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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
80/281

80~夕方なのにせわしない 2~

いつもお読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、一日が長いですね。

全開の続きです。


メイちゃんが戻ってきた。

ジューノさん夫妻はもう少ししたらまた迎えに行くという。

王国祭のため、今は門前街が少し暇なのだそうだけど、まだ店をやっている時間だからだとか。


「それなら、準備に入りましょう」


牛の丸焼きとイッセーシュリンプがメイン。

ジャムさんに広場を提供してもらう。

メイちゃんが丸焼きのための窯を魔法で作っている。

丸焼きのイメージが違ったけど、くくってぐるぐる回すのを見るのはちょっと嫌だからいいか。


「何頭くらい食べるかな?」

「おい・・・何頭いるのかわからないが、牛一頭でも、この集落の人間だけじゃ、多すぎるぞ」


ジャムさんの言う通りかもね。

年を取ると食欲減退だものね。

私も30過ぎたら食欲がなくなってきた。

油ものってちょっと…になったし。

ジャムさんとサカイさんには通じない気がするけどね。


「キドナップバブーンもいるし、二頭は焼きましょう」

「ああ、魔物がいるからな。いいだろう」


窯が大きいものが出来上がって、火魔法使いが手伝って、中に火をつけている。

高温で蒸し焼きらしい。


「師匠・・・朝からいないと思ったら、なんです、これ・・・」

「ん?トライデントタウロス。見たことないの?」

「ありませんよ、そんな高レベルの魔物!」


何か怒っているな。

年を取って怒りっぽくなったのかな?


「10頭くらいとってきたから、一足早い王国祭ということで、集落で食べようと思ってね。サカイも招待してあげたんだから、感謝しなさいよ」

「いやいやいや・・・おかしいですよ。本来なら、こんな魔物は、王城での晩さん会でしか食べないと聞きますよ」

「ああ、そうなんだ?スーベニア・サカイ様も、呼ぶ?」


そうだよね。

せっかくだから呼んであげよう。

プラントシャイニーもおすそ分けしたいものね。


「サカイ、呼んできて」

「いや、そんな急には来られないかと・・・王都の屋敷にはおりますが」

「よんできて」


命令だよ。


「わかりました。一応お伺い立ててみますが・・・」

「これなかったら、サカイも来なくていいよ?実はこんなものもとってきたけど、食べられないね」


イッセーシュリンプを出す。


「それはイッセーシュリンプ」


さすがにこれはしっているようね。


「それは、おじいさまの大好物です。めったに獲れないらしく・・・」

「いっぱいとってきてあるから、食べ放題」


シャイニーグレープと同じくらいあるのよね。

三桁超えてたし。


「幼いころに少しだけいただいたことがあります。とても美味でした」


やっぱりおいしいのか。

私は食べたことないけど。


「ああ、でも、サカイさんを戻すのに、メイちゃんは今、食事の準備中だし、シツジローくんもいないし・・・」


運営さんは返ってきたばかりだから、あまり働かせたくないな。

今日だって、朝からいろいろ連れてってもらったものね。

私が行くしかないか。


「お嬢さまどこに出かけるつもりですか」


私が立ち上がったことに気付いたメイちゃんが声をかけてくる。


「スーベニア・サカイ様を迎えに」

「お供します」

「だめだめ。メイちゃんはお料理作ってくれないと」

「お嬢さまを一人で出かけさせるわけに参りません。サカイさんでは心もとないです」


おおう。

サカイ、うちのコたちからの信頼低いな。


「せめて、デュース様をお連れになってください」

「え?運営さんは今日はいっぱい動いてもらったから、休ませないと」

「それならば、やはり私が」


メイちゃんの過保護。

困ったな。


「一緒に行こう」


運営さん、いいの?

つかれてない?


「デュース様がご一緒ならば安心です。お嬢さまをよろしくお願いします」


あれ?

もしかして、私が一人で出歩くのが心配なの?

私、ものすごく強いのに・・・


<アイリーンのところのドールは心配性だな>


わたしもそう思う。


「じゃ、行きましょうか。早くしないと暗くなるしね」

「ではここから貴族街まで転移しようか」


それ、神様の力であって、プレイヤーの力じゃないから。

ダメでしょ。


<プレイヤーによって、違うことができると説明すればいい>


そういうものなのかな?

