表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・ガイア  作者: 水野青色
77/281

77~王国祭まではまだ日があるそうです~

お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、食べ物には目がありません。やっと運営さんも帰ってきました。

雨季が終わった。

冬だ。


運営さんが帰ってきた。

とても疲れている様子だけど、仕事のことを聞いてはいけない。

だってここが運営さんの世界だから。


しばらく体を動かしていなかったということなので、一緒に王都中央部の市場に行くことになった。

何かおいしいものあるかな。


「そういえば、しってる?初雪が降ると王国祭があるんだって」

「王国祭か。それでこんなにいろんな種族が来ているのだな」


確かにいつも見たことのない服装や種族の人が多いな。

王国祭を見に来ている人なのかな。


「雪が降るのはあと一週間は先だろう。雨季の雨が降りすぎて、いろいろ被害が出そうだからな。調整してきている」

「そうなのね。それまでどんどん増えるのかな」


人が増えると、犯罪も増えるというけど、大丈夫なのかな。


屋台は、いつも以上に多国籍って感じだった。

これなら、ここにないものが手に入りそうだ。


「調味料屋さんとか行きたい」

「その辺りにあるんじゃないのか」


屋台は食べ物多いけど、ちょっと離れると陶器とかも売ってる。

ちょっとしたアクセサリーとか、なぜか武器屋さんもあるな。


「なんで屋台で武器が?」

「鍛冶屋さんですね。調理道具など売っているようです」


メイちゃんが物色している。

使いやすそうなナイフがあるなら、どんどん買ってほしいわ。

シツジローくんも何か物色しているな。


「何か欲しいもの買っていいよ。この店の全部もらう?」

「どうして君は、いつもそう大雑把なのだ。この二人にだって使いやすいものがあるだろう」

「そうだけど、ここで選んでるの、寒いじゃない」


冬なんだよね。

確かに、着ているローブとかで防寒できているけど、寒い。


「ねえ、おじさん、屋台以外にやってないの?」

「職人通りで店を持っているよ」

「そうなのね。そこにもこんな感じのものがあるの?」

「そこは冒険者向けだからな。ここには、調理器具や農工具などを中心に持ってきているんだ」

「農工具・・・ここにおいてある以外にもあるの?」

「店にはあるぞ」


必要だよね、農工具。

集落のは古くなってきているし。


「ここにあるの全部と、あと足りないから、もっと欲しいのだけど、頼める?」

「何に使うんだ、そんなに」

「農具が足りないとこがあってね、そこに持っていくのよ。転売じゃないよ、そこに出資しててね」

「そうか。買ってくれるなら、ここのはほかの人も見るから、店のほうに行ってくれ」

「わかった」


シツジローくんが店の場所を聞いてる。

シツジローくんは、農具見ているものね。

メイちゃんはいまだに、二本のナイフで吟味しているけど。


「その二つとも頂戴」

「まいどありっ」


使い勝手が知りたいだろうし、二つならいいよね。


「ふむ。わたしも料理をやってみようか」

「運営さんが?」

「一応スキルレベルは高いぞ」


なんだと!

これだから、神様はー!

くやしい。

だけど食べてみたいな。


「どのナイフがいい?」

「むずかしいな。どんなのがいいのかわからないな」

「今まで料理したことないからね」


私もわからないわ。


「グリップ握って一番しっくりくるやつがいいんじゃない?」

「そうか」


いくつか握っているけど、しっくり来ていないようだ。

仕方ないよね。


「うちに来れば合いそうなの作るぞ。すぐ行くなら、俺からの紹介だといえば、すぐに受けてくれるぞ」


いいこと言うな、おじさん。


「じゃ、行ってみるわ。ありがとね、おじさん」


屋台も見たし、必要なものは買ったし、職人通りに行こう。

しかし、屋台のお肉おいしい・・・・

ん?

いいにおい・・・

あまい。

だけどもったりしたこの匂いは・・・


あ・ん・こ!


絶対そうだよ。

これはもう、間違いないよ。


「このにおい、どこ!」

「突然どうした、アイリーン」

「あんこのにおい!」


日本食から遠ざかって、恋しすぎた、この私の嗅覚は、間違いなくあんこのにおいをかいでる!


