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異世界に召喚された聖女は、平和な日々を過ごしている

作者: 飛鳥

 気づいたときには、絢爛豪華な広間の中心に座り込んでいた。


 ぽかんと口を開けるサクラに、ワッと歓声が上がる。これは一体何事だろう。

 尻をつけた床が冷たい。そこには魔法陣のような模様があった。

 夢心地のまま視線を上げると、ドヤ顔をした黒ずくめの男が立っていた。大きな杖とぶかぶかのローブは、いかにも魔法使いという格好である。

 茶色の髪は手入れが行き届いておらず、適当にくくられている。鼻筋はすっきりとしているし、むっつりと引き結ばれた薄い唇は整っているが、目つきはチンピラかと思うほど悪い。ただ、総合的には格好いいなと思った。

 彼はずかずかとこちらに歩み寄った。見下ろされる威圧感に眉尻を下げる。随分と大きい人だ。無遠慮に伸ばされる手を見守る。大きな手は見た目よりも優しい力加減で、サクラの前髪をかき上げた。


「お前、名前は?」


 声もいい。少し掠れた語尾にドキッとする。


「サクラ、です……」


 フン、と鼻で笑われてムッと唇を尖らせた。男は興味を失ったように手を放し、さっさと踵を返してしまった。


「ねえ、名乗ったんだからあなたも名乗ってよ!」

「……パスだ」

「パスってパス? 名乗り拒否?」

「は? 名乗っただろ。パスだ」


 態度は悪いが律儀だった。肩越しに振り返り、見下すように二度告げられた名前。なんだか馴染みのない響きだった。

 愛想のないパスが立ち去った後、種類の違うイケメンが寄ってきた。どこを見てもきらきらしくて目が眩む。


「よく来てくれた、異世界の聖女」

「せ、聖女? それってもしかしてテンプレ的な?」

「てんぷれ……とは?」


 テンプレはテンプレである。異世界に召喚された女子高生が、イケメンにチヤホヤされながら聖女として世界のために戦って、やがて愛を芽生えさせるというやつだ。

 頬を染めたサクラに、リベルトと名乗った王子は怪訝そうに眉を寄せた。いけない。自分の世界の知識ではしゃいでいては、頭のおかしい子だと思われてしまう。


「ええと、何か私に御用で呼ばれたんですよね。一体何をすれば?」


 えへへと愛想笑いをすると、神官ミゲルは柔和な顔で「ご理解が早い、さすが聖女様です」と笑ってくれた。腰に剣を刷いた騎士、フレンも感心したような顔をしたから、きっと失言は誤魔化せたのだろう。

 少し難しい顔をしていた王子も、気を取り直して答えを返す。


「魔族がこの国を狙っている。どうか力を貸してくれないだろうか」

「でも、私、戦ったことないです」

「聖女は戦わずとも構わないんだ。この国にいてくれるだけで平和は保たれる」

「万が一のことがあれば俺が守ってやるよ。幸せに暮らしてくれ」

「衣食住に関しては神殿が保証させていただきますよ。決して不便はさせないとお約束をいたしましょう」


 戦わなくてもいいなら簡単だ。それに、知らない世界で衣食住が確保できるならありがたい。


「それとも……元の世界に帰りたいか?」

「いいえ、全然!」


 サクラはあちらの世界で、幸せな環境に生きていなかった。両親からは虐待され、友人もいない。食うにも困る日々だったので、召喚されて引き離されたのはラッキーなことだ。

 笑顔で言い切るが、なんだか胸が痛んだ。あんな世界でも生まれた場所だった。これまで生きてきた場所だから、バッサリ切り捨てるとはいかないみたいだ。


「……戻りたくないとは、なぜ?」


 両親から殴られたり蹴られたり、食事を抜かれたりした日々を伝えると、ミゲルは痛ましげな顔をした。


「お可哀相に……」

「もう大丈夫だ。戻らなくてもいいんだからな」

「一生ここにいてくれ、聖女サクラ」


 優しく頬を撫でられて、耳まで真っ赤になってしまった。

 か細い声で「はい」と言えば、サクラは初心だなとフレンが笑う。だって、仕方がないじゃないか。異性に耐性なんてないのだから。




 皆からチヤホヤされる日々は、それはそれは楽しかった。

 イケメン三人衆は時間があれば顔を出してくれるし、近い距離で甘やかしてくれる。とはいえさすがに少し距離が近過ぎやしないだろうか。恋人でもない男の人と至近距離で話をするだなんてお行儀がよろしくない。

