83~王都中央部も初雪だ~
いつもお読みくださりありがとうございます。居眠り女主人公、最近寝ている時間のほうが少なくなったかな。王都中央部も、王国祭です。
王国祭の始まりは、王都中央部の初雪の日だ。
前の王様の時は、真夏だったそう。
つまり、王様の誕生日が、王国祭の始まりなんだけど、どの国も、そんな感じらしい。
建国記念日とかじゃないのが不思議でならないけど、王様によってはやらない人もいたとか。
あと、ただのお祭りなのだそうで、王都中央部以外は、そんなに盛り上がっていないのだとも、スーベニア・サカイ様が言ってた。
貴族は王宮に集まって、盛大にお祝いを述べるらしいけど。
街はただのお祭りだな。
寒いから、あまり外には出たくないけど、まだうっすらとしか積もっていない中を、商店街地区に行く。
広場は、その前からやっている屋台ばかりだ。
この前の、シルコのおばちゃんは・・・いないな。
全部買っちゃったんだから、店を出せないのか。
よく見ると、いろんなところからの行商人が多い。
いいものあればいいけど。
ポーション屋さんがある。
本物のポーションだ。
勝手に鑑定するのはいけないけど、店主も鑑定してみる。
・・・
プレイヤーではないようだ。
でも作り方はプレイヤーに教えられたのかもしれない。
ポーションとしては、中級までのものが売っているけど、やはり高いね。
早くこの国にも普通に買えるようにしないとね。
それでも、冒険者が買っていくのだから、ポーション屋さんはもうかっているようだ。
「メイちゃんとシツジローくんと運営さん、何か欲しいものある?」
「珍しい食材がありますから、それを少し」
メイちゃんの意見は賛成だ。
買い占めてもいいしね。
シツジローくんは農具が欲しいらしい。
運営さんはよくわからないものを売っている屋台をのぞいてる。
「運営さん、それは何?」
「いや、わからぬ」
わからないのか。神様なのに。
「アイリーンなら見たことあるのではないのか?これは、こちらの世界のものではないぞ」
「え?」
なんでそんなものがここに?
「どうやらプレイヤーから、そこの屋台の店主の先祖が買ったらしい。なのであちらのものか、プレイヤーが作ったものだろう」
なんだろう。
見た覚えはあるけど、わたしだって何でも知っているわけじゃない。
オリジナルで作ったものなんてわからないし。
でももとになるものがあるはずよね。
竹とんぼ…にみえるけど、なんだったかな・・・・
青い狸のアニメでよく使っていたやつに見えるけど、動かないみたいだし。
「う~ん・・・」
「まあ、回収しておくのはいいことだろう」
「たしかに」
出回ってもわからないものだからね。
ほかにはおいてそうにないし。
それにしても、運営さんのほうが、わかると思うのよね、システム上。
運営さん、首を振っているから、やはりわからないのか。
メイちゃんの言う食材と、シツジローくん希望の農具を買う。
農具、自分で作ったほうがよさそうな気がするけどな。
あとは適当においしいものを買って帰宅。
やっぱり人混みが多いと苦労するな。
「師匠!どこ行っていたのですか!」
家に帰ってそうそう、どうしているのかな、このおっさん。
「王国祭」
たくさんの掘り出し物と食材は、私の空間に収まっているけども。
「おじいさまがおよびです」
「ことわる」
「そこをなんとか」
「自分で来い」
なんで私が行かなくちゃいけないのよ。
面倒くさい。
「というと思いまして、おじいさま、いらしてます」
えー・・・
何人の行動読むかな。
サカイが示す方向。
庭の奥で、精霊の命の木を見ている、スーベニア・サカイ様。
スライムも手にもたれているよ。
なんでなついているのかな。
「庭は寒いですよ、スーベニア・サカイ様」
「お早いお帰りでしたな、アイリーンさま」
「いや、さまづけはやめてよ。それより、どうしたの」
もう、敬語なんて使っていられないよ。
面倒くさそうな予感しかしないし。
「実は、シャイニーグレープを先に献上したのですよ。そうしたら、それを手に入れてきた冒険者を連れて来いと、陛下が」
「いや」
「というと思いましたので、実は陛下も来てます」
なんですと?
