第44話 ~不安のなかで~
第44話
❦早朝[ルナの部屋]❦
「…………大丈夫、かなぁ。」
昨晩からずっと考えているのは、『大丈夫だろうか』ということだ。
ハルト達からも『いざとなればルナのスキルで帰ってくればいい。生きてさえいればいい。』と言われた。
それなのに、嫌な予感ばかりがする。
その予感のお陰で、今まで一睡もしていない。
いつもなら『今日も1日楽しかったなぁ!』で布団に入ることができるのに、昨晩は『大丈夫かな?』で布団に入った。
布団に入っても、心のなかのモヤモヤは消えず、天井の板目をじっと見ながら、ずっとモヤモヤと考えていた。
今も、頭のなかは『大丈夫かな?』『生きて帰れるかな?』『みんな無事に帰ってこれるかな?』で埋め尽くされている。
すごく強い琥珀もいる。
聖女のアリスちゃんもいる。
竜のアーチャーと呼ばれるヒマリちゃんもいる。
ツンデレだけど強いヴォレス君もいる。
精霊女王に仕えるレナだっている。
私のスキルもある。
魔法だって取得できてる。
それに、すごい強いハルトも、いる。
それなのに。
それなのに……………何故安心できないんだろう。
心のどこかで『行っちゃダメ』と言われている気がする。
こんなこと考えていたって分からないのに、それでも誰かに、どこかに、『ダメ、危険だよ!』と言われている気がする。
私には、魔法も、スキルも、…………仲間もいる。
どうして安心できないんだろうか。
何故?
(今考えたって、戦うのは明日だから意味ない。)
そう思っていても、安心できない。
怖い。
怖い。
そう、私は『怖い』んだ。
たくさんのひとが私に『大丈夫』と言ってくれているのに……………。
安心できない。
そんなことをモヤモヤモヤモヤと考えていると、ブラウスに緑のロングスカート、緑のティアラを身につけた精霊が目の前に現れた。
「………レナ……………………!!」
『御主人様、明日のことは明日考えましょう…………?』
レナの綺麗な声が聞こえる。
言葉ひとつひとつが、私を安心させてゆく。
失われていた眠気が、再来したようだ。
(なんだろう…………安心する…………。)
『御主人様…………もし何かがあったなら、私が御守りします………………大丈夫ですよ、御主人様………………。』
そのレナの呟きを聞いて、私は眠りに落ちた。
❦翌朝[ルナの部屋]❦
鳥の鳴き声を耳で聞きながら、起きて伸びをする。
(レナのおかげで寝れたっ…………。)
窓の外を見ると、もう明るくなっている。
朝ごはんは一緒に食べるので、急いで着替えようとしてクローゼットを開いて着替える。
濃い桃色の『魔力増量効果』のあるワンピース。
白色の『癒し効果』のある靴下。
『ダメージ軽減効果』のある、白色のスカーフ。
そして、濃い桃色の動きやすいブーツをはいて、家の扉を開けた。
急いで食堂に向かって走る。
❦ホテルの食堂❦
遠目に皆の姿を見つけ、そのテーブルに向かって走る。
「遅れてごめんっ、みんなっ!!」
「大丈夫よ。…………ルナ、走ってきたの?」
「うん!」
「息切れしないのね……。」
「?」
そうヒマリちゃんと話をして、席を立ち、カウンターに向かう。
「あらぁルナちゃん♡今日は何のご注文かしら~♡」
声をかけてきたお姉さんに注文する。
「んーっとね、Cセットお願いします!」
「わかったわ♡作れたら呼ぶわね♡」
このお姉さんは、私達の泊まるホテルのオーナーの娘さん。
「お姉さん」と呼んでいたら仲良くなれたのだ。
このお姉さん、そろそろ四十路だと聞くが、とても綺麗なひとなのだ。
ヴォレスは『化粧ケバケバおばさん』と言っていたが…………私はすごく綺麗だと思う。
ヴォレスが「ア”ア”ン”?」とお姉さんにすごまれて半泣きになっていたのは秘密だ。




