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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
90/281

90~サカイの姪~

いつもお読みいただきありがとうございます。今回は、サカイの姪御さん出てきます。たまには女キャラが必要ですよね。

もうすぐ春だ。

雪が解け始めた。

まだ寒いけど、私の眠りは多くなりそう。

春眠暁を覚えずだ。

まだ冬だけども。


空き家を増やしてみた。

もう少し住人を増やせないだろうか。

サカイ様からの紹介された住人は、もう少ししたら、この集落に来させる。

今はひっそりとサカイ様のお屋敷で過ごしているようだ。


家族三組。


一組は、鍛冶屋だったそうだ。

先祖が頼まれて作った剣が、やんごとなき方を刺してしまったのだとか。

それ以来、奴隷のような扱いで、隠されながらとある貴族の鍛冶をやっていたようだけど、逃げたという。

鍛冶の才能がない家族が殺されていくのが、耐えられなかったのだそうだ。


一組は、女性二人だった。

結婚が嫌で逃げたとかいう、隣国のそのまた向こうの国のお姫様、なんだとか。

一緒に来ているのは乳母だそう。

嫁ぎ先での所業に耐えられなくなったそうで、乳母が連れて逃げてくれたそうだ。

身分は隠して親子として、旅をしながらこの国に入り込んだという。


最後の一組は、聞いていた通りの、プレイヤーの養子の子孫。

薬屋をやっていたようだけど、錬金術師だということが知られて、迫害されたという。

錬金術師が迫害されたってどういうことなのかと思ったけど。

力がないから従わせられそうになったということらしい。

プレイヤーなら、国一つ壊しているかも知れなかったけど、違うものね。


厄介そうだけど、集落なら受け入れちゃうんだろうな。

名前を変えるでもよし、そのままでもいいんだけど、集落の人たちとは仲良くしてほしいわね。


集落のほうは、何とか形ができてきた感じ。

宿屋の接客も、ご飯づくりも、集落の大半ができるようになったし。

私は料理も掃除もできないけどね。


農作業も、その合間に分担しているようだけど、農作業って大変だからなあ。

何かいい方法ないかな?

せめて耕すための農具だけでも楽なものがあればいいんだけどな。

耕運機かな?

でも動力が必要なのか。

そうするとやっぱり、錬金術師育てて、核石作らないとな。

養子の子孫だけじゃ、ダメだよね。

集落で相談してみようかな。


春になってから、また少しずつやれればいいよね。

まだ冒険者ギルドもできないし。

あとは、耕すのって、土魔法でもいいのか。

土魔法使いのレベルをあげさせないとね。

あまり老人を働かせるのはよくないだろうけど、喜々としてやるものね。


私もベッドの中でごろごろしている場合じゃないんだなあ。

でも、起きたくないな。

もうひと眠りしようかな。


コンコン


目を閉じたとたんのノック音。

なんだろ。


「お嬢さま、お目覚めでしょうか。サカイさんが来ております」


メイちゃんだ。

えええええ。

面倒くさいな。

起きたくないんだけど。


昼間だというのに、冒険者ギルドの仕事はどうしたのよ。

ほんと、面倒くさい。


「サカイさんが、女性を伴っておいでなのです」


ほんとに?

お目目ぱっちりだよ。

みたいわー。からかいたいわー。

だっておばちゃんだもの。


「すぐ行くー」


着替えて、リビング。

どんな方かなー。


「ずるいですわー!!!!」


廊下に出たとたん、そんな大声が聞こえた。

女性の声だ。

この声の持ち主が、サカイが連れてきた人なのだろう。


リビングの前まで来ると、さらに声が聞こえる。


「ずるいですわ。こんなおいしいものいつも一人で食べてたんですの?おじさまもおじいさまもひどいです」


????

何のことだろう。

おじさま?


戸を開けると、お菓子をほおばっている女性というか少女がいる。

隣でサカイが困った顔だ。


「あ、師匠」


サカイが気づいたようで、こちらに顔を向ける。少女もお菓子でいっぱいのほほのまま、こちらを向く。ハムスターかな?