 さりげなく距離を取ると、ミゲルは柳眉を悲しそうに下げた。


「私がお嫌いでしょうか」

「い、いやそんな、恥ずかしくて……」


 お可愛らしい、と彼は微笑んだ。サクラの手を取りそっと撫でる。すべすべの手は気持ちがいいけれど、本当に恥ずかしいので勘弁して欲しい。

 サクラに優しいのは彼らだけではなかった。王や王妃もニコニコしながら挨拶を交わしてくれたし、王宮で出会う貴族の皆も丁寧だ。

 サクラは王宮の一室に住んでいる。侍女が色々と世話を焼いてくれるのは、最初こそ申し訳なかったが、仕事だからと言われたら断れない。

 でも、ありがとうとお礼を言うのだけは許して貰った。だって、嬉しいことをして貰ったら、ありがとうと言うのは当然のことだから。郷に入っては郷に従えと言うものの、譲れないこともある。

 一般常識を教わり、文字を教わった。基本的にはいつも傍にいてくれる侍女に教わっているけれど、イケメン三人衆もたまに教えてくれる。……贅沢を言うようだが、教わるのは侍女の方がいい。甘い言葉を挟まれると、いまいち集中できないので。

 王宮の中をあっちへこっちへ。たまにパスの姿を見かけたけれど、彼は目が合うなり踵を返してしまうから、話をすることはできなかった。


 平和に暮らしていたある日、サクラは大発見をした。


「もしかして、私も魔法が使えるの? 使ってみたい!」


 ぎゅっと握った、いつも翻る光景ばかりを見ていたローブの裾。嫌そうな顔をしているのはサクラをこの世界に召喚した魔法使い、パスだった。

 庭で転んで膝を怪我した。そうしたら、たまたま通りがかったらしい男が魔法で治してくれたのだ。

 ありがとうと礼を言うと、大したことじゃないとパスは言った。でも私にはできないよとむくれると、練習すればこのくらいは誰でもできると返ってきた。そうなの? てっきり特別なことだと思ってた!

 余計なことを言ったなと露骨に顔で述べる男に、しつこく絡みつく。教えて教えてと強請れば、黙りこくっていたパスは根負けしたように重い溜息を吐いた。


「あいつらに頼め」

「リベルトたちのこと? うーん……でも、パスって凄い魔法使いなんでしょ? 専門家に教わりたいよ」

「魔法使いじゃない、魔術師だ」

「わかんないよ。どう違うの?」


 不愛想だが律儀な彼は、仏頂面を崩さぬままに丁寧に説明をしてくれた。

 魔法とはなんでもできる空想上の力。魔術とは目的に沿って論理的に魔力を組み上げて行使する力。


「つまり……パソコンは魔法の箱じゃないってこと?」


 何言ってるんだコイツという心の声が如実に聞こえた。いいのだ。サクラの中ではなんとなく答えを得たから。

 サクラの例えは下手くそだったかもしれないが、パスの説明はわかりやすかった。しかも了承もしていないのにちゃんと教えてくれるときた。これは押しに押せば確実に押し切れる。人相が悪い割にはお人好しと見た!

 俄然彼から教わりたくなった。お願い、お願い、真剣にやるから教えて。絶対言われたことは守るから!

 苦虫を味わい尽くした顔のパスは、三白眼で侍女を見た。口数少ない侍女は言う。


「確認をいたします」

「確認?」

「お前が魔術を習ってもいいかどうかだ。……いい、俺が聞いておく」

「ちょっと、お前じゃなくてサクラって呼んでよ。最初に名前聞いたのはパスでしょ」

「…………」

「無視しないの!」


 踵を返し、去って行く。挨拶もせずに行ってしまうのはいけないが、翻るローブの裾はちょっと格好いいなと思った。


「いいってよ」


 数日後、むっつりと口を引き結んだパスが部屋を訪れた。あんなに嫌そうだったのに、ちゃんと聞いてくれたらしい。悪いのは愛想だけで、律儀で、真面目なのだ。

 バンザイをして歓声を上げたサクラをうるさそうに見て、パスは遠慮もなくサクラの部屋に踏み入った。待って、習い中の下手くそな刺繍を見ないで。鼻で笑わないで!

 部屋の隅に控えた侍女をちらりと見たパスは、どかりと偉そうにソファに座って、隣に座れと座面を叩く。応じれば、骨張った大きな手に、比べてみれば随分と小さな己の手を掬われた。魔法職の人ってなまっちろいイメージが強かったのだけれど、彼の肌は健康的に焼けているようだった。

 何をするのだろう。わくわくと目を輝かせていると、呆れた目をしたパスが、いかにも呆れた声を出す。


「……お前には警戒心ってものがないのかよ」

「お前じゃなくてサクラだよ。警戒? なんで?」

「男に手を取られてるんだぞ」

「知らない人なら怖いけど……魔術を教えてくれるんでしょ?」

「初対面でも無防備だっただろ。知らない男だぞ」

「あれは、だって、混乱してたし」


 突然知らないところで目を覚まして、即座にしっかり対応できるほど修羅の国には生きていなかったのだ。呑気な子供を見るような目を向けるのは止めて欲しい。

 溜息をひとつ。それでサクラの警戒心の話を終わらせて、パスは手を取ったまま目を閉じた。目つきの悪さがなくなると普通にイケメンだったが、なんだかこれはこれで物足りない。