聞き間違いかな・・・
精霊の命の木の裏側から、さらにおっさん出てきた。
加齢臭が充満しそうだから、おっさんがそろうのはやめてほしいわ。
いや、それよりも、今日の主役じゃないの?この人。
「そなたは表情で語るのだな。うむ、大丈夫だ。夜に帰れば間に合う」
「人の表情で言いたいこと読むのやめてほしいですが、はじめまして。プレイヤー国出身の、アイリーン・プラム・シュガーです」
礼儀なんて知らないよ。
どうでもいいわ。
いざとなればつぶそう、この国。
とりあえず、私は寒いので、部屋にいれる。
靴を脱ぐ習慣がほぼないらしいけど、消毒と足を洗ってもらって、こたつの部屋だ。
足を突っ込む、こたつの暖かさに驚いていたけど、それは無視。
メイちゃんが紅茶を持ってきて、サカイが毒見してた。
毒なんて入れないけど、いろいろあるようだ。
「われはこの国の国王で、ゼブラフ・ドレーン・グリーンバズスだ」
一息ついて、王様が名乗る。
あれ?この国って、そういう名前なんだったっけ?
<国の名前とは一致しない。グリーンバズスという一族が、今、この国の国王をやっているのだ>
そうなのか。
そのトップがこのおっさんなのね。
「それで、なんですか」
敬語?
そんなもの使わないよ。
私は自由。
めんどうくさいのが嫌い。
私は私が欲しいものだけに興味があるからね。
「ただ、どんな冒険者なのか会ってみたかっただけだ。そうか。プレイヤーか。この国では自由にしてくれていい。後、サカイから聞いたのだが、とある集落の立て直しをしているとか。その集落は、君に渡そう。正式な書類も作らせたら、サカイに持たせる。それより、外の木はすごいな」
精霊の命の木のことよね。
「あんなにきれいな木が、この王都中央部に存在しているとは」
「あれは、精霊の命の木。本来ならエルフの里意外には育たないし、生えることもないのですよ。なのに、間違えて生えたから、何度もきられたけど、この木の保護も兼ねてここにすんでいます」
「あの木は王国で保護しよう」
「エルフの里に返すので、保護はいりません」
「そうか、残念だ」
紅茶と一緒に出されたお茶請けが、プラントグレープなのは気にしないんだな、おっさん。
そのほかに、シルコも。
あ、私の汁粉・・・お代わりしないで!
なんて図図しいんだ、このおっさん二人。
まあいいか。
さらに図図しく、食べまくっているサカイもいるしね。
「それより護衛もつけずにここまで来たのですか」
「護衛は必要ない。なあ、サカイよ」
「陛下はお強いですから」
ん?
どういうことだろう。
「陛下とは学生時代からの悪友でな。こっそり長期休暇に名前を偽って、冒険者登録しては、魔獣狩りやってたんじゃ」
「一応、われもサカイもAランクじゃぞ。城のうるさい奴らに見つからなければ、もっと上を目指したというのに」
なんだこのおっさんたち、脳筋だったわ。
なのに孫のサカイは、ダメ冒険者なのね。
「それに、護衛は撒いてきたから、ここのことは知らんだろう」
まいちゃったんだ・・・
あとで怒られればいい。
「陛下。そろそろ戻りませんと」
「うむ。もうそんな刻限か。誕生日など何もうれしくないというのに」
帰るらしい。
メイちゃんが、手土産を用意している。
できるメイドだわ。
牛が残ったから、それを使ったちょっとした料理と、シャイニーグレープと桃リンゴのパイだって。
私も食べたい。
といったら、私の分もあるって。
できるメイドだー。
入れ物は、空間魔法施してあるし。
見送り後、メイちゃんが消臭剤撒いていたのには、笑った。
運営さんは、ただ黙って話を聞いていただけだと思ったけど、どうやら、姿を見えなくしていたようだし。
王国祭の最初の日。
つかれたなー。
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