85~集落再生への第一歩目~
いつもお読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、ここのところ集落にいます。
王都中央部で行われてた王国祭も、いつの間にか終わった。
私は寝てたので、気づかなかったけどね。
冬も、もう中盤だ。
サカイさんが預かってきたという書類は、集落を私の自由にしていいということが書かれていた。
税も少なくなっているそうだ。
でも、自由人のプレイヤーだから、名前だけで、ジャムさんに集落のまとめ役はやらせるという。
あの人、集落の長だからね。
すっかり忘れていたけど、ここの集落には、冒険者ギルドができる手はずになっている。
でもこの雪深さは、どうしようもないと思う。
二日もかけて場所が違えば、当たり前だけど、気候が少しずつ違うのだけど、それにしてもここは雪が多すぎる。
ほぼ毎日のように、雪が降ってくれるから、雪かきというか、魔法を使う機会が多くなっている。
住民の魔力量が多少増えてきているのだ。
いいことなんだけど、なぜかキドナップバブーンたちも魔法が使えるようになってしまっている。
見よう見まねでできてしまうものなのかな。
<キドナップバブーンたちも、魔力は少なからずあるが、使い方が分からないのだろう。そのために使ったことがなかっただけだ>
なるほど。
住民の誰かが教えたのかもしれない。
生きているものは多少なりとも魔力があるようだしね。
ここの住民実たちは、ほかの人たちよりも魔力は高い。
厳しい環境だからだろうと思う。
いいことなのか悪いことなのかはわからない。
ここの住民たちの子供たちが帰ってくれば、もう少しはましなんだろうけどな。
でもここの人たちはあきらめているようだし、ほかの住民を呼び込むようにしないとだめだろうな。
「というわけで、ジャムさん。まずは宿を作って、来てくれた旅人を休める場所が必要だと思うの」
「何が、というわけなのかさっぱりわからん」
なんで話が通じないのよ、このおっさん。
「集落の人たちも畑仕事だけじゃダメでしょ。きちんと賃金が必要な仕事をして、収入をえて、集落をもっと住みよいところにしましょうよ」
「ここには年寄りしかいないんだぞ」
「年を取っていたって、できることはあるでしょう。宿屋なら、掃除や洗濯やお風呂や料理だってやれる。そのうちできる冒険者ギルドがあれば、冒険者が泊まるでしょ」
「だが、今まで無料で家を貸していたしな」
「その家はもうないんだから、これからは別の提供しないとね。素泊まりでもいいし、長期のお客でもいいし、ただの観光だっていい。お風呂があって、自由に入れるとかなら結構来ると思うの」
ジャムさん何か考えてるなぁ。
「料理はメイちゃんがおいしいものを教えてくれるし、果物や野菜もガラスハウスでとれる。ここの人たちって、なぜか識字率高いから、計算もできるみたいだし、ほかより安くてもいいじゃないの。宿の名物は、いやし草のスープとかでもいいし」
「だが先がないぞ」
「ほかからの勧誘もありだと思うの。ここにすんでくれる人たちだっているはずだよ。鍛冶仕事できそうな人たちも勧誘しようよ」
「そう簡単なものじゃないぞ」
それは当たり前だわ。
この集落再生には必要なことだし、悠長なことはできないのも事実。
「ここのおじいちゃんおばあちゃんはさ、技術の塊だったんだよ」
「は?」
「私のスキルの一つで、人の経歴が見えるのがある。ほかで技術を磨いて、引退してここにすんで、継承できないで今に至る人ばかりだよ」
「だがな・・・」
「毎日飲んでいるいやし草のスープはね、体を頑丈にもしてくれるし、寿命を多少なりとも伸ばすこともあるの。若い人に技術を継いでもらうのはありだと思う」
あまりこのことは言いたくなかったけど、ポーションにしなければ、実はいやし草はいろんな可能性を秘めている。
ここの住人もキドナップバブーンたちも、ほかの地域の人たちより、絶対に頑丈なはずだ。
「だがどうやって住民のかんゆうをするんだ?」
確かにそれが問題だな。
ジューノさんにつてがあるかも聞きたいし、サカイさんに聞くこともできそうだ。
「考えてみるよ。その前に、宿作ったりしちゃおうか」
まずは宿づくりだ。
入り口から少し外れて、宿を作ろう。
冒険者ギルドを隣に設置するのもいい。
入り口一帯の雪を溶かしてからだから、また明日以降となると思うけど。
側だけ作る。
あとは少しずつやっていこう。
材料もとってこないといけないな。
冒険者ギルドは、サカイに設計図を持ってきてもらって建てればいいや。
「これから忙しくなるよ。みんなにも伝えておいてね」
「わかった」
これから、この集落は甦るんだ。
どこまでやれるかわからないけど、頑張ろう。
それにしても冬は寒いな。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日に更新しています。誤字脱字報告、評価もありがとうございます。
集落の宿って、前にも作ったような・・・?忘れてます。