 しばらく何をしているんだろうと小首を傾げていたのだが、賢いサクラはピンときた。魔術を使えるかとか、なんの属性を使えるのかとか、そういうことを見ているに違いない。

 やがてパスが目を開いた。期待の眼差しを向けるサクラに、彼は言う。


「凄いな、お前。攻撃魔術の適正が全くない。警戒心がないから防衛魔術も駄目だな。……ってことは」

「いひゃい!」


 むに、と頬を摘まれた。自慢ではないが痛みには人一倍弱い。

 びえびえと暴れれば、荒れた指先はすぐに離れる。


「痛みに弱いなら、回復系か。めんどくせえな」

「いきなり何するの!」

「魔術適正見てやってんだろ」

「属性とかは!?」

「属性? 効力出すのに必要なもの選んで使うんだよ」


 選んで使う? なんだか思っていたのと違う。

 説明を求めると、相変わらず丁寧な答えが返ってきた。口調が乱暴なのがとんでもないギャップだ。萌えはない。


「魔術は性格の傾向で適性が決まる。攻撃性が高ければ攻撃魔術が得意なんだが……」


 パスはサクラの体に魔力を流していたらしい。異物を流して、それを攻撃したり押し留めたりする反応を見るそうだ。アレルギー反応検査みたいなものだろうか。

 サクラの魔力は、パスの魔力になんだなんだと群がった。好奇心旺盛なのだから仕方がない。攻撃するでもなく、それ以上入るなと弾くでもなく、並走するばかり。そんな人懐こい子犬のような魔力では、到底攻撃などできないとパスは言う。


「えー……バーンと派手な魔法使ってみたかったよ」

「花火でも打ち上げとけ」

「そういうのはできるんだ!」


 しょんぼりと肩を落としていたが、俄然テンションが上がった。

 ニコニコと笑いながらサクラはパスの性格を考える。


「パスは攻撃魔術がめちゃくちゃ得意そう」

「俺はなんでも得意だ。まあ実力で成り上がってきた筆頭魔術師だからな」

「実力派! かっこいい!」


 満更でもない顔をしたパスに、続けて聞く。


「防御の魔術も、回復も得意なの?」

「猜疑心の塊だからな、俺は。防衛は攻撃と同等に得意だ。痛みには強いから、回復に関しちゃ少し劣る」

「さいぎしん……」

「他人を信用しねえってことだよ。薄汚い孤児が、あっさり人を信用して生きてこられるか」

「孤児、だったの」

「そうだ。どいつもこいつも馬鹿にしやがるから、見返してやろうと思ってここまで上り詰めたんだ。聖女の召喚は、最高峰の魔術師にしか許されねえ偉業だぞ」


 サクラにはパスの気持ちはわからない。ただ、大変だったのだろうということだけは理解した。

 かける言葉は思い浮かばなかったので、ひらひらと振られた手を控えめに握る。少なくともサクラは彼に酷いことをする気は毛頭ないのだと伝わればいい。


「……お前は、触れるのに迷わないんだな」

「パスはいい人だと思うもの」

「いい人ね。初めて言われたわ」


 じっと見つめていると、パスはやがてフンと鼻を鳴らした。


「精々騙されて酷い目に遭わないようにしろよ、直情バカ」

「バカって言った!?」


 なぜ突然暴言を吐くのだ。キャンキャンと噛みつけど、適当にあしらわれた。

 扱いがぞんざい過ぎやしないだろうかと唇を尖らせる。しかしそのぞんざいさも、実のところ悪くは思っていなかった。聖女としての下にも置かない扱いは少しばかり息が詰まる。

 まずは魔術理論からだと始まった授業。思いがけず、息抜きを兼ねる時間になりそうだった。




 パスと過ごす時間も随分長くなった。

 最初は勉強の一環として、魔術研究棟に連れて行ってくれた。あちこちに設置された見慣れない不思議な道具たちは、サクラの心を途轍もなく躍らせた。

 目を輝かせる様子に思うところがあったのだろう。しばらくして、紋様の掘られた小さな石をひとつくれた。魔力を上手く籠められると光る。面白がって何度も光らせていると、またしばらくして、今度は違う石をくれた。これは回復魔術に成功すると青く光るのだという。


「ありがとう、パス!」


 サクラはこの石にこの上なく喜んだ。

 回復の魔術を使う対象は、言うまでもなく怪我や体調不良などの生物である。つまり、練習をするための対象の確保が容易ではないのだ。

 初めての実践練習の際、パスが手を切って差し出してきて、サクラは泣き喚いた。目の前で切り裂かれた皮膚は衝撃的だった。大したことはないから落ち着けと言われても、突然の自傷に落ち着けるものか。

