第45話 ~いざ、カルナリア山へ!~
第45話
私達は、今、馬車に揺られてカルナリア山に向かっている。
琥珀は着いたら呼ぶ予定で、今はおうちでお昼寝させている。
いつもなら会話が弾むのだろうけど、今日は別だ。
………………もしかしたら、生きて帰れないかもしれないのだから。
体の中を、恐怖が蝕む。
恐怖と不安に飲み込まれてしまいそうだ。
渦巻く紫色の感情を抑えて、みんなの顔を見る。
すると、やはりみんな、体の中の紫色の感情と戦っているように思えた。
さらに、「え?なにこの状況?」と言っている、まだ状況が理解できていない自分がいる。
そのなかで、たくさんの化け物と戦うなんて、不安しかない。
生きて帰れるかもわからないのに、冷静でいられるわけがない。
そんなことが、頭の中を、ぐるぐるとうずめく。
恐怖、不安、そして動揺を必死に隠しながら、必死にみんなに話しかける。
「……………ねぇ、みんなの『夢』って、なに?」
これを、ずっと聞いてみたかったのだ。
もし私達が生き残って、大会に優勝することができたら、みんなは何をしたいのか。
数秒待つと、アリスちゃんが口を開いた。
「私は…………ふふ、そうですね。聖魔法学専門の先生になりたい…………です。」
学園、というのは、私立と王立の二パターン存在する。
そのどちらにも、『魔法学』というものがあり、『聖・炎・水と氷・雷』属性の魔法の基礎を学ぶ。
私立の学園には、『闇属性専門』や、『聖属性専門』という学園があったりもするが、基本的には『聖・炎・水・雷』の四大魔法の基礎を学ぶのだ。
(わぁー!!アリスちゃんが先生!?絶対かわいいっ!!)
頭の中で称賛していると、ヒマリちゃんが、目を合わせて言った。
「…………そうねぇ。アタシはお花屋さんでも開こうかしら♡」
(ヒマリちゃんはお花好きだもんね!絶対かわいい!!)
またもや称賛を繰り返す。
「……………俺は、学園の槍専門の先生かな。」
(あー。ヴォレスくんは…………イキりそうだけど、似合いそうだなぁ!!)
ハルトも口を開いた。
「俺は、このまま冒険者を続ける。」
はっきりと、堂々と言ったハルト。
ハルトがそう言ったのは、意外だった。
(世界最強の夢を叶えてもそのまま続けるなんて…………好きなんだな、冒険が………。)
「………………で、ルナは??」
ヒマリちゃんに詰め寄られてしまった。
(私の…………ゆめ?)
私は、いろいろ聞いておいて、実はなにも決めていなかった。
「………………私は、カフェでも開いてのんびり暮らしたいな。」
決めてなかったのに、口からポロッと出てきてしまった。
心の奥底で、思っていたのかもしれない。
「いいじゃん!!なんか、みんな休みの日にルナのお店で集まって近況報告とか憧れる!!」
「…………それ、すごくいいですねっ!!」
アリスちゃんが珍しく身を乗り出した。
「そうだな。ルナらしい。」
ハルトの優しい声が聞こえる。
その、瞬間。
乗っていた馬車の荷台が、ガタン!!と、思い切り揺れた。
「「「「「!?」」」」」
すると、運転手さんの声と、誰かの怒鳴り声が聞こえた。
「………………っつってんだろ!!」
「ですから、ギルマスに頼まれたんです。通してください。」
カーテンを開き外に出ると、運転手さんと、Aランク冒険者さん?のような人が喧嘩していた。
運転手さんと喧嘩している人は、銀色の時計をしていたのだ。つまり、Aランク冒険者さんの色。
少し憧れるな、とか思っている暇は、ない。
急いで止めに入る。
「すみません!!この争いをおさめるためにギルドマスターさんに頼まれたんですッ!!通してください!」
「運転手さん、すみません、ここでいいです!ありがとうございました!!」
私とハルトで謝りに行く。
すると、運転手さんは微笑みながら頷き、荷物を下ろして戻っていった。
Aランク冒険者さんは、私の顔と体をじっと見て、笑いながら言った。
「………………見たことあるなと思ったら、てめぇ、ゴミスキルのやつじゃねーかw底辺冒険者にギルマスが頼むわけねーだろ!wあ、でも、てめぇらがモンスターに殺されるところ見てぇなw」
思わず眉が上がる。
なんなんだ、この人は。
ムッとすることばかり言ってくる。
『失礼』という言葉を知らないのだろうか?
からだの中の怒りの感情を抑えながら、無視して通りすぎる。
最後に、少しだけその冒険者さんの声が聞こえたが、イライラするので無視した。
そして、少し歩いた頃、私は口を開いた。
「………………もうっ!!なんなの、あの人!!」
怒りを言葉で表すと、皆は肯定するように首を縦に数回振ってくれた。
「そうだ、琥珀呼ばないと!」
そう、琥珀は今居ない。
琥珀は馬車が好きではないので、家でお留守番させていて、着いたら呼ぶね、と言ってあったのだ。
「ルナが琥珀くん呼んでくれてる間に、アタシ達はテントを建てちゃいましょ?」
そう、ギルドマスターがテントをくれたのだ。
しかも、モンスターを寄せ付けない超音波などを発しているし、モンスターが半径10メートル以内に居たら警報が鳴って報せてくれるという高性能なもの。
ギルドマスターは、この高性能テントに肉焼きセット、ベッドを用意してくれたのだ。
高性能“テント”と言っても、もう、組立式コテージのようなものだが。
ヒマリちゃんの言ったことを肯定するように首を振り、琥珀を呼ぼうとする。
『琥珀!琥珀~!聞こえる?』
『___聞こえる。主人、もう着いたのか?』
頭のなかで琥珀に問いかけると、返事が返ってくる。
『うん。だから、そろそろ来てくれる?』
『___了解した。主人、少し待っていてくれ。』
琥珀がそう言い終わると、琥珀の声が聞こえなくなった。
そして、地響きのような音が聞こえたと思ったら、五秒後には、白銀のフェンリルがそこにいた。
驚いてお皿を落としそうになったが、琥珀にサポートされて大丈夫だったヒマリちゃん。
そんなヒマリちゃんの一言目は、予想通りだった。
「いやいや私達で五時間くらいかかった道を十秒もかからないとか、おかしくない!?」
_____完全に同感だ。
琥珀はやはり聖獣なんだな、と今さらながら思えてくる。
他のみんなの顔を見ると、やはり驚いていた。
読んでいただきありがとうございます!!
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~いつも御愛読して頂いている読者様へ♡~
皆様いつも御愛読して下さり誠にありがとうございます!!
この度は更新が遅くなり、申し訳ございません…………。
ですが更新ができなくても皆様への感謝を忘れている訳ではありません!!
本当に、応援して頂いている皆様、いつもありがとうございます!!
とうとう最終章に突入致しましたが、どうでしょうか?
『みんなのラブシーンもっとくれ!!』や『甘さが足りない!!』、または『あのAラン冒険者嫌い!早くギャフンしてほしい!!』と思った方、是非感想欄に、お願い致します!!
本当にいつもありがとうございます♡
りんご餅より、読者様へ




