78~トライデントタウロスとイッセーシュリンプ~
お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、たまには外で魔物狩。
お汁粉はおいしい。
あんこはまだ残っている。
ということは、あんまんが・・・できないのだけど、アンパンはできる。
アンパン。
メイちゃんにレシピを見せると、朝食用に作ってくれるそうだけど、いや、これ、おやつだから。
甘いものは朝食には必要ないな。
ああ、でも、集落のちみっこは喜ぶよね。
おじいちゃんおばあちゃんたちも喜ぶよね。
「集落に持って行ってあげて。・・・これって、このアズキを撒いても、できないよね?」
「できないだろう。残念だが、その場所に行くまでは、この量だけであきらめろ」
「そうだね・・・」
屋台の人が、シルコ用として持ってきた、大だる5個分、買ったからね。
しばらくは持つよね。
屋台のおばちゃんは、お汁粉のきちんとしたレシピ知らなかったのかな。
それとも、あれがデフォとして教えられたのかな?
それよりはアンパンだな。
明日のおやつは楽しみだ。
「運営さん、王国祭、楽しみだね。せっかくだから美味しいものを食べたいよね」
「おいしいもの?だいたい、ゲームの世界にはなかったから、王国祭とはどういうものなのだろうな」
確かになかったな。
ないけど、きっとお祭りだろうし。
楽しいことは起こりそうだな。
「そういえば、イッセーシュリンプとトライデントタウロスを、ギルドに出していたな」
「ここのギルドにも出ているのかな?海って、この前サカイさんが迷った先の崖の先よね」
砂漠だったかな?
「イッセーシュリンプが欲しいのか?朝になってからでいいなら、海に連れて行こうか」
「え?いいの?」
「しばらく君についていなかったからな。お詫びだ」
やったー。
でもこの時期にいるのかな?
「年中いるのだが、この時期はしけてて、海に出るものが少ないようだ」
そうなんだ。
トライデントタウロスもいるのかな。
「拠点の西のほうに行けば、トライデントタウロスもいるぞ」
そうなのか。
それなら行きたいけど。
「拠点、雪積もっているよね?」
あの辺りはもう、雪が降っているはずだ。
家の中は気温が変わらないけど、外は寒い。
「まだ雪はそんなに積もっていませんので、森に出られても大丈夫ですよ、お嬢さま」
「それなら、先に森に行こう」
珍しく夜更かししたから、そろそろ寝ないと。
明日は必ず起きよう。
早朝、頑張って起きたよ。
トライデントタウロス、ほんとにいるのかな?
冬は食べ物が少なくなるけど、森はそうでもないのかな。
拠点は寒い。
防寒着では、防げない。
だからといって、厚着していては動けないんだけど。
メンバーは、私と運営さんとシツジローくん。
メイちゃんは、集落にアンパン作って持っていくし。
拠点からはシリウスとベヒーだけ連れていく。
しーちゃんは寒がりだし、キドナは、まだ駄目だ。
プラント母さんはいつもの通り、拠点の外にはいかないようだし。
森の中を歩くのが苦手なのだけど、シリウスが背中に乗せてくれた。
ベヒーも、運営さんとシツジローくんをのせてくれる。
運営さんの導きで、西のほう。
こちらはまだ来たことないな。
シリウスたちもこの辺りは来ないみたいだけど、ところどころに見覚えのある蹄。
「ウーマはこっちのほうまで来ているのね」
「走っているだけのようだがな」
そうみたいね。
ウーマは広範囲で動くなあ。
「もう少し先あたりに開けた場所がある。トライデントタウロスはそこにいる」
もうちょっとか。
もう、一時間以上、シリウスで走っているから、寒いよ。
風よけしているから、そうでもないけど、やはり凍ってきそう。
開けた場所は、水場だった。
草が枯れかかっているけど、かろうじて生えている。
トライデントタウロスは、群れないけど、10頭ほどいた。
「群れではないのよね?」
「ちがうな」
「これでこの森にいるのは全部?」
「少ないほうだろう。寒いから違う場所にも行っている」
「それなら、全部とってもいいのかな?」
「かまわないだろう」
そういえば、アイテムに、トライデントタウロスのミルクっていうのもあったよね。
あれって牝牛よね。
・・・飼えないのかな?
「飼育するのか。・・・集落ではできそうだが、それならテイムしないとだめだろう」
「そうよね。いいわ。あきらめよう。このお肉っておいしいのかな?」
「ゲームの中では味はわからないからな」
でもきっと、定期的に出ていたのだから美味しいのだよね。
牛の丸焼きがいいわ。
一度、食べてみたい。
「シリウス、ベヒー、あまり傷つけないように倒してきて」
この仔たちは、魔法の下限もできるから大丈夫だよね。
私がやったら丸焦げだし。
もちろん私も倒すよ。
剣を抜き、向かってくるトライデントタウロスに向かう。
「秘儀、一閃・・・なんちゃって」
単なるスキルだけど技名出したかっただけよ。
アラサーのおばちゃんもこういうとこは中二病。
牛の首切り落としちゃったけど、仕方ないよね。
手加減難しい。
10頭が仕留め終わったので、早速、収納。
さあ、帰ろう。
寒いし。
「海にこのまま連れて行ってやろう」
そうだ。
イッセーシュリンプもだ。
「お願い」
運営さんがうなずいたと思ったら、すぐに景色が変わった。
寒風吹きすさぶ海だ。
海面はあれている。
「ざぶぃい」
これでどうやってイッセーシュリンプとるの・・・
しかも、周りに何もない浜辺だよ。
「海を割る」
「何そのモーゼ・・・」
「海を割るスキルあるだろう。それで少し先まで進めば、イッセーシュリンプ取り放題だ」
ゲーム内だと、網でとらせていたくせに。
海わりのスキルで海を割って、中に入る。
おお・・・
モーセだ。
少し先には、イッセーシュリンプがいっぱい落ちてた。
魚もだ。
全部収納。
海の魚いっぱいだ。
「それじゃ帰るか」
「海はどうするのよ」
「そのうち戻る」
いいのかな、それで。
まあいいや。
まだお昼にもなっていないけど、おなかすいたな。
ご飯食べてないし。
メイちゃんの暖かくておいしいごはんが食べたいわ。
拠点に戻って、トライデントタウロスを四頭だけ置いていく。
みんなが食べる分。
そうでなくても多いのだけどね、魔物肉。
あとは、家で、メイちゃんに作ってもらおう。
楽しみだ。
いつもお読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。今週も更新できた。
誤字脱字報告、評価ありがとうございます。さむいですが体に気を付けたいです。