 泣きながら治れ治れと何度も念じた。ごめんねと何度も謝った。無事な方の手でぎこちなく頭を撫でられ、痛みには強いから大丈夫だと宥められ、どうにかこうにか治癒をした。

 サクラは自分を傷つけたくはないが、自分の練習のためにパスがわざわざ痛い思いをするのは嫌だ。傷ひとつない滑らかな手を見て思い詰めるサクラを、パスは妹を見るような目をして止めた。


「痛みに弱いお前が、痛みを感じながら治癒できるとは思えない」


 正論である。大層納得をして諦めた。

 以降は、やれ仕事だ、攻撃魔法の反動でついた傷だと言うパスの怪我で練習をさせて貰った。これも本当は自分で治した方が早いに違いない。ここまで来る間痛いでしょと気遣えば、鼻で笑われて終わったから、サクラは少しでも早く回復できるよう必死になって頑張った。

 それを気にしてくれたのだろう。手軽に練習を重ねられる手段をくれたのは、本当に、本当に嬉しかった。

 サクラは基本的にくれると言ったものを拒否しない。押せ押せのオネダリをしていないのにプレゼントをしてくれる場合、受け取った方が喜んでくれると思っているからだ。

 全身で喜んだサクラを満足げに見て、以来、彼は魔術に関わらないものまでくれるようになった。


「お前、こういうの好きだろ」

「お前じゃない。いつになったら名前で呼んでくれるの!」

「知らねえよ」


 ほらよ、と渡されたものに、怒りを忘れて頬を緩めた。

 きらきらと輝くペンダント。可愛い、と声を上げて金具を開ける。もたもたと首の後ろで奮闘していたら、パスが手を伸ばしてつけてくれた。


「わあ、可愛い! ねえ、可愛い? 可愛い?」

「あー、可愛い可愛い」

「心がこもってない! でもありがとう!」

「お前は素直でいい子だな」

「サクラって呼んで!」


 コロコロと懐くと、だいぶぎこちなさの減ったてつきで頭を撫でられた。


「髪、綺麗になったでしょ。侍女さんが丁寧にお手入れしてくれるの」

「お前の髪は最初から綺麗だったよ。肌もな」

「そう? ありがとう」


 さらさらと何度か髪を梳いて、慣れた手が遠ざかる。

 パスは不思議だ。猜疑心の塊で、攻撃性が強いと自分で言うのに、サクラのことを割と真っ直ぐに褒めてくれることが多い。

 その不思議さは魔術のようだと思うけれど、魔術には理論がある。それならパスの誉め言葉にも理由があるのだろうか。

 まあ、もし理由があって褒めているのだとしても、パスに褒められるのは嬉しい。だって、嘘は吐いていないとわかるから。彼は嘘を吐くくらいなら口を閉ざすタイプだ。

 ただ、その理由が色恋沙汰ならもっと嬉しいなと図々しく思う。

 リベルト、ミゲル、フレンのイケメン三人衆はあまり顔を出さなくなった。きっとサクラがこの世界に慣れるまではと気を遣ってくれていたのだろう。チヤホヤされなくなったことに不満はないし、むしろちょっとだけホッとした。種類の違う三方向から歯の浮くような甘さでチヤホヤされ続けるのは、庶民には荷が重い。

 パスと一緒にいるのは気が楽だった。目つきの悪さや口の悪さは、慣れてしまえばむしろ愛嬌に変わってとっつきやすい。彼は悪ぶっているくせに優しくて、いつでもサクラを温めてくれた。……好きにならないはすがなかった。


「告白したら困るかなあ?」

「よろしいかと思いますよ。魔術師長様でしたら聖女様にも相応しい方でしょうし」


 最近また変わった侍女が、薄い笑みを浮かべて言った。

 サクラの侍女はなぜか短いスパンで入れ替わる。ようやく表情に乏しい前の侍女が、たまに僅かな笑みを浮かべてくれるようになったのに。

 実は嫌われていたのかな、そんなに無理を強いているつもりはないのになと落ち込んでいたら、パスは王宮側の事情だと眉を寄せて慰めてくれた。


「うーん……うん、頑張ってみようかな」


 そうと決まればと立ち上がる。


「どちらへ?」

「図書室! 戦いには情報が大事なんだよ!」


 まずは未だ人より薄い常識を補強することから初めて、自分を魅力的にしていこう。ついでにパスに関する知識も得られたらいい。恥ずかしがっているのかなんなのか、彼はあまり自分のことについて口を開こうとはしないのである。

