98~装備って必要だよね~
およみいただきありがとうございます。居眠り女主人公、一応活動しています。
まだ冒険者ギルドは建設できそうにないですね。
冒険者という仕事は、世界を冒険して、様々なことを見聞きしながら、手を貸して、自由に生きていくものだと思う。
そういう意味では、ギルドに所属している時点で、自由度は低くなるけど、どんな場所にも秩序があるのだといわれてしまえば元も子もない。
かくいう私も一応冒険者ギルドには所属しているのだ。
一応ね。
ゲームの世界のだったから、ここでは、まったく違う扱いなのだけど。
ランクとしたら上なのだ。
いきなり何を言い出したかというと、この前の冒険者ギルド作る話からなのだけどね。
その冒険者ギルドがある街とか里とか、そういうところの、専属冒険者というのが必要なのだという。
この集落、プラム郷なら、プラム郷の専属が必要なのだと。
一人はいないといけない。
その話を私にサカイがしているのだけど、私はやりたくないし、やる気はない。
で、グダグダとどうしようかという話になっている。
「ジャムさんでいいじゃない」
もとは冒険者なのだし、この集落の長だ。
二足でも三足でも草鞋を履いていただこうよ。
「なんで俺が?もう引退したんだぞ」
「引退したからってできないわけじゃないでしょ?」
この集落を守ってきたのはジャムさんだし。
「師匠が言うので、ジェヌさんよろしくお願いします」
「いやいやいや。おかしいですよ。それにもう、冒険者をしていた時の装備も武器もありません」
必死に断ろうとする。
「武器も装備もあればやるんだ?」
そんなもの、この私が用意しようじゃないの。
「もう体がついていかないんだよ」
「大丈夫ですよ、ジェヌさん。ここから冒険者になる人たちの指導が中心です。新人冒険者を指導するので、引退した冒険者に復帰してもらうこともよくあります」
胡散臭い笑みを浮かべたサカイが、ジャムさん説得しているし、いいんじゃないかな。
どうせここの集落は、おじいちゃんおばあちゃんが回してくれているし、新しい人たちも来たし。
そのうえ、当たり前のように飲んでいるお茶、ここでとれたいやし草だよね。
ほかの人たちより、絶対に健康だよ。
「具体的な話は、プラム郷の冒険者ギルドのギルド長が来てからとなります」
お願いしますね、と言外に乗せたサカイに、ジャムさんは断れなかった。
意志が弱いな。
「装備や武器はこちらが用意するから、その人たちが来るまでに、冒険者としての体慣らしをしておかないとね」
素材はたっぷりある。
どういうのがいいかな。
「ジャムさんて、武器は何を使う人?」
「ショートソードだな。ロングソードはどうも振りが合わなくてな。大剣もあわない。なので接近戦ばかりでこのざまだよ」
「ショートソードね。わかった。魔法剣とか好き?」
「まほ・・・好きとか嫌いとかレベルじゃないだろ!そんなもの、高くて手を出せるか!」
「なるほど分かった。あれば使える・・・と。装備ってどんな感じだったの?」
「おい・・・?あ、装備品か。しょせんはCランクだったからな、金属製の胸当てとか、革鎧だったか・・・」
「わかった。動きやすいほうがいいよね」
「・・・お前は何を手に入れてくる気だ?」
「やだなあ。普通の剣と、鎧だよ?」
疑う人だな、こいつ。
それより、サイズ図らないとね。
「シツジロー君、お願い」
「かしこまりました。ジェヌさん。こちらに」
ジャムさんが連れてかれたので、サカイに向き合う。
「ジャムさんの冒険者カードの再発行ってすぐできるの?」
「お任せください。王都冒険者ギルドには、すべての冒険者の記録がございますから、数日で再発行いたします」
「再発行費、渡しておくね」
金貨一枚を出す。
ほんとはもっと安いけど、まあ、いろいろ便宜を図ってもらうためだし。
「師匠・・・」
「頼むね」
「承知しました」
「ところでサカイ、あんたはロングソードで戦っているのよね?魔法剣に興味は?」
「ありますけど、高くて手が出せません」
「そうなんだ?」
ここの相場はわからないな。
大体、プレイヤーは手作り推奨で、自分で鍛冶作業してたからね。
「それよりいつ、建設設計図持ってくるのよ」
「今送ってもらっているので、数日で届きます」
「そう」
それまでに作っちゃおうかな。
「あんたも採寸してきなさい」
「は?」
「シツジローくん一人追加ー」
「かしこまりました」
シツジローくん、早いな。サカイも連れていく。
訳が分からないって表情だけど、どうでもいいわ。
拠点に戻る。
ここにはいろいろ作れる場所があるからね。
シリウス、しーちゃん、ベヒー。
今回はこのこたちの能力を借りる。
実は魔法剣に使う魔法玉は、様々な魔力を帯びて成長した宝石でもある。
宝石は、どんなものでもいい。
赤い宝石だから火の魔法とか、緑いろの宝石だから風魔法とか、決まっていない。
作る側の趣味だから。
それに、使う人の魔法によるしね。色の変化って。
ゲームの時に結構色々な宝石を手に入れていたので、手ごろな大きさをいくつか選ぶ。
宝石の名前?
興味ないから知らない。
説明文には書いてあるけど、そんなもの読まないし。
結局は素材だからね。
小さな空間に宝石を置いて、三体に魔法を込めてもらう。
空間の維持できるぎりぎりまでだ。
なんで私の魔法じゃないかって?
自然とできたものは、たいてい、魔獣の魔力にさらされたものが多いからだよ。
あとは一日そのまま置くと、宝石が魔力を帯びる。
これで魔法剣の魔法玉の出来上がり。
今日の私の仕事はここまで。
何もやってないみたいな気がするけど、寝よっと。
拠点のベッドも相変わらず寝心地いいな。
おやすみなさい。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
評価、誤字脱字報告もいつもありがとうございます。頑張って見直しています。
もうすぐゴールデンウィークか。いいなあ。仕事休みたくなりますね。




