87~教会と桃リンゴパイ~
いつもお読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、ずっと集落にいます。
集落再建頑張ってほしいけど、難しいことはできません。
数日寝ると、もう、冬の半ばも過ぎていた。
当たり前だけどね。
雪は、春が来る一週間前ころから溶け始めるのだそう。
春の最初には雪はなかったな。
気づくと私が来てからもうすぐ一年か。
濃い一年だったようにおもう。
集落再建なんてやる気もなかったしね、最初は。
でもここが建て直せたら、また旅に出ようと思うし、いいかな。
私が寝ている間に、メイちゃんが、住民に料理を教えていた。
宿で出すためのものだ。
やはり私よりも、料理スキルがあるだけあって、覚えは早いらしい。
卵かき混ぜるくらいはできるもん。
ジャムさんに聞いた集落がどれほどかというのは、外の畑と、さらに向こうにある、小さな丘も実はここの集落なのだそう。
だけどそこまでは手が回らないので、何もしないようだ。
確かに手が回らないよね。
外の畑のほうも、囲っておく。
外からいろいろ見えないようにしておこう。
ほかの人たちや、冒険者は、広場よりこちらに来ないようにしないとね。
集落の住民となるものだけが、いろいろな内情は知っていればいいし。
木でできた墓も、石で作り替えた。
死者が復活して魔物化しないように、周りも浄化する。
住民たちと一緒に祈った。
そういえば、ここにある石壁は何だろう。
「おばあちゃん、この石壁何?」
「これはもともと協会があったらしいけど、私が小さいときにはもうこんなだったよ」
おばあさんはここの出身なんだそうだ。
教会か。
神官もいないものね、ここ。
たてるかな。
「ここって、宗教何?」
そういえば、この王国の宗教知らないな。
「創神教だ」
なにそれ?
後ろで、運営さんが咳払い。
ああ・・・
そういえば、運営さんは創造神だった。
「ああ・・・はいはい。よく知ってる」
笑いそう。
あなたたちの神様ここにいますよ。
ゲームの中にあった教会をたてればいいのかな。
でもあれだと、荘厳すぎだしな。
小さめの教会建てればいいかな。
石壁だったというのなら、石で作ればいいのだろうし。
外に出て、土を持ってくる。
魔法で建てていく。
「中のご神像って・・・」
「木でできていたな」
そうなんだ。
私は見たことないから、目の前の運営さん姿になりそうだから、それは集落の住民に任せよう。
集落の家に戻って、盛大に笑ったら、運営さんがすねたけど、いいかな。
それよりも、外の畑も全部、ガラスハウスにしたい。
そのためには、拠点ではなく、ここに錬金施設作らないと。
ああ、でも、25人しかいないのだし、だれが錬金に向くかわからないわ。
「人が足りないなー」
「来ないからな」
そうなんだよね。
何かいい手はないだろうか。
仕事を欲しがっている人がいても、すぐに収入を渡せるわけではないしね。
ここの集落にすんでくれる人を探さないと。
ここが有名になれば、住民の子供たちも帰ってくるかもしれないけど、それまでは厳しいよね。
<健康になって寿命も延びたから、少しはいいだろう>
そうだけど、それでも人が少なすぎる。
畑と宿にさくだけで、みんなずっと働いてしまう。
それでは、私の前世と同じだよ。
「スーベニア・サカイ様に、ご相談してみてはいかがでしょうか」
サカイ様に?
確かに、何か考えてくれるかもしれないけど、どうやれば相談できるかな。
「手紙でも書いてみたらいかがでしょう。サカイさんなら、スーベニア・サカイ様に渡せるのではないでしょうか」
確かにいいアイデアだわ。
さすがシツジローくん。
早速お願い。
そちらは期待するとして、あとはメイちゃんがお料理や宿の接客教えてから、帰ってくるだけだな。
そういえば、ここの名物とかも欲しいよね。
桃リンゴあったよね。
見た目リンゴの味が桃。
パイしか作ってないけど、ほかにもできそうだけど・・・
どうせなら、片手で食べられる揚げパイがいいな。
前世でよく食べてたファーストフード店のパイは好きだったな。
「あれって、作り方は・・・」
「レシピになければ、わからんな」
あるかな?
でも、パイ生地に包んであげるだけだから、再現できてなくてもいいよね。
中はカスタードと桃リンゴだね。
メイちゃんが帰ってきてから、お願いしてみた。
私の説明で、メイちゃんが作ってくれたのは、一口サイズの、つつみあげのパイだった。
これをもう少しほそくして長くしたのも作ってくれた。
おお!
中はトロトロでおいしい。
これを食堂でも出せるようにしよう。
住民に教えるといってくれたし。
冬の終わりまでに、どこまで集落を活性させられるかな。
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