 初めて入った図書室には、眩暈がするほどの本が並んでいた。魔術の勉強は魔術という憧れに触れられるから好きだが、サクラは実のところ勉強そのものは得意じゃない。

 あまりの量に一瞬怯んだが、目的のためには前進あるのみ。己を鼓舞しながら適当な本を掴んで捲る。好都合なことに、召喚時に何か仕込まれたのか、文字はすらすら読めるのだ。開いた歴史書は意外にも面白かった。

 この国はずっと魔族と喧嘩をしていたらしい。けれど長い間戦っていれば、人は疲弊する。

 もう駄目だというときに、人々の祈りが異世界から聖女を召喚した。初代聖女の名はサクラ。黒い髪に黒い目をした少女だった。


「私と同じ名前だ」


 聖女は国に結界を張った。彼女の寿命が尽き、魔力が尽きるまで魔族を通さない。人々は束の間の平和に、失った戦力を再び貯えた。

 やがて聖女は寿命を迎える。残っていた力を失うと、結界が儚く消えた。この世界の人々が結界を起動させようにも、うんともすんともいわなかった。

 魔族との戦いが再び激化し、抗っているとき、聖女は再び現れた。聖女が現れると同時、力を失っていたはずの結界が再び起動した。結界は恐らく異世界人に反応して立ち上がるのだろう。

 それからは、結界がなくなる頃になると、聖女を召喚するようになった。召喚される異世界人は、皆一様に元の世界では不幸であった者らしい。だから召喚されたことを喜び、渋ることなく力を貸してくれるという。

 サクラと同じだ。虐待をされるのは大変で、味方がいないのは悲しい。そういう人が召喚をされてよかったと思う。元の世界で幸せだった人が召喚されたら、大切な人と引き離されてしまうのだ。協力するどころではないだろう。


「聖女様、そろそろお部屋に戻りましょう。本は借りて行くこともできますよ」

「あ、うん。じゃあこれと、これと」


 翌日部屋を訪れたパスは、持ち帰った本に片眉を跳ね上げた。


「図書室行ったのか」

「うん。色々勉強したくて」

「……そうかよ」


 パスの瞳が暗く陰ったような、それとも期待に輝いたような。

 戸惑うサクラの頭を、パスの手が乱暴に撫でた。がくがくと頭が揺れる。


「乱暴!」

「よしよし。勉強できて偉いぞ」

「もっと褒めていいよ」


 生きていることが仕事であるらしいから、サクラに課せられた仕事はない。パスから魔術を教わる以外の時間は、全てがフリータイムである。

 調子に乗って色々読んだ。動物図鑑、植物図鑑、地理、貴族がどうのこうの……詩は全然わからなかった。魔術書も捲ったけれど、初めにこれを開いていたら絶対に魔術を勉強しようなんて思わなかっただろうと確信する。なんだこの難解な理論は。パスは本当に説明が上手だったんだな。

