96~三家族がやってきました~
お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、サカイ様の紹介の三家族に会いました。
サカイ様がやってきた。
馬車がいくつも連なってるけど、そんなに必要かな?
ジャムさんが通して、こちらに誘導。
広場のとこでいいんじゃないかな?
まあ、ここの住人になるのだから、住民の住んでいる場所のほうがいいのか。
冒険者さんたちは宿屋のほうに行ってもらって、おつきの護衛の方たちも、宿屋のほうに・・・
行かないのね。
護衛だものね。
サカイ様って強いから護衛いらないんじゃなかったかな?
「師匠!」
サカイもいた。
何で来ているのかな。
「こちらの冒険者ギルドの調整できたのですよ」
わかりやすく顔に出てたか。
仕方ないね。
「ようこそ、プラム郷へ」
自己紹介から始めてもらいましょう。
ああ、でも、集落の人たちに来てもらって面通ししておかないとね。
夜のご飯の時でいいか。
「ししょー」
お?
私をもう一人、師匠と呼ぶのは誰だ?
「ミュゲです!忘れたのですかー」
だれ?
「お嬢さま。サカイさんの姪御様です」
シツジローくん、さすが。
ああ、そうだ。
こんな面差しだったわね・・・
あれ?でもスズランという名前だったよね?
「お嬢さまの覚え違いです。ミュゲ様です」
そうだったか・・・
花の名前だった覚えがあるけど、違ったのね。
・・・同じだけどね。
「あなたもきたの?」
「だって、師匠に教えてもらうには近くにいたほうがいいはずだし」
「王都中央部にいなさいよ。そちらに行ったときに教えてあげるから」
「えー」
何この子。ものすごい不満そうね。
「まあまあ、ミュゲ。今日はこちらの三家族をアイリーン殿の下に送り届けるのが目的なんだから、あとにしなさい」
「はあい」
じいさんの言うことは聞くのか。
ふてくされているけれども。
あれ?この子も貴族様じゃなかったかな。
「まあいいわ。・・・私が、アイリーン・プラム・シュガーです。この集落にすんでいるプレイヤーです」
皆ざわつく。
プレイヤーの名前聞くと、ほとんどがそうよね。
「代表者じゃないのかい」
ん?
おお!
ドワーフだ。ドワーフがいるぞ。
筋骨隆々だな。
この人が鍛冶をしてくれる人なのかな。ああ、でも、トラウマでやらないのかもしれないな。
「アイリーン、それじゃみんなが誤解するだろう。・・・皆さん。こちらがこのプラム郷の立て直しをしてくれる郷主、アイリーン・プラム・シュガーさまだ」
ジャムさんの紹介。
さま付けか。ありえないでしょ。
「ほんとにこの小娘が?」
「やるならけんかはかうわよ」
「やめてください」
止められた。
シツジローくんが、来てくれた人たちに何か説明しているけど、もう興味ないや。
お茶のも。
サカイ様も座ってるし。
メイちゃんの軽食はおいしいわね。
メイちゃんは、夕食の準備に入るって、行っちゃったしね。
「おじょーさまー」
ん?
あ、ナナじゃないの。
「ナナ、こっちおいで」
ああ、かわいいわ。
頭なで繰り回してしまうわ。
直に来るナナに、お菓子を与える。
この子は癒しだわ。
ものすごいほおばっているわね。
でもどうしたのかな。
みんな、おうちにいるのよね?