「おはよう。・・・どうかしたの?」

「あ、いえ、今日は、姪っ子の紹介できました」

「姪御さん?」


この子が姪御さんなのでしょうけどね。

見た目は十代も後半て感じで、よく似てて美人さんだけど・・・

やっぱりハムスターかな。


「むごごむごごごご」


何か言っているけど、食べ物は飲み込んでからにしなさいよ。


「ごっくん。・・・お初にお目にかかります。ブルーム・サカイの姪で、ミュゲ=ガージスですわ」

「ん?何処かで聞いた家名だわ」

「あなたさまは?」


おお・・・

名乗らないと、つんけんするのか、この子。


「アイリーン・プラム・シュガー。プレイヤーよ」

「あなたが?小娘じゃないの!おじさま、どういうことなの!」


小娘って。こちらのセリフだわよ、お嬢ちゃん。


「ミュゲ。失礼なことを言うんじゃない。アイリーン師匠は、プレイヤーなんだぞ。年齢はとてつもなく上だし、先祖サカイのご友人だ」


あんたも失礼だわ、サカイ。


「それで?何しに来たの」


私はもうひと眠りしようとしてたのに。


「おじさまが、錬金術師の端くれになったと父から聞いたのよ。それで、確かめに行ったら、おじいさまがプレイヤーがいるって教えてくれたから、会ってみたかったの」

「ちち?」

「師匠。ミュゲは、ギルドマスターの娘です」

「がるがるさんの?」


似てないな。

そういえば、サカイの妹が、嫁いだんだったな。

美人なんだろうな。


「がるがるさんて誰よ。父はガルガンギ=ガージスよ」


だからそういっているのに、なんだこの子。


「ミュゲ、やめないか。師匠は人の名前が覚えられないんだ」


サカイもたいがい失礼だわ。


「まあいいわ。それで?」

「私も!私も錬金術やりたいの!」


ええ?

集落のこともあるから、王都中央部の人間になんてさいている時間ないわ。


「いいでしょ!」

「断ります。私は今、集落の再建で忙しいの」

「それなら、それ手伝うから!」

「そういう問題じゃないのよ。大体、ここから何日もかかる集落に、あなた通う気なの?」

「そこにすめばいいじゃない。わたし、一応、貴族だけど冒険者でもあるのよ。多少の不自由は気にもしないわ」


私は気にするわ。

サカイ、どうにかしなさいよ。


「すみません、師匠。お願いします」


姪っ子に甘いのか、この馬鹿弟子が!


「がるがるさんの許可は?」

「とってないけど、もう私も一人前だから、父の許可はいらないわ」

「そんなことないでしょ。許可が取れたらもう一度来なさい」

「ええー」

「えーじゃない。あたりまえのことでしょ。サカイもよ。許可がきちんととれたのかの証明を持ってきなさい。勝手に姪御さんの将来を決めるんじゃないわ」

「私はもう大人です」


そういうとこがこどもなのよ。

確かに十歳くらいで外に出されるからって、貴族がそんなわけないじゃないの。

頭痛いわ、この一族。

血がつながらなくても、スーベニア・サカイの子孫なんだな。


「今日のとこは帰るけどー。このお菓子もっと頂戴」


あ、子供だな、この子。

メイちゃんに持ってこさせると、大喜びだ。

ほんとに十代なのかな?甘やかせすぎじゃないの。


「今日はほんとにご迷惑をおかけしました」

「わかっているなら、面倒なことはよこさないで」

「また夜に来ます」

「はいはい」


ご飯に来るんでしょ。

ほんと食いしん坊一族め。


二人を見送る。

ああ、精神がつかれたわ。

もうひと眠りしよう。

お読みいただきありがとうございます。毎週水曜日更新しています。誤字脱字報告、評価もありがとうございます。まだ話の中が冬だ。

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