ペンギン三兄弟 〜 33話 チャンと豆の木 の巻
ペンギン三兄弟
チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。
サングラスをかけている。つぶあんが大好き。
ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。
収集癖あり。
ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。
日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
もしも3羽が、ジャックと豆の木のお話だったら...
ドン母「さあ、チャンや。この牛もとうとうミルクが出なくなってしまった。村へ行って、牛を売ってきておくれ」
チャン「わかったよ、母ちゃん」
チャンは、やせっぽちの牛を引いて、村へ歩いて行きました。
すると、途中であやしい男に出会いました。
男「そこのカッコいいサングラスをかけたお兄さん、その牛とこの魔法の豆を取り替えようぜ!」
チャン「魔法の豆だって?」
魔法という言葉に魅せられてしまったチャンは、
その男の言う通りに、牛と豆を取り替えてしまいました。
チャン「母ちゃん、魔法の豆を手に入れたよ、すごいでしょ」
ドン母「まったくバカな子だねえ、こんな豆、一円にもならないじゃないの!」
ドン母は怒って、豆をぴゅーんと庭に投げ捨てました。
次の朝、チャンが目を覚ますと
庭に大きな大きな木が生えて、その先は天まで届くように高く高く伸びていました。
チャン「やっぱり魔法の豆だったんだ、ちょっと登ってみよう」
チャンは、しばらく夢中になって登っていましたが、ふと下を見て気づきました。
チャン「うわ、やばい、おれ高いとこ苦手なんだった。どうしよう〜、母ちゃんこわいよ〜」
そのとき、上から高い声が聞こえてきました。
「もう少しだから、登ってこいよ」
チャンは、震えながらもがんばって登り、雲の上へたどり着きました。
ゴン「やあ、いらっしゃい。がんばって登ったご褒美に、金のたい焼きをあげよう」
雲の上には、きらびやかな衣装を着た、筋肉ムキムキのペンギンがいました。
チャン「あ、あなたはだれですか?」
ゴン「私?んーっと、金が好きなマッチョペンギンってとこかなあ」
チャン「へえ、お金持ちなんですね」
ゴン「まあね、ここには金でできたものがなんでもあるよ」
チャン「金のたい焼きおいしいですね、母ちゃんにおみやげに持って帰りたいなあ」
ゴン「じゃあ、金箱入りのたい焼きをあげましょう」
チャン「ありがとうございます。あー、ただ困ったことにオレ高いとこが苦手で、とても下りられそうにないんですけど、何か良いものありませんか?」
ゴン「しょーがないなあ、では私もつけているこの金の翼を授けよう」
チャン「それをつければ飛べるんですか?」
ゴン「たぶんね」
チャン「いい加減だなあ。でもオレ飛んだことないし、落ちるのこわいんで、金の命綱もつけてもらえませんか?」
ゴン「あなた、なんか図々しいね。まあいいでしょう。じゃあこの金のヒモを腰に巻いて」
チャン「ヒモの反対側は、ちゃんと持っててくださいよ」
ゴン「わかってますよ」
チャン「ぜったいぜったい、はなしちゃだめですよ」
ゴン「わかってるよ、さっさと行けよ」
チャン「あ、なんかめんどくさがってるじゃん」
ゴン「さあさあ、お気をつけて、お帰りください。2度とくるなよ」
チャン「んじゃ、おじゃましました。おみやげたくさんありがとう。ヒモしっかり持っててね〜」
チャンは、ゴンに笑顔でバイバイをして、
おそるおそる木に捕まりました。
金の翼のおかげでちょっと浮力が感じられて、
ゆっくりと降りて行けます。
でもやっぱり怖いので、時間がずいぶんかかってしまいました。
雲の上で、片方のヒモを持っていたゴンも、
しびれを切らし、ヒモを片足に結びつけると
ゴロンと横になり、眠ってしまいました。
やがてチャンは、無事に地上に降り立ちました。
チャン「母ちゃん、見て見て。金のたい焼きに、金の翼に、金の命綱だよ」
ドン母「チャン、すごいじゃないの。このヒモはどうなってるの?」
ドン母は、空から垂れ下がったヒモをズンズンと引っ張りました。
すると、空から金色のマッチョなペンギンが、叫び声をあげながら落ちてきたのです。
ゴン「ギャ〜!」
そして地上に落ちそうになったところで、止まったと思ったら、
今度はチャンが空へ引っ張られました。
命綱が真ん中で木の枝に絡まってしまったのでした。
チャンとゴンは、木の枝から、振り子のように
ぶらぶらと揺れています。
一方、ドン母は、金のたい焼きを見つけて、ほおばっているところでした。
ドン母「あ、うま」
おわり