「あちらからでございます」

「いこう!」


メイちゃんの案内で、屋台の一角。

あんこのにおいのとこは、あまいにおいなのに、お客がいない。

なんで?


「すみません」

「ああ、いらっしゃい。いっぱいいかが?」


人のよさそうなおばちゃん。

というか、かっぽう着きているし、着物?

なに?

この人どこの日本人?


<アイリーン、この世界に日本はない>


的確な突込みしないでよ。でも、このおばちゃん・・・銀髪だな。目も青いわ。


「こ・・・これって」

「これかい?シルコとかいうのだよ。昔、うちの国にいたプレイヤーがね、豆を見つけたとかで、作ってくれたんだよ。それでこうして伝わっているんだ」

「まめ・・・小豆があるのですか」

「うん?アズキ?」

「この、汁粉に使われている豆です」

「ああ、赤豆だね。うちのほうでは、森に入ればいくらでもあるよ。使い道がなかったらしいけどね。それをプレイヤーが甘い汁にしてくれたんだよ」


アズキがあるなんて。

どこだよ。

玉露がある場所と同じ国なのかな。


「この赤豆って、ほかにありますか」

「ああ、王国祭のためにたくさん持ってきたからね。・・・でも、売れないねえ」


確かにお客さんがいないな。

甘くておいしいにおいなのに。


「全部ください。持ってきている豆も全部ください」

「は?何を言っているんだい、お嬢ちゃん」

「私、プレイヤー。お汁粉、大好き。全部ください」


<アイリーン、片言になっているぞ>


うるさいよ、運営さん。

私はこのお汁粉が全部ほしいのよ。


「買ってくれるなら、全部譲るよ。どうやらこの国では、シルコはあまり受けないようだね」

「ありがとうございます」


お汁粉ゲットだー。

確か、小麦粉で、白玉できるんだよね?

あれ?違ったかな。

でも、クリーム入れてもいいよね。

ああ、お汁粉。


「お嬢ちゃん、豆はどこに持っていけばいいんだい?」

「あ、私、空間魔法持っているから、そのままもらいますね。お金はこれで足りますか」


白金貨一枚。

あ、でも、足りないかな?


「多すぎだよ、お嬢ちゃん」

「何言っているんですか!お汁粉を譲っていただいたのですよ。安いくらいです」


しかも、国の場所をシツジローくんがきいてくれてるし。

情報料含めても安いわ。


鍋ごと譲っていただいた。

ああ、私のお汁粉。

早く食べたい・・・けども、鍛冶屋さんいかないと・・・


「君はメイと帰りたまえ。わたしとシツジローで、鍛冶屋はいって来よう」


え?

いいの!


「おいしいシルコを食べたいのだろう。帰ったらわたしにも食べさせてくれ」

「わかったー」


やった。

お汁粉。

なんでここの人はこんなおいしいにおいなのに、寄らなかったのはわからないけど、いいもの買えたな。


家では、メイちゃんが大なべのお汁粉をまた温めなおしてくれた。


「お嬢さま、こちら、何かが足りないようです」

「ん?」


おいしい料理を作るメイちゃんが足りないって言っているけど何だろう。


ズッ・・・


「ぶっはーーーー」


何これ。

何が足りないって?

まずいよ。

匂いはシルコなのに、味付けへたか!


「メイちゃん、小豆はある。作って頂戴」


確かレシピはあったはず。

鍋いっぱいの無駄になったのは仕方ないけど、レシピもアズキもあってよかったよ。

時間かかるかもだけど、仕方ないよね。

夜には食べられるかな。


シツジローくんと運営さんが帰ってきたから、農工具は集落に持って行ってもらう。

シツジローくんが使う分は、取っておいてもらうけど。


夜にあんこができた。

お汁粉もできた。

おいしい。

白玉ほしいけど、あれって小麦粉じゃなかったんだな。もち米か。

コメはどこにあるんだろう。

いつもお読みいただきありがとうございます。毎週水曜日更新しています。

評価、誤字脱字報告もありがとうございます。

もう年末ですね。

寒いので、風邪ひかないよう気を付けて過ごしたいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