 図書室に通い始めて三か月ほどだろうか。侍女の距離を感じる薄い笑みが、温度を持つようになってきた頃。

 棚と棚の狭い間、他の本に隠れるように挟まった、小さな本を見つけた。本というよりは手帳かもしれない。

 いくつか見つけたそれは、誰かの手記のようだった。


『どうやら私は、異世界に召喚されたらしい』


 ぺらりと紙を捲って目を丸くする。それは過去の聖女の手記だった。

 名前はサクラ。親からは虐待を受け、友人はおらず、親類もいない。味方はいない。帰りたくない。

 サクラはその過去のサクラを初代聖女だと思った。ところが読み進めるとどうやら違う。結界はすでに存在していて、生きて住んでいるだけでいいと言われたようだ。

 首を傾げて、同じように近くに挟まっていた手記を手に取った。

 帰りたくない。親はクズだった。友人だと思っていた人は友人ではなかった。誰も信用できる人はいない。名前はサクラ。

 息を呑んで、そっと入り口を振り返った。侍女は変わらずそこに立っていた。手記を見たことに気づかれてはいけないと感じた。


 他の手記を取る。

 ――両親に殴られた。

 他の手記を取る。

 ――名前はサクラ。

 他の手記を取る。

 ――元の世界には帰りたくない。


 皆同じだった。筆跡は違う。表す言葉も違う。けれど、皆の名前がサクラで、皆の境遇が揃っていた。

 不幸だった人が召喚されるという。だったらある程度の一致は理解できる。でもそれは、ある程度だ。


「聖女様、こちらで座って読まれては?」

「……! うん、ありがとう!」


 声をかけられて、慌てて手帳を棚にしまった。心臓がけたたましく鳴り響いている。

 息を整えて、なんでもない顔を心がける。嘘は苦手だ。すぐに顔に出ると、意味のない些細な嘘を吐いてはパスにデコピンを食らうほど。

 でも今は、ちゃんと嘘を吐かなければいけない気がする。


「今日はいい本が見つからないから、もう戻ろうかな」


 そうですか、と言う彼女の微笑みが歪んで見える。

 もし、もしもサクラが思う通りなら、彼女は真実を知っているのだろうか。知っていて笑っているのだろうか。


『精々騙されて酷い目に遭わないようにしろよ、直情バカ』


 彼は、彼はどういう気持ちでサクラに――サクラと呼ばれている自分に告げたのだろうか。




 攻撃魔術を見せて欲しいと頼んで、広い練習場に連れてきて貰った。そこには誰もおらず、パスと、サクラと、侍女だけが立っている。


「聞きたいことがあるの」


 辿り着いてしまった悪夢。杞憂だと捨てるには、その結論は闇が深過ぎる。

 誰かに真実を聞きたいと考えたとき、思い浮かぶのは不愛想で口が悪い魔術師の姿だけだった。

 パスは持参した杖を振って、分厚い壁を立ち上げた。遮断された向こう側から侍女の非難の声が聞こえる。


「……いくら俺が最強の魔術師だといっても、時間は限られてる。手短に言え」


 真っ直ぐに向けられた目は、すでにサクラが口にする内容を把握しているように見えた。そしてそれは真実なのだとも。

 だって、そうでなければこんな暴挙は行わない。監視のように四六時中張りつく侍女を、実力行使で引き離すようなことは。

 こめかみが脈打つほどの緊張感。浅い呼吸をして、サクラは重い口を開く。


「私はサクラ。両親からは虐待され、友人もいない。召喚されて引き離されたのはラッキーだって思ってた」


 一度、強く唇を噛んだ。

 そして、言いようのない違和感を口から吐き出す。


「本当に?」

「いいや、違うな」


 感情を削り落とした顔をして、パスがあっさり否定した。


「酷い親を語るお前には嫌悪感がない。虐待された子供は、お前みたいに愛情を受け取るのが上手くない。虐げられていたのに猜疑心がない。お前は馬鹿みたいに素直で、人を疑うことを知らなくて、我儘を手酷く突き放されることを知らない、甘ったれの……愛されて育ってきた子供だ」


 ぶわりと涙が湧きだした。滝のように滂沱と落ちる水を、心なしか苦しげな顔になったパスが拭おうと手を伸ばして、止めた。

 いつの間にか侍女の声が消えていた。恐らく救援を呼びに行ったのだろう。


「わ、私の、名前は? 本当にサクラ?」

「知らねえ」

「どうして、返して。きっと大事なものだった!」

「無理だ――この世界にいる限り」


 大きな杖がトンと地面を叩いた。

 杖を中心にして大きな魔法陣が描き出される。記号に埋め尽くされたのは、地面だけではない。壁面までもが模様を得て、魔力の光を放っている。


「異世界人を召喚する陣には、対象の記憶を書き換える魔術が仕込まれている。偽りの名、偽りの記憶。元の世界への未練を持たせないためだ。その効力はこの世界にいる間、絶えず発揮され続ける」


 酷い話だった。吐き気を催すような行いだった。

 自分たちの国の安寧のため、この国は異世界の人間を一人、生贄にし続けている。

 聖女と呼ばれた最初の二人は、確かに偶然起こった奇跡だったのだろう。しかし、それ以降は恐らく違う。名を奪い、記憶を奪い、愛されていた子供の記憶さえも書き換えて、誘拐犯たちはいい人のような顔をして「可哀相な子だ」と甘やかしている。

 パスだって同じだ。なんなら彼は実行犯だ。

 でも、けれど、一度も自分の名前を呼ばなかった彼は、サクラを呼び出したことを心から後悔している。

 作ったような無表情。サクラはパスと長い時間を過ごしたから知っている。ような、ではなく、作っているのだ。自分が苦しむのは筋違いだと思っているから、心を押し殺して冷静さを装っていに違いない。

 強く引き結ばれた唇が彼の悔恨を如実に表しているのに、彼自身はきっと気づいていないのだろう。


「今、ここで決めろ。残るか、帰るか」


 魔力の渦巻く中央で、巻き起こる風に吹かれながら息を呑む。


「わ、私がいなくなったら、この国はどうなるの?」

「どうにかする。小娘一人が背負えるようなことだ」


 次第に外が騒がしくなってきた。わあわあと声がして、壁を揺るがす轟音が連続する。罵倒が聞こえる。裏切り者の魔術師めと、殺意の籠った醜い声が。

 コンと再び杖が地面を打ちつけると、騒音が掻き消えた。


「……あなたは、どうなるの……」

「俺は天才魔術師だぞ。お前みたいなひ弱な女に心配されることじゃない」


 天才魔術師だからって、一人で国を相手取れるわけじゃない。それは歴史が教えてくれる。本の中では、幾人もの魔術師が戦いの中で命を落とした。どれだけ天才と言われようと、稀代の強者とうたわれようと。


