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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
94/281

94~肉、肉、肉祭り~

お読みいただきありがとうございます。宿がオープンしました。

私は侮っていた。


これほどまでとは思わなかった。


いったい何を?と聞かれれば、答えられる。


冒険者の食欲を、だ。


集落、もといプラム郷。

春になって、とうとう森の道から、冒険者がやってきた。

近くに集落はないし、つなぎとしての場所としては、まあまあの場所だからだ。


それに、ジューノさんが、宿ができたことを宣伝してくれたというのも大きい。

門のほうから、中央部に行く人たちが、やってきたのだ。

もちろん旅人もいるが、大半が、中央部に行くための冒険者でもある。

ここには冒険者ギルドがまだできていないから、受けられる依頼もないしね。


聞いてきた人たちは、皆一様に風呂が自由に入れる宿、というのできたようだ。

しかも、ほかの集落の宿よりも若干安い。

宿がオープンして、プラム郷の人たちも、宿での仕事をきちんとこなしている。

宿の注意事項と部屋の使い方と風呂の使い方とカギの使い方だ。

しかも、そのカギを見せれば、食事がタダになる。

実際は、宿代に含まれているのだけども。


そして、その食事のメニューが、実はほぼ決まっていなかった。

材料があるから、パンとか、肉がいっぱいあるから、おいおい、冒険者たちの好みで、決めていこうという話になっていたせいだ。

飲み物は、ジューノさんから、エールビールを仕入れて、樽のまま、蛇口をひねったら出るようにしてみた。果実水もだ。

どれもフリードリンクだ。樽の周りを冷気で覆い、冷たくしてある。


とりあえず、肉の丸焼きを中央において、そのほかに野菜やデザートを置いたり、いろいろ作って、ビュッフェスタイルにしてみた。肉のとりわけは、キッチンのものにやらせようということだ。


結果。

ビュッフェはほぼ一瞬で空になった。

中央の肉も、自分たちで勝手に切り刻んで持っていく。

しかも一部の、横柄な冒険者が足りないと騒ぎだす。

エールビールも果実水も、すぐになくなった。


「すごいわね」


プラム郷の宿の者に呼ばれてきてみた感想だった。

きれいに食べることができないのか、騒がず食べることもできないのか。

食堂が汚くなっていく。


かんがえてみれば、冒険者やめて結構立つだろうジャムさんも、ほぼ動かないくせに冒険者を語っているサカイも、ものすごい食欲なのだ。

きちんと冒険者をやっている彼らは、それ以上ということなのだと思う。


これでは、作っても作っても足りなくなる。

そんなことだと、材料うんぬんより、集落の者たちの労働時間が長くなり、体に良くない。


「メイちゃん、外にバーベキューの用意してくれる?」

「かしこまりました」


食堂をこれ以上汚されるのも嫌だし、外で食べていただきましょう。

そして、今一度、思い出してもらいましょう。

周りに迷惑をかけた場合には、それ相応の仕打ちがあるということを。


横柄な冒険者を外に出す。

足りない人たちも、外に出てもらう。

横柄な冒険者は、椅子に縛り上げた。


何かわめいているけど、バーベキューの始まりだ。


「ここなら思う存分食べられますよ。・・・残さず食べてくださいね」


肉、肉、肉。


魔獣の肉を焼いては積み上げ、強制的に席につかせた冒険者の口に運んでいく。

手伝いは、キドナップバブーン。

一番横柄な冒険者には、ボスが相手してくれている。

彼らも宿の従業員だからね。


のどに使えそうになると、エールビールを流し込む。

全部、キドナップバブーンが、横柄な態度の者には対応した。

ほかの人たちは、和やかに食べている。


いつの間にか苦しそうにうめいて、冒険者が気絶していたけど、キドナップバブーンたちは気にもしないで、口の中に肉を詰め込んでいる。

うん。

そこまでにしてあげてね。


「皆さんも、食事は落ち着いていただいてくださいね」


にっこり笑ってあげよう。

次はあなたたちかもよ?


メイちゃんが考えて焼いてくれてたようで、食材はほぼ残らなかった。

よかったわ。

やはりメイちゃんは優秀ね。


解散して、宿に帰ると、プラム郷の従業員たちが、片づけを終えていた。

横柄な冒険者たちを部屋に放り込んで、反省会だね。


ビュッフェはやめて、定食風にすることにしよう。

メイちゃんがいくつか案を出してくれたから、それを採用。


でもたまには肉祭りを強制でやりましょう。

肉が減らないしね。


オープン最初の困ったことはこれで終わりかな。


翌朝、横柄な態度だった冒険者が、宿の従業員に誤りに来たということは、あとで聞かされた。


お読みいただきありがとうございます。毎週水曜日更新しています。

評価、誤字脱字報告、いつもありがとうございます。

書こうと思うことが最近よく忘れています。

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