔法使い様?…おーい。聞こえるー?」


とりあえず杖を振り回しながら言ってみる。


「魔法の呪文唱えなきゃだよ!あずりんに続いて!」


一人称あずりんなんだ。


「大いなる大地の精霊よ」

「お、大いなる大地の精霊よ」


復唱をするが中々恥ずかしい。


「汝との契約によりピュアエナジーを解放する」

「汝との契約により…ピュアエナジーを…解放する」

雪色(せっしょく)の大魔法使い様に注ぐ」

「せ、雪色の…大魔法使い様に、注ぐ」

「輝く(フラワー)の力…ピュア白百合(しらゆり)

「輝くフラワーの力ぁ…ピュアしらゆりぃ」


長くない?と思っていると抱っこしやすそうな大きさのふわふわな生き物が現れた。


「よかったのらぁ!しらゆりぃぃ!!」


現れるや否や抱き着かれふかふかのもふもふでふわふわな物が顔を覆う。


「大魔法使い様!!白百合は起きたばかりなんですから!!」

「し、白百合ばかりズルいのですっ」


顔からもふもふが居なくなると床に着きそうな輝くピンク髪のお姉さんっぽい人と、幼い印象を受けるおかっぱの様な白い髪のショートカットの少女が立っていた。


「ヒナ姉!おと姉!」

「はいはい」

「かなちゃん♡♡」


無邪気に抱き着く柑奈さんを冷たく足らうヒナさんと真逆に甘えさせる乙歌さん。


「んにゃらぁ…ブラークはどこらぁ?」


もふもふの大魔法使い様(仮)はやる気の無さそうに狭い部屋に押し込まれた人の顔を見て言う。


「うるせぇ…俺もぺぺ子もいるつーの」


明らかに態度の悪い話し声は井戸から出てきそうな長く真っ直ぐな黒い髪のブラックさん。

その隣ではフードを深く被りゲーム機を動かしながら何も言わずに頷くぺぺさん。


「おい白百合」

「黒ちゃんダメなのです!白百合は起きたばかりっ」

「どけよ月色(げっしょく)の乙歌」

「黒ちゃんっ!!」


なにやらブラックさんと乙歌さんが揉めている。

気まずいなぁと思っているともふもふが間に入る。


「ブラーク!月色!この大魔法使いの雪白(ましろ)様の前らのに…喧嘩とは良い度胸らなぁ」


このもふもふが雪白なんだ…

よーく見ると羽のない蚕のような見た目をしていて可愛らしい。


「早速らけど…悪魔の暴走が近くにあるのら。リハビリに行くのら!」


そう言って状況が飲み込めていないのに目の前が白く輝き、破壊された瓦礫で埋もれた街中に立っていた。


「さぁ…みんな変身なのらぁぁ!!!」


その声掛けと共にみんながキラキラ輝く。


「悪は絶対に許さないピュアエナジーで浄化!正義の力純白(じゅんぱく)!」


ヒナさんは床に付きそうな髪が三つ編みのおだんごへと変わり、ウエディングドレスのような服がだが胸の真ん中にハートの穴が空いた露出の高い服への変身した。


「唯一無二の月の力…天使に代わって退治するのです!月色(げっしょく)


乙歌さんは月の力らしくそれっぽく月や星の散らばるサスペンダーワンピースの様な服で、ショートカットが腰と同じくらいの長さへと変わった。


「黒に染る夜の力…闇に惑う悪の心を空に還すよ!夜白(はやく)!」


ブラックさんは乙歌さんと似た服装へと変わり、髪型の変化は無く…こう見ると双子のようだ。


「初夏に咲くのあなたの力!卯の(うのはな)!」

「世界を変える鉱石の力!鉛白(えんぱく)!」

「母なる海の裁きを受けろ…海の力…魚吐白(ぎょとはく)


パスタは卯の花らしくスカートや髪に花が散りばめられている。

柑奈さんとぺぺもモチーフがわからないが華麗に変身をする。

柑奈さんは元の世界に似た手袋を付けていて親近感がある。ぺぺのフードはどの世界線でも共通なんだろうな。


「あずりんもとやちも♡」


そう言って有珠析さんは兎夜くんの手を取り踊りだす。


「揺れる想いは正義の力!白菫(しろすみれ)!」

「月の真ん中で踊る兎の力…白兎(はくと)


有珠析さんは花イメージなのだろう。兎夜くんは先程の雪白の様なもふもふの可愛い姿になり、ヒナちゃんの足を登って肩まで辿り着いてマフラーのようになった。


「白百合ぃ?なに見とるのら、早く変身するのら」

「ちょ、恥ずかしい…」

「いつも誰よりノリノリで変身してるのにら?」

「…知りたくないなぁその事実」


癪なことにステッキに文字がうっすらと浮かんでいる。


「あ、あな…あなたの心に1輪の花っ!せ、聖母マリアの力で浄化しますっ!!白百合(しらゆり)!!」


羞恥心と戦いながら変身をして頭にはフードのようなベールがあり、絵画に描かれる聖母マリアの様な姿だ。

服がヒラヒラしている。


「みんな悪魔がくるのら!!戦う準備を!!」


雪白が僕の肩に乗り指差す方向を見てみると、だんだんと腐敗臭が近付いてくる。

自然と鳥肌が立ち、身の危険を感じていると目の前に居るのは幼い可愛い女の子だ。


「ここに居たら危ないよ?」

「白百合ダメなのら!!」


こんな所に居るのは危ないと声を掛けると雪白に身体を押されて転ぶ。


「なにしてるのら!!」


雪白が慌てているのを不思議に思いながらも顔を上げると、幼い女の子は笑いながら姿を変える。


「悪魔は一見普通の人間や天使のような姿をしているのら!!」


そんな常識みたいに言われましても…。


悪魔は女の子の姿を脱皮するかのようにビリビリと破り、腐敗臭と共に皮膚がないほぼ筋肉が剥き出しの何かが現れる。


「…天界に帰れ。ホワイト☆マジック」


さすがにモザイクなしで見る姿では無いので、ステッキに現れた文字を読みサクッと倒す。


「白百合!?」


雪白は困惑しているが、悪魔は四肢が飛び散り息の根も無さそうだ。

悪魔を倒すと空間が捻れている。

多分悪魔を倒した事により元の世界に帰れるのだろう。

この世界線にいるのは羞恥心で頭禿げる。

早く帰ろう。

雪白「魔法の決めゼリフなんかない?魚吐白の思い付かん」

ヒナ「母なる海の裁きを受けよー!とか」

雪白「採用」


こんな形で決まりました笑

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