84~集落は雪深い~
お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、起きてます。
集落のことは、まだまだ始まったばかりですね。
王国祭は、一週間ほど続くという。
最初の日に、王様を祝い、一日中城の中でパーティ。
次の日は、町の中をめぐるらしい。
三日ほどめぐって、五日目から二日間、禊をするのだとか。
神様に一年の平和を祈るのだそうだ。
最終日もパーティ。一年よろしくとか、褒章とか、そう日らしい。
ここの宗教って、なんの神様かな。
創造神である運営さん、ここにいるんだけどね。
そんな御城でやっている祭りは私に関係ないから、集落の雪かきの手伝い。
といっても、魔法でやるのだから、肉体労働とは言えないのだけど。
集落のほうの雪は結構積もってて、年寄りばかりのここでは危ない。
ジャムさん一人でやれる量じゃないし、わたしやメイちゃん、シツジローくんが、ほとんどやっている。
運営さんは、システムの見直しに行っているから、ここにはいない。
キドナップバブーンたちは、集落の住民とほんとに仲良しになっているようだ。
住民たちの介助をしているものもいる。
実は結構頭脳が高いのかもしれない。
入り口のほうはともかく、住民が住んでいる場所は、広場まであらかた雪が無くなった。
あとは、住民の魔法使える人たちがどうにかするだろう。
食料は、ジューノさんが運んでくれてたもので、この冬はしのげるようだし、ガラスハウスに、果物や野菜もある。
私たちが来て、肉や野菜を置いていくことも可能。
春になったら、税を納めないといけないから、一部の小麦の蔵は、そのままになっている。
あの分があれば、少しはましだろうとは思うのだけどね。
製粉機も、もっと楽なのにできればいいよね。
何か案があればな。
ほかのとこってどうしているのだろうか。
麦は、どこも過剰状態だと思う。
ここでは足りないけど、だからこそ、税として持っていかれる分は少ないし、ここの住民だけでは、見逃したくもなる。
「ジャムさん。ジューノさんは次はいつ来るのかな?」
「春になって雪が解ければ来るだろう。この時期の森は抜けるのが困難だ」
確かにそうだ。
森の中の雪はここよりもすごいと思う。
これだけでも寒くて出たくないから、行かないけど。
「この時期にダンジョンから虫が出てきたら困るけどな」
一時期そういう年があったらしい。
虫はやめてほしい。
冬なんだから、虫も引きこもっていてよ。
虫は好きじゃないんだから。
「ジューノさんのところ行ってくるわ」
「ああ」
ポータルで行けばいいだけだから、楽だわ。
ジューノさんの店の裏も、雪がすごいけど、雪かきがしてある。
ここも、水魔法使いや土魔法使いが活躍しているのだと思う。
獣人でも、ここではあまり関係ないからだろうな。
それでも、王都中央部には店を出せないのか。
雪の街は、閑散としている。
寒いから外に出る人が少ないのだと思う。
店内も、この日はあまり客がいないようで、奥さんが暇そうだった。
「こんにちは」
「あらあらあら、いらっしゃい。主人呼んできますね」
きつね奥様がすぐにジューノさんを呼んできてくれた。
奥で帳簿を付けていたらしい。
「突然ごめんなさいね、ジューノさん。ちょっと相談があるのよ」
「なんでもどうぞ、アイリーン殿」
「お言葉に甘えるわね」
ほかの地域の製粉技術のことを聞いた。
あの集落のは古すぎだからだ。
もっと楽にできるようにはならないのだろうか。
結果は芳しくなかった。
そういう技術面は、門外らしい。
仕方ないか。
「お役に立てずにすみません」
「いいのいいの。それじゃ、またね」
運営さんなら何かいい案があるかもしれないな。
集落に戻って、あいさつをして、家に帰る。
まだ運営さんは戻っていなかった。
冬はまだ長い。
運営さんが帰ってから聞こう。
しかし、夜はどんどん冷えるな。
家の中は快適温度のはずなのに、寒い気がする。
早くお布団にもぐろう。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価もありがとうございます。寒さが厳しくて、手が痛いので、あまりかけなくてすみません。




