66~いやし草栽培計画始めてみる~
いつもお読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、早速集落へ。
名もなき集落。
いまだに名前を知らないだけなのだけれども。
ポータルですぐに来られる場所だから、どうでもいいんだけど。
借りているというか、この集落で拠点にしている家。
ポータルの部屋以外は、住人が掃除に来てくれる関係で、開けてある。
ポータルの部屋は、メイちゃんが時々お掃除してくれる。
今日のお供は、メイちゃん。
部屋から廊下に出ると、ちょうど集落のおじいさんが家の手入れに来ていた。
「こんにちは、おじいさん」
「おお!アイリーンお嬢さまじゃないか。来ていたのかね」
なんでかここの集落の人たちは私のことをお嬢さまと呼ぶ。
病気を治したかららしい。
「みんなに知らせてこなければの」
おじいさんが素早くいなくなった。
ああ・・・ジャムさんの居場所聞こうと思ったのに。
家の外は、結構静かだ。
この時期の収穫に出ているのだと思う。
「メイちゃん、ご飯作っておこうか」
「かしこまりました」
お辞儀をして、家に戻っていく。
拠点に材料を取りに行ったのだと思う。
私はジャムさんを探す。
集落の入り口には、ご夫婦の旦那さんのほうがいた。
「こんにちは」
「おお!おじょうさまじゃないか。うちの家族にあっていってくれよ」
「会うけど、今はジャムさん探しているのよ」
「ジェヌさんなら製粉所にいるはずだ」
「ありがと。・・・そうだ、あなた、何の魔法が使える人なの?」
「炎だ。上の子もだな」
「・・・そう。ありがとう」
木か土だったらよかったのに。
でも、この人たちもいつまでもいてくれるわけではないかもしれない。
ジャムさんたずねて製粉所。
中は集落の老人たちと製粉をしているジャムさんだけだ。
この製粉した麦が、税の一部となるらしい。
「ジャムさん」
呼びかけるとやってきた。
「珍しいな、どうした」
「用があるから来たんだけど・・・その格好で来ないで」
粉だらけだ。
外ではたいているけど、やめてほしいわ。
「とりあえず着替えたらうちに来てくれない?」
「ああ、わかった」
「あと、夕飯はメイちゃんが作っているから、呼びかけておいて」
「ほんとか!助かる」
そちらのほうが嬉しいみたいね。
みんなメイちゃんのご飯のファンだわ。
家に帰る前に、次々会う集落の老人たちに、夕飯のことは伝えておく。
これで集落に広まるでしょう。
広場に来てくれるように言っておいた。
家で待つ。
メイちゃんがおやつとお茶を出してくれる。
少しすれば来るだろうジャムさん。
当たり前のようにノックもしないで入ってくる。
ノックをするとか呼びかけるという習慣がないのかもしれないわね。
「おう、アイリーン、話って何だ?」
椅子に座ってすぐか。
メイちゃんがお茶を出す。
それも一気のみだ。
おやつもほぼ一口だし。
おちついて食べなさいよ。
あらかたお菓子が無くなって、少し落ち着いたかな?
しかし、ジャムさんといい、サカイさんといい、この世界のおっさんは、大食いなのかな?
「それで?話って?」
覚えていたのね。
「ここの集落で育ててもらいたいものがあるのよ」
サカイさんには内緒のことを話す。
後、水と土と木の魔法使いのことも。
育てなければ、この計画はできない。
「んー、そうか。何とかなるかな。とりあえず、晩飯の時にみんなに話してみるよ」
「お願いね。もちろん、まだ、具体的には何も決まっていないからね」
「そうだよな。どこの土地に作るかも決まらないしな」
「なるべくなら、集落のなかのほうがいいの。もちろん、公共事業になってしまったら無理かもしれないけど・・・」
「そうだな。その辺りも考えてみるよ」
「ありがとう」
これでまた一歩前進だわ。
あとはサカイさんからの返事次第かな。
夕食をふるまって、王都中央部の家に帰る。
もう夜だ。
私は眠い。
ポータル程度でも魔力使うからね。
眠くなるのを克服できないと、魔法使うのが嫌になるわ。
サクサクと寝よう。
「おやすみなさい」
やっぱり、運営さんからの返事がない。
およみいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しております。
まだまだ王都中央部から出ていくことができないようです。