「一応言うが、お前が帰ろうと残ろうと、俺はどうせ排斥されるぞ。もう遅いんだからそこに関しては迷うな」

「私が、パスと一緒にいたいからって言えば……」

「無理だな。下手をすれば、また記憶を書き換えられる」


 やるだろう。この国なら。言い返せなくて声を失う。

 地面を睨みつけるサクラに、パスがゆっくりと歩み寄ってきた。

 視界に入った靴先。足を辿り、腰を辿り、のろのろと顔を上げる。

 先程までの無表情はどこへやら、彼は笑っていた。愛しいものを見るような、仕方がないなと我儘を聞くような、そんな温かい顔をして。


「言ってみろ、甘えっこ。俺が叶えてやるから」


 そんな言い方はズルいじゃないか。

 贖罪だと言うなら、サクラはいくらでも抗えた。パスは加害者だったけれど、それでもサクラを尊重してくれた。サクラを大事にして、できる限り誠実に接して。だから贖罪なんてしなくていいのだと首を横に振れた。

 でも、そうやって甘やかされたら拒否ができない。甘えた方が喜んでくれると知っているからだ。


「パス、好きだよ」


 口からこぼれた言葉に目を丸くした彼は、目を細めて微笑んだ。救われたみたいな安らいだ顔。

 彼は今度こそ手を伸ばして、サクラの濡れた頬を優しく拭う。


「好きだよ。大切にしてくれてありがとう。パスと一緒にいられてよかった」

「そうか」


 懐深くに抱き着くと、覆いかぶさるようにして強く抱き締め返された。


「――帰りたいよ」


 うん、と了承の声が耳に吹き込まれる。

 消えていた音が戻ってきた。轟音と共に、壁にヒビが入る。

 パスが身を離して杖を振りかぶった。サクラには理解できない術式がそこらじゅうを飛び回ると、魔法陣が光を増した。目を開けていられないほどの輝きの中、それでも最後までパスを見ていたくて必死に目を開ける。


「悪かった。愛してる、」


 彼は最後にそう言って、名前を呼べないことに変な顔をして、笑った。


「ちょっと、どうしたの」

「……あれ?」


 背後から声をかけられて振り返る。母親の怪訝な顔に、こちらも首を傾げた。

 何もない道で、自分は一体何をしていたんだろう。地面に荷物が落ちている。拾い上げて埃を払いながら、そういえば買い物の帰りだった気がするなと思い出した。


「こんな道端でボーッとして。相変わらずマイペースな子ね。ぼんやりするなら家の中にしときなさい」

「うーん……なんか、覚えてないけど夢でも見てた気がする」

「立ったまま? いつもに増してぼんやりね。風邪かしら……あら、卵割れちゃってるわね」

「風邪かどうかはわかんないけど、割れちゃった卵でお粥つくって欲しい!」

「はいはい」


 母親の柔らかな腕に懐きながら、見慣れた帰路を歩く。なんだか無性に人恋しい気分だったから、帰ったら姉や父にも纏わりつこう。

 ひとまず傍らの腕にぎゅうとしがみつくと、愛しいものを見る目で母が笑った。


「今日は一段と甘えたさんね」

「そうかも……」


 何かを喪失したような寂寥感、なんて言ったら大げさだろうか。

 家族に甘えて、友人たちに甘やかして貰って、そうしたらきっといつも通りに戻るはず。

 くすんと鼻を鳴らして、伏せた目にちらつく影を振り払った。




 光の柱が消えた頃、ガラガラと壁が崩れる。

 彼女いわくの「いけめん」たちは、皆一様に憤怒の形相をしていて笑いが込み上げた。そんなに皺を寄せていては、折角の端正な顔も台無しだろう。あれならパスの顔でも彼女の「いけめんらんきんぐ」とやらで勝てるかもしれない。


「貴様……自分が何をしたのかわかっているのか!」

「ああ、わかってるよ」


 飄々と言い返したパスに、重鎮たちが、兵士たちがいきり立った。

 聖女を失ったこの国には、すぐに結界の外側を引っ掻き続ける魔族たちが入り込むだろう。いつまでも諦めずに敵対し続ける魔族たち。そもそもの戦いの始まりは、こちら側から唾棄すべき卑怯な行いを仕掛けたことだ。長い年月が経った今もなお魔族の恨みが消えないのだから、パスが把握している以上に最悪なことを仕出かしたに違いなかった。

 その自業自得に、全く関係のない異世界人を巻き込むなど、どうかしている。

 ――どうかしているのだと、今更気づいた。孤児だと馬鹿にされ、見返してやろうと上り詰め、手を出してしまった召喚魔術。彼女のことを、ただ魔術の成功の結果だとしか見られなかった過去の自分が悍ましい。

