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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
93/281

93~道は厳しい~

およみいただきありがとうございます。 居眠り女主人公、プラム郷で、のんびりしています。


「お嬢さま、コレは何ですか」


今、私は、メイちゃんに指摘されたものを見る。

うん。

なんだろうね、これ。

おかしいな。


「いいですか、お嬢さま。食材を無駄にしてはいけません。ましてやプラム郷の住人が一生懸命育てたものです」

「はい、ごめんなさい」


見るも無残なこれは、私がダメにしたおやつだ。


話しは、少し前にさかのぼる。


いつものように、広場にテーブルと椅子を出し、メイちゃんの作るおやつ待ちをしながらお茶を飲んでいた。

ここの住人はみんなあくせく働いているけど、私はのんびりだ。

率先してやらないといけないことって、そうそうないからね。

メイちゃんやシツジローくんに任せてる。


そこへ、獣人一家の妹のほう・・・名前は忘れたが、が来た。

兄もお手伝いで忙しいから、つまらないのだという。


「おじょーさまもひとり?」

「ん?どうしたの?」

「みんないそがしいから、ひとりであそんでいなさいって」

「そっかー。それならここで一緒にメイちゃんのおやつ待とうか」


椅子をもう一脚出す。

妹ちゃんはうれしそうによじ登ってきた。

そこにメイちゃんが、私と妹ちゃんの分のおやつを出してくる。

私には茶請け程度の量のクッキー。妹ちゃんにはさらにいっぱいのクッキーだ。

いいタイミングだ。よくわかっているようだし。


「メイおねえちゃんのおやつ、うれしい」


そうでしょう、そうでしょう。

メイちゃんの料理はピカ一だからね。


小さいとはいえ、獣人らしく、食欲は王政のようだ。

すぐに自分の分を食べ終わったらしい。

私が食べている分も見ている。


「たべなさい」


渡すとすぐほおばった。

うれしそうだ。

今まで六にご飯も食べていられなかったらしく、まだ体が小さいけど、食欲はすごいな。

あっという間に皿が空っぽだ。


「たりない・・・」


そうだよね。

子供とはいえ、獣人には少なかったのか。

でも、メイちゃんは、ほかの作業に移っているし、どうしようかな。


「おじょーさまは、おりょうりできないの?」

「ん?」

「いつもたべてるだけだから、おりょうりできないの?」


なんてことを言うんだ、この仔。

私は料理スキルは低いだけで、できないわけではない。

しかも、この前、少しずつ手伝った成果で、スキルレベルが3になったんだぞ。

料理のスキルが3になると、普通の料理ができるようになる。

たいていの主婦の奥様方は、3とか4だ。

つまり、その辺の奥様方並みにはできるはずだ。


「私にもできるわよ」

「ほんと?」


うっ。

そんな目を輝かせても、困るわ。

メイちゃんほどおいしいのは期待されても困るし。


「そうね、妹ちゃんもいずれはお手伝いとかでお料理も作るでしょう。今からでもやりましょうか」


年長者の私がついているのだから、大丈夫よね。


「ナナだよ」

「ん?」

「わたしのなまえ、ナナ」

「そうかー、ナナちゃんかー」


よし、覚えておこう。

しかし、獣人の子供はかわいいな。ああ、頭撫でて、もふりたい。


「今から、ここに、調理器具とか出すから、ちょっと待っててね」


空間魔法から出し、セット完了。

簡単なものでいいよね。

おやつ・・・

パンケーキかな。

これならナナちゃんにも混ぜるとか手伝わせることできるしね。

焼くのは私の仕事だね。


材料は、家に戻って取ってきた、小麦粉と砂糖と卵。

ベーキングパウダーがないけど、まあいい仕方ないでしょ。


「まずは、このボウルに卵を割り入れます」


ナナちゃんと一緒にやる。

卵でかいのよね、ここの。

まあいいか。


コンコン、グシャ・・・


あれ?

おかしいな。

きれいに割れないな。


「おじょーさま・・・からがはいってる」


うん。

卵の殻がほぼ粉みじんになってはいりこんじゃったよ。なんで?


「か・・・カルシウムよ」

「かるしうむ?」

「そうよ。健康にいいのよ」


ごまかしておこう。


「つぎは、これをまぜまぜします」


泡だて器でいいよね。

ナナちゃんに渡すと、一生懸命ぐるぐるしてる。

かわいいな。


「そろそろいいかな?そしたら、小麦粉と砂糖を入れます」


あ、グラムはかってきてないや。

適当でいいか。


・・・・


なんでかボウルに、こんもりしちゃったけど、卵も多いし、何とかなるよね。


「これもまぜまぜするの?」

「そうだよ」


今度はへらを渡す。

一生懸命やっているけど、おかしいな。

粉っぽさが消えないな。

まあでも大丈夫でしょ。


「これをフライパンに流し込んで、焼きます」


コンロに魔法で火をつけて、豪快に流し込めなかった。

かたいな。

まあ、ヘラで入れればいいや。


「あとは焼けるのを待つだけだよ」

「わあい」


待つこと数分。

ちょっと焼き上がり遅いな。

強火にするか。


魔法で火を強くして、あ、そうだ。

ふたをしておけば早くできるよね。

フライパンにふた。


・・・なんだか、黒い煙が上がってきているな。

焦げ臭いし・・・


「おじょーさま、へんなにおいする」

「うん・・・もう焼けたかな」


焦げている感じがするけど、まあ最初はこんなものだよね。

火を止めて、まだあついから少し待とう。


「もうちょっとだよー」

「わあい」


そろそろいいかな。

ふたをあければ、おいしいパンケーキだ。


・・・



「お嬢さま、コレはなんですか?」

「ごめんなさい」


そして、冒頭に戻る。


おかしいな。

何が間違ったんだろう。

そして今、なぜメイちゃんに怒られているんだろう。

ナナちゃんは泣いちゃってるし。


パンケーキが、焦げてフライパンにくっついているし、どう見ても食べられるものじゃないし、よく見ると中は生焼けらしい。

パンケーキは?

どうしてこうなった?


「お嬢さまはお料理をしないで下さいと、あれだけ言い聞かせましたよね」


外だから、いいじゃん。

おうちで爆発させたわけじゃないし。


「二度と!いいですか?二度と私がいないとこでの料理は禁止です!」

「はい・・・ごめんなさい」


料理の道は厳しいな。

スキルレベルが上がっても、できないものはとことんできないようだわ。


メイちゃんが、おなかをすかせているナナちゃんのためにパンケーキ作ってくれた。

ナナちゃんも泣き止んだし、よかったよ。


・・・材料がそろっていなかったのも原因だよね。

ミルクがなかったんだね。

水でもよかったと。

なるほど・・・


メイちゃんのいないところで作るのは禁止は、守ろうと思いました。

ちなみに、失敗作のパンケーキはスライムのご飯となりました。

ごめんよ、スライム。


お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。

全開の続きのミュゲのこと書こうと思いましたが、今回は、急に思いたって、おやつになりました。

アイリーンの料理スキルはまだまだです。

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