7~馬車道って必要だよね~
まだ拠点から出ません
主人公よく寝ます
家を囲う結界から出れば森。
なにがいるのかよくわからない。
この前のあれならいるだろうけど、あの肉は飽きたよ。
体が若いからといっても、心はもうおばさんだよ?
お肉ばかりじゃ胃もたれ起こすよ。
胸やけか?
ねぇ、運営さん?
この森って深いのかな?
・・・ゲームの中にあった?
<ゲーム内でも普通に存在していた。素材取りに行っていたじゃないか>
そうだったかなぁ?
いや、そうかもしれないけど、この森の名前がわからない。
わからないから、この場所の近くに町があるのかもわからない。
<ここは国境の森だ。上から見ればどのれほどの深さかわかるだろう>
上から…なるほどね…
って、飛べってこと?確かに、そんな魔法あるけど。
ゲーム内の私は飛べたかもしれないけど・・・
ああ、でも、飛翔魔法があるのか。
やってみるしかないのか。
息を整え、体に魔力をめぐらす。
少し浮いた感じがしたと思ったら、勢いよく空に向かった。
「ちょ・・・はや・・・」
あっという間に、森の上空。
あわててしまったけど、停まった。
普通にとまれるんだ、これ。
心臓バクバクしているんだけどね。
周囲を見渡す。
どこまでも続く森。
でもよく見ると、東側や西側は森が小さい?
ということは、東か西にいけば、国があるってことよね?
ここは国境なんだし。
それでも深い。
ほんとに森の真ん中、最奥地だ、ここ。
どちらにしても町とかは私の目じゃ見えないなぁ…
ゆっくりと下に降りる。
魔力の廻らせ方でスピード変えられるんだね。
運営さん、この森って、穴開けても怒らない?
<あな?なんだそれは>
魔法でまっすぐ道作っても、森に影響ないかなって思って。
<森に影響…はあるかもしれんが、通り道くらい作っても問題ないだろう。だがここの森の木は、この世界の魔力の影響を受けているから、成長が早いぞ。道などふさがれてしまうかもしれん>
それって、森自体が魔物みたいなもの?
<言い方が悪いが、森は魔物だ。人も魔獣も何もかも惑わす>
でもここは結界で、森の影響受けてないよね?
燃やした木も、切った気もあるけど、そこから生えてきてないし。
<まぁ・・・たしかに・・・>
この森って、人来るの?
<一応国境だからな。あまり魔獣がいない場所なら、商人や冒険者の類なら通るはずだ。こんな最奥部まで来る者もいないが>
ここよりも浅い場所があるってことだよね。
<そういうことだ>
なら、大丈夫か。
それならば、どちらに行くかだなぁ。森から抜けて、町までで一番近いとこってどこかな?
<森から抜けて一番近い町か。・・・東側で、森から馬車で4日程というところか>
馬車で四日?
それって近いって言えるの?馬車って徒歩よりも確実に早いよね?自動車よりは遅いかもだけど。
<森は魔獣が住む。人々は安全な場所にいるものだ>
それもそうか。
馬車で四日か…
あれ?
私、馬車もっていたよね。ゲームの中での移動手段の一つだったし。
幌馬車。
そうだ。
馬車だけじゃない。
馬だっていたよ。
馬だけじゃない。ペットもいたよ。
「メイちゃーん、シツジローくーん」
呼ぶと二人が出てきた。
丁寧なお辞儀をしている。
「うちのコたちのおうちってどうなってる?」
ペットは本来ペット小屋があるけど、大きい家だと、中にペット小屋が作れる。
馬小屋もつながっている。
「はい。お部屋でしたらきちんと用意されていますが、まだはいられておりませんね」
運営さん、私のペット達って?
<空間魔法の中に眠っている>
そうか。
それなら…
まだ出さない。
まずは道を通して、ある程度、馬車道作ってからにしよう。
ペットたちはもう少し寝ててもらう。
私がやることは多い。
まだ拠点としてのこの場所を把握できてないし。
「メイちゃん、いつものようにご飯お願いね。シツジローくん、ちょっと手伝って」
二人の了承を取り付け、作業開始だ。
東側に行こう。
そこが一番近いのだから。
「シツジローくん、ちょっと飛ぶよ」
後ろから抱きしめ、先ほどと同じ飛翔魔法を使う。
プレイヤーアバターだからなのか、レベルのせいなのか、成人男性のシツジローくんでも軽い。
シツジローくんは、タカの目というスキルがある。遠くのものまで見渡せるのだ。
「東側に抜けようと思うの。どのくらいの深さがあるかな?」
「そうですねここからなら、馬車で二日ほどといったところでしょうか」
それってどのくらいよ…
馬車って一日どれほど走るのよ…
「まぁいいわ、ありがとう」
馬車の大きさとか考えると、二車線道路と同じくらいの幅を取っていればいいわよね。
私の馬車しか通らないし。
あとはどれほどのかよくわからないけど、やってみるしかない。
行き当たりばったりでしかできないし。
庭のはずれ。
結界の境目。
この場所から向こうは森だ。
体に魔力をめぐさせ、手をかざす。
獄炎魔法。
まっすぐどこまでも焼き尽くす魔法。
この魔法の範囲がどれほどだかわからないけども。
ドゴォォォン
ものすごい音と爆風がした。
魔法で森が焼けつくされる。
あとは水魔法だ。
同じだけの威力の水魔法で、焼き尽くした森の道を鎮火していく。
自分でやったけど、ひどいわ。
<アイリーン…なんてことを>
運営さん、そんな影響ないって言ったじゃない。
<いやいやいや・・・急にこんなことをするとは…。本当に君たちは思考がおかしい>
失礼な!誰もが考えると思うんだけどね。手っ取り早いし。
あとは、できたとこまで聖結界張っておけばいいし。
魔法を発動する。
つ…疲れた。
おなかすいたし、眠い。
「お嬢さま、家に戻りますよ」
シツジローくんに抱えられ、家に入る。
メイちゃんがかわり、私を着替えさせてる。
なにもしたくないよ・・・
ご飯食べて、もう寝る。
ほんとに動かないな、私。
でも、眠い。
続きはまた明日だ…
おやすみなさい
短いです。