 接して、その柔らかな心に触れて、彼女は意思を持たぬ物体などではなく確かに人なのだと気づいて、心の底から後悔した。


 起こしてしまったことは覆せない。ならばこの命をかけてでも彼女を平和に返そうと決めたのは、案外早くのことだった。

 送還の魔術はすぐに完成した。しかし魔術を確実に成功させるには彼女自身の帰りたいという意思が必要で、そのためには偽りの記憶が邪魔だった。

 お前の記憶は偽りだなどと馬鹿正直に述べては監視の侍女に気づかれる。まして、いくら素直な彼女であれ、パスの告解を鵜呑みにするとは限らない。それなら、まずは記憶と己の在り方に違和感を持たせなければいけないだろう。

 恥ずかしさを押し殺して彼女を褒めるのは、捻くれ者のパスにとって一番の難題だった。それでも彼女は嬉しそうに笑うから、次第に抵抗も薄れていった。

 図書室に通うようになったと聞いて、監視の目が緩んだ頃を見計らって、彼女の訪れるときを狙って過去の聖女の手記を置いた。


 絆されて、可愛がって――そして愛してしまった。そんな権利はないと思いながらも、感情を捨て去ることはできない。

 彼女はこちらの世界の記憶を失ってしまうはずだからと勝手に免罪符を掲げ、最後の最後で愛していると告げた。

 できることなら名前を呼んでみたかったと贅沢なことを思う。誰も、本人すらも知らない、彼女の名前を。きっと、サクラと呼びかければ彼女は花のように笑ったのだろう。偽りだと知っていて呼びたくはなかったからずっと拒否をしていたが、その顔だけは見たかった。

 いくら脳裏で笑顔を浮かべようと、それが正解かどうかは、もう二度とわからない。


「これからどうするつもりだ。魔族が襲来したら、私たちでは敵わない」

「聖女の存在に胡坐をかいて怠けてたからだろ」

「たった一人の犠牲で多くの民が助かるんだ! 贖いとして、俺たちは聖女を幸福にするべく努力をしてただろ!」

「俺たちが押しつけた不幸を土台に敷いてな。なんだったかな……そうだ、マッチポンプ、って言うらしいぜ、そういうの」

「ああ、救いの手を自ら突き放すなど……あなたには天より罰が下るでしょう」

「そりゃこの国全員だ」


 吐き捨てて、パスは己が開発してきた攻撃魔術、防衛魔術の全てを書き留めた本を投げつけた。拾い上げたリベルトが中身を検め息を呑む。

 パスはいつ死ぬかもわからない、ろくでもない環境にあった孤児だった。そこからのし上がってきたのだから矜持がある。ゴミのように殺されるのはごめんだった。だから、素直に殺されてやるつもりは毛頭ない。


「戦えよ。この国の祖先が撒いた種だ。聖女に押しつけて捨てた戦力を、俺が今から育ててやる。平和を壊した俺を殺したいか? やってみろよ。全力で抵抗してやるし、俺が死んだら魔族に対抗する魔術を習得することはできなくなるぜ」


 記述には抜けがある。そのパーツはパスだけが知っている。

 視線で人が殺せるのならば、いやらしくニヤニヤと笑うパスは、すでに穴だらけになって死んでいただろう。煽りに煽って笑みを深める。


「あんなひ弱な小娘一人がいないだけで滅びる世界なら、滅んじまえ」


 面白みのない憎しみの目から視線を外して空を見上げた。人の騒動など知ったことかとばかりに美しい青色が広がっている。

 光の柱が昇った先、あの青色の向こうは平和だろうか。日向でしか生きられなさそうな、平和を体現するかのような彼女は、彼女が生きるにふさわしい平和な世界に戻れただろうか。

 一瞬だけ過った不安を、鼻を鳴らして払い除けた。心配するだけ無駄なことだ。


「……俺は天才魔術師だからな」


 あちらは無事に違いない。ならば問題はこちらのことである。

 さあ、戦いだ。偽りの平和はなくなった。己の尻は己で拭うのだ。

 二度と平和な世界の住人を巻き込んだりはしないよう。

「竜の魔女、ひとり」という作品を連載中です。

毎日投稿していますので、そちらも読んでいただけたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔力を計った際のの子犬の表現がとても可愛くて好きです。 虐待されていたなら猜疑心は有るのでは?人懐っこくないのでは?と思ったら納得な理由が出てきてそれからの展開が面白かったです! パスが男前…
[一言] 面白かったです、タイトルはラストのことか。それか二重の意味かな?
[良い点] そうだ…自分の尻は自分で拭うんだ…勇者や聖女に押し付けるもんじゃないんだ パスの行く先は過酷だろうけど未来では必ず評価される男だぜ…!
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