第7話 ~聖女アリス②~
前回のまとめ
アリスは、ギフトがただの聖女だったせいで家族に罵倒され、見放され、追い出された。
そこで冒険者ギルドに来たらルナとハルトが居たので、話しかけた。
もう身寄りがないから、一緒に冒険がしたい、と
第7話
だから是非一緒に冒険させてください!
そう、言おうと思って口を開けたら
出てきたのは……嗚咽だった。
涙が止まらなかった。今まで誰にも言えなかった。
こんな、こんなギフト一つで捨てられてしまった、とは言えなかった。
「そうか。理由は分かった。君に「博学」を使わせてもらう。」
今にも泣き出しそうなルナさんとは正反対に、何も言わずじっと聞いてくれていた、ハルトさんが口を開いた。
はい、と言おうと思って口を開けたら言葉を発するより、口の中に涙が入る方が早かった。
仕方ないので、首を縦に振った。
「ありがとう。それじゃあ…《博学》」
数秒の沈黙がながれた。
ハルトさんは少し考え事をした後に、言った。
「あんた……これで家族に捨てられたなんて…嘘だろ?」
何故そんな事を言うのか、理解不能だ。
どうしたの、と聞こうとしたら、ハルトさんの言葉がそれを遮った。
「是非、俺達と一緒に冒険をして欲しい。あんたは俺達にとって必要かつ重要な人だ。是非一緒にぼ……」
「ほ、本当ですか…こちらこそっ…よ、宜しくお願いします……グスン…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!!!」
ハルトさんの言葉を遮ったのは、自分の涙だった。
涙が溢れて止まらない、どうしようと考えていた時、ルナさんが洋服についている、ありとあらゆるポケットをあさりはじめた。
「「……??」」
「ど、どどどうししよう!!」
今度は慌てはじめた。
こんなに慌てるなんてきっとすごく大変なことが起きたんだろう、そう思ってハルトさんと目を合わせた。
すると、ハルトさんは、目があった瞬間フッ、と笑って…言った。
「ルナ、ハンカチなら、リュックのポーチじゃなかったか?」
「えっ……!?なんで分かったの!?」
なんてことだろう。ただのハンカチ探しだった。
そして、ハルトさんはエスパーなんだろうか。
「《博学》を使った」
「嘘ぉぉぉ!?人の心まで読み取れるの!?」
「あぁ、嘘だ」
「…ハルトのばかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぷっ…クスクス」
嗚咽しか漏れなかった自分の口から、笑い声が漏れた。
何故だろう。吹っ切れた気がする。
「ほら、アリスさんに笑われてる」
「あ、アリスちゃん!?!?」
「有難う御座います。御二人のお陰で吹っ切れたみたいです。」
「いえいえ、お役に立てたなら嬉しいです。良かったな!ルナ!!」
「う、嬉しくない………で、でも、どういたしまして!あ、あと、はい。」
そう言ったルナから渡されたのは、可愛いユニコーン柄のハンカチだった。
「?」
「アリスさん、多分、涙を拭いて欲しいんだと思います。」
「だからなんでわかるのぉぉぉぉぉ!?」
「ふふ、有難う御座います。ルナさん。」
「あれ、そういえば私達自己紹介したっけ?」
「いいえ、していませんよ。ただ、私が知っていたんです。」
「アリスさん、もうパーティメンバーなんですし、敬語辞めません?」
「うーん…私は敬語で育てられてきたので、難しいかもしれません……すみません。あ、御二人は普通に話してくださいますか?」
「「勿論!!」」
………ハズレギフト所持者な私だけど、この人達と一緒なら大丈夫かも。
なんて、ね。
いつもお読み頂き有難う御座います!
評価、ブックマーク、是非宜しくお願い致します。
そして、誤字があったら教えて頂けると幸いです!
皆様の応援がとても励みになります!
次回は番外編の予定です。