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4.






何かを生やしたサムが猛スピードでショーンに飛び、二人は転げながら壁にぶつかった。


「おいサム。何をふざけ─」


仰向けで倒れたサムは()()で穴を開けられた喉と、胸から血を吹き出しながら絶命していた。


「「…は?」」


「ヒイッ!!」


ショーンが真っ青になりながら、慌ててサムを退かし離れた。


ちょっと意味分かんない──侵入者!?──あたしとジュドがベッドの方を見ると、侵入者なんか居なかった。そこには立ち上がった状態で、禍々しいまでの黒い刃をした剣を持ち、制服で()()()()を拭くジュドの元婚約者が居るだけだった。



サムはおふざけで飛んだんじゃなく、女に投げ捨てられたんだった。


「な、お、おま、な、」


ジュドは何か問いたいんだろうけど、混乱で上手く言葉が出ないみたい。


ベッドから降りゆっくり歩いてくる元婚約者(人殺し)



一足先に我に返ったショーンが呪文を唱え──るのは許されなかった。元婚約者の投げた剣がショーンの腕を裂く。


「痛い痛い痛いぃい!」


剣は黒い粒子になり、いつの間にか元婚約者の手元で剣に戻った。


「早く魔法撃たなくていいんですか?撃たないと──」



素早くショーンの側に行ったかと思えば、ショーンの片腕と片足が飛んだ。


満面の笑みを浮かべ心底楽しそう。人格変わり過ぎじゃない?──よく考えたら隠してた本性出しただけってやつか。



「あんなに偉そうに魔法自慢してたくせに、この程度で集中出来なくなって魔法使えないとか。」


他人の空似なんかじゃなかったわ。いやだって普通こんなとこに居るって思わないよ!?それに性別だって…


「うわぁあー!うわぁあー!」


おおう…大パニック。ジュドが形振り構わずドアに駆けて行く。


え~…カッコ悪。なんか一気に冷めるわ~



「凪沙 晴臣。」


あたしの呟きに玩具(ショーン)で遊んでた奴がこっちを見た。




「あんた凪沙 晴臣だよね。」


「どちら様?」



凪沙 晴臣──世間を震撼させた凶悪犯。


逮捕され容姿が公になると、美しき殺戮者──なんて呼ばれ、特集すれば視聴率も売上も桁違いで、テレビも雑誌も挙って凪沙を扱ってたものだ。


「あんたなんか若くない?」


凪沙の死刑が間近に迫ってた頃、年齢よりかなり若く見えてたけど、今じゃ未成年にしか見えない。



「僕のこと知ってるんですか?」


「知ってるもなにも──あんた自分が超有名人て自覚ないわけ?」


「…驚いた。知ってる人が居るとか。」


『 』


「ああ、そういう?──なんだろうこの気持ち。まるで黒歴史がバレた気分。言っときますが、僕に黒歴史とかないですからね。」


『 』


「え、キモ。こんな時まで独り言とか。あんた電波でもどっかから受信してんの?怖っ」



「チキショー!開け!開けよ!なんで開かないんだよ!」



さっきからずっと、魔法ぶつけたりドアにぶつかったり椅子で殴ったり、ジュドが外に出ようと必死でマジうるさくて会話の邪魔。


あれ?ショーンが使いものにならなくなったのに、なんで魔法消えてないの?



「自称凄腕魔法使いが信用出来なかったんで、僕が重ねといたんでご安心を。」



あたしの考えを察したように言われた。いやそれ安心の要素どこに?あんたが解除しなきゃ出られないし、助けも期待出来ないってやつだよね。まぁ、ジュドには悪いけど、あたしにはすっごく都合いい状態だわ。


だって密室で目の前には極上の獲物。思わず舌なめずりしちゃった。


転生?転移?──どっちなのか知らないけど、殺戮者とか呼ばれてたって、所詮ただの人間だし。



「苦痛と絶望の中殺されるのと、苦痛と絶望をこれでもかって味わいながら死ぬのとどっちがいい?優しいあたしは選ばせてあ・げ・る♪」


『 』


「いいんですか?」


「いいよ!」


「え、キモ。自分に話しかけてると思うとか。あんた自意識過剰なの?怖っ」



さっきあたしが言ったこと微妙に変えてイジッてくる余裕ぶった態度にイラッときた。今すぐ八つ裂きにしてやろうか!いや落ち着けあたし。所詮はただの人間。一方的に搾取されるだけの家畜。どれだけ自分が危うい立場に居るかこれっぽっちも理解出来ないからこその強きな憐れなやつなんだから。




「相手の力量も分かんない雑魚が、いつまでそんな余裕でいられるかしらね!」


「怖っ。」



へらへら笑う凪沙に拘束魔法を放つ。








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