それならそれでいいけど・・・


「サカイ。今から、その貴族街の入り口に飛ぶ。転移酔いは大丈夫か?」

「転移酔いは致しません、デュース師匠」

「ではいくか」


一応、ほかの人に見られると困るということで、家に入る。

運営さんがすぐに転移させてくれる。


あれ以来一度も来たことないけど、ここはサカイ家、の門前。

サカイの姿を見て、すぐに門の警備の人が、執事さんを呼びに行った。


「ブルーム様、いかがなさいました」

「あー・・・師匠がね、おじいさまにご用があると・・・大丈夫かな?」

「しばしお待ちください。とりあえず中へどうぞ」


応接室へと通された。

外でまたせるのなら、さっさと帰りたくなっちゃうしね。


サカイ様はすぐにやってきた。


「ようこそ、アイリーン様、デュース様」


さま漬けはやめてほしい。

私たちは一般人だ。


「スーベニア・サカイ様、実は今日はサカイ様をお誘いに来たのです。私は世話になっている集落で、ちょっとした食事会をするのですが、もしよろしければ、サカイ様もいかがでしょうかと。もちろんお忙しいのが承知しておりますけれど」


ああ、言葉がめんどくさい。

もう、丁寧な言葉使うのなんて、忘れちゃったよ。


「なんと!それはぜひにも!」

「ご当主様、いけません。もうすぐ王国祭です。その準備があるではないですか」

「やっておいてくれ。いいか?覚えておくように。陛下よりもプレイヤーのほうがはるかに重要なのだ。しかもこの方々は、先祖スーベニア・サカイのご友人。その方のお誘いは何よりも優先すべきことだ」

「しかし・・・陛下への贈り物もまだ届かないことですし・・・」


なんかグダグダ言ってるな。


「おくりもの?」

「陛下のご生誕のお祝いに冒険者に頼んでいるものが、まだ届きそうにないのです」


あらら。

間に合うといいけど。


「なにをおくるの?」


あ、聞いていいことなのかな?


「オークキングの毛皮ですな」

「何そのザコの毛皮」


雑魚でしょ。

そんなので喜ぶの?

それなら、シャイニーグレープのほうがいいじゃない。

めったにないものだし。


「スーベニア・サカイ様、いいものありますよ」


サイニーグレープを10房ほど出す。

素敵な金色の輝きだ。


「こ・・・これは・・・」

「プラントシャイニーグレープです。よろしければ、これを」

「いいのですか!」

「もちろん。・・・時間経過なしのかごに入れておけば、新鮮なままですよ」

「ありがとうございます」


ものすごい感謝されてる。

かごも、前の時のがあるらしい。あげたのは中身だけだったか。

執事さんが、すぐにかごを持ってきて入れている。

あのかごごとあげちゃってもいいと思うのだけどね。


「贈り物のためのかごをすぐに手配いたします。・・・行ってらっしゃいませ、ご主人様」


連れてっていいらしい。

え?この人って、貴族だよね?

確か高位の。

護衛の人とかいないのかな?


「さあさあ、行きましょう。何、戻ってこなくても、息子や孫息子がこの家でやれますから」

「ふつうに帰しますよ。・・・行きましょう」


いけそうかな?運営さん。


<大丈夫だ>


「スーベニア・サカイ様は転移酔いとかしませんか?」

「ここに来るときは、たいてい転移陣を通るので、慣れてますよ」


そうなのか。

ん?

転移陣?


「先祖サカイが残していったもので、サカイの養子にした子供の血筋ならば、だれでも使えるのが、屋敷の奥にあります」


マジか。

スーベニア・サカイ、なかなか考えたのだね。

サカイさんは使ったことがなさそうだけど。


「おじいさま、その存在は初めて知りましたよ!」

「家を継ぐ者にしか教えないが、お前はアイリーン様の弟子だから、大丈夫だろう」


このおじいちゃん・・・

まあいいか。


「それじゃこのまま行きますか。外は寒いから、防寒着着てください」

「少々待っててくだされ」


防寒着のスーベニア・サカイ様も交えて転移。

集落はほんとに寒い。


「ここは・・・」

「私がお世話になっている集落です。もう雪が積もっていますけど、一応王都内」

「門前街から二日ほどのところにある集落です」

「ここが・・・」


何か知っているのかな。

まあいいや。


ジャムさんがやってきて、スーベニア・サカイ様と話をしている。

まだシツジローくんも戻ってないし、ご飯もできてない。


ああもう真っ暗だな。

お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

誤字脱字報告、評価、ありがとうございます。

12月も後半。風邪をひかないように気を付けたいですね。

年末って忙しい。

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