「ナナ?」
「むぐむぐ。ごっくん。・・・あ、そうだ。ボスがね、はたけのむこうにまじゅうがいるって」
獣人のナナは、魔獣の言葉が分かるそうだ。
すごい能力だと思う。
しかし、魔獣か。
垣根を越えられることはないだろうけどね。
「うしっていってた」
「とらえましょう。今日の夕ご飯は牛のお肉よ」
「わあい」
ナナがうれしそうだし、狩ってこないとね。
「・・・魔獣が出たのかね」
サカイ様もナナにお菓子を与えている。
ナナは人気だね。
ああ、でも、連れてこられた人たちはおびえているし警戒しているわね。
「そうらしいわ」
「ボスとはだれかね」
「ボスは、キドナップバブーンのボスよ。この集落の住民よ」
ここは魔獣と暮らす集落だからね。
「なんと・・・キドナップバブーンは、すぐそこの森にいるのだろう」
「その群れの一つが、ここにすんでいるの。住民も受けいれているから、手を出さないようにね」
「強いのかね」
「ほかのキドナップバブーンよりは強いかな」
それでもレベルとしてはそんなに高くないけども。
鍛えればいいのかな。
「そのボスとやらが、知らせてくれたと」
「住民と畑に行っているんじゃない?」
「どういいうことだね」
「手伝ってくれているのよ。宿の仕事だって、見えないとこを手伝ってくれているしね。ここは人が少ないから、魔獣の手だって借りるわ」
「ほう。・・・挨拶せねばな」
なんでよ。
サカイ様、関係なくない?
ま、いいか。
手はたきして、注目させる。
「皆さんは、ジャムさんについていって、家に荷物とかおいてきて。夜に住民広場に集合です。そこでみんなで夕食だから。それまではゆっくりしていて」
ジャムさんとシツジローくんが誘導する。
私は、畑の向こう側にいる牛を狩ってこないとね。
「師匠!お供しますよ」
「戦えない人はお断りよ」
「師匠、方向音痴でしょ。そちらのほうが問題じゃないですか」
こ・・・こいつっ。
「ナナが案内してくれるから」
「こんな幼い子に案内させるのは危険です」
くっ。
仕方ないか。
「わかったわよ。・・・ナナ、メイちゃんに、夕飯に牛も追加だって言っておいて」
「はあい」
あああ。
私のかわいい癒しが行っちゃった。足早いな。
「行くわよ、サカイ」
「はい」
「あ、私も行くー」
「え?」
「私も冒険者だから」
そういえば、そんなこと聞いたっけ。
「わかったわ。スズラン、けがしないようにね」
「ミュゲだってばー」
「ミュゲ、あきらめなさい。師匠は人の名前は覚えられないんだ。あだ名だけでもいいじゃないか」
「あの子は覚えてもらってるのに」
ふてくされているけど、なんなのこの娘は。
そしてなんでサカイ様もついてくるのよ。護衛の方もついてくるのね。
門を出て、畑のほうに行くと、牛系の魔獣が6頭ほどいた。
ウーマくらいの大きさがあるな。
ミートカウじゃないのか。
でも食べられるようだし、たまには狩りもしないとね。
「みんなはここから動かないでね」
「一人で大丈夫なのか」
護衛の方。私はプレイヤーだよ。
「あなたたちが邪魔だから」
怪我させない保証はないしね。
指を回転させる。
空気の渦。
投げつけるように牛に向かわせると、牛は空中へ舞い上がった。そのまま地面にたたきつける。
首の骨が折れた牛の魔獣6頭。
討伐完了。
「ふむ。やはりプレイヤーというのは、すごいものだな。先祖サカイもすごかったのだろう」
サカイ様は思いをはせている。
みんなこんなザコを相手にしてたのって初期レベルくらいだと思うけどね。
「皆さん力はあるのかしら。荷物持ちに来たのでしょう?」
「師匠、意地悪いうのはやめてあげてくださいよ」
「それじゃただの足手まといじゃないの。何しに来たのよ」
「おじいさまの護衛ですよ」
「あ、そう」
使えないな。
まあいいや。
収納して、さっさと帰ろう。
今日の夕ご飯のおかずが一品増えたしね。
その日の夕食に、牛の丸焼き6頭が出た。
ついてきていた冒険者さんや、集落のみんなも集まって食べたけど、護衛の人たちは食べなかったわね。
好き嫌いはいけないでしょうに。
サカイ様は普通に食べてたわね。
ナナ含む獣人や、魔獣たちは喜んでいたし、なぜかボスがサカイ様と意気投合していたけど、結局来てくれてた三家族のこと、聞いてない気がするわ。
そのうちでいいかな。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。評価、誤字脱字報告もありがとうございます。
三家族の名前は・・・実は考えてなかったです。すみません。




