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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
61/281

61~プラントルビーの余波~

お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、起きてます。

キノコ狩りはどこ行ったのか。

気持ちのいい、秋晴れの空。

早朝だ。

いやし草をたくさん摘んで、ポーションづくりをしようと思う。

ほんとは秋の味覚狩りに行こうと思ったのだけど、思いのほか、庭のいやし草が伸びているから。

売り物じゃないから、たまる一方だけど。

シツジローくんが庭の手入れとともに、お手伝い中だ。

珍しくこの時間に起きられたのだから、やりたいことはいっぱいだ。


「師匠ー」


庭にサカイさんが飛び込んでくる。

昨日のバスケットだ。

なんだってのよ。

もう食べ終わったから、またほしいのかな。


「おはよう、サカイさん」

「おはようございます、師匠。・・・じゃなくて、なんですか!これ!」


バスケットを探って、プラントルビーを出してくる。


「何って、プラントルビーでしょ。まだ食べてないの?」


私は果実水にしてのんだけど、甘くておいしかった。

炭酸割もしたわ。


「こ・・・・」


だから何を言いたいの、この人。


「お嬢さま、どうやらサカイさんは、こんな貴重なものをといいたいようです」


そうだったのか。

サカイさんの言語中枢がいかれたのかしらね。


「プラントルビーは、私の使役獣からとれたのだから、気にしないで」

「そういう問題じゃないです!・・・て、使役獣?」


そうか。

カードには一応書かれていても、プラント母さんを見せたことはないな。

サカイさんが実際に見たことあるのって、キドナとウーマだけかもだし。


「私の使役獣、マザープラント」

「マザープラントまでも、使役しているのですか!」

「気づいていると思っていたけど、ここの垣根だって、プラント種だよ?」

「あ・・・いや・・・それはしっていますが・・・でも、マザープラントでは・・・」

「そのマザープラントの子供だよ」


なにかにきづいたのか、垣根が触手を振っている。

私も手を振り返した。

いい防犯だ。


「そういえば、食べないの?」


嫌いだったのかな?


「いえ・・・嫌いではありません。こんな貴重なもの・・・。ほんとに頂いてよろしいのでしょうか?」

「あげるために入れておいたんだし」

「プラントルビーなど、数十年前に王様に献上されたのが最後かと・・・」

「あまりなさそうだものね。ジュースはおいしいのよ」


窓から首を入れて、メイちゃんにジュースを持ってきてもらう。

赤く色づく炭酸水だ。


「飲んでみて」


サカイさんが震えた手で受け取る。

落とさないでほしいけどね。

飲んで、目を見開いたとこまで見たけど、もう飽きた。

さっさといやし草をかり終えないとな。


「し・・・ししょう・・・」


顔をあげると泣いていた。

おっさんのマジ泣き、気持ち悪いんだけど。


「泣いているのはあとにして、草むしりといやし草の刈り取り、手伝いなさいよ」

「はい!」


ひときわ大きな声だ。朝から元気だわ、この人。


ある程度終わって、シャワーを浴びたらご飯だ。

労働の後のご飯はおいしい。

仕事に行くサカイさんを見送って、今日はポーションづくりに励んでいた。

夕方には大量のポーション。

眠くて仕方ない。

夕飯も食べずに寝についた。


起きたのは、二日ほどたってからだった。

今日もいい天気だ。

昼過ぎているけど。

その間にサカイさんから、がるがるさんが冒険者ギルドに来てほしいとの連絡があったと、シツジローくんから伝言をもらった。

なので仕方ないから、冒険者ギルドに向かおうと思う。

何のようだろうか。


通された執務室のがるがるさんは、すごく難しい顔をしていた。

サカイさんもだ。


「こんにちは?」

「ん?ああ・・・アイリーンか」

「どうかしたの?がるがるさん」

「どうもこうも・・・、おまえがスーベニア・サカイ様に献上したプラントルビーのことだ」


献上?

なんのことだろう。あげた覚えはあるけど、献上なんてたいそうなことしないし。


「で?」


話が進まなくなるから聞かない。


「サカイ様はあれを国王陛下に献上なされたそうだ」

「だから?」

「その時にお前のことが出て、国王陛下が会いたいと」

「いや」

「・・・だよな。お前の言いたいことはわかる。だがな・・・」

「わかった。この国から出ていくよ。別にこの国にこだわりないし」


面倒くさいことにはかかわりたくないし、この国にすんでいるわけじゃないしね。

必要なら、ポータルで行けばいいんだし。


「ダメですよ、師匠!」

「ダメじゃないよ。私は面倒なことが嫌いなの」

「・・・わかっている。サカイ様もそのことを進言したらしい」

「それで話は終わりじゃないの?」

「終わらなかったから困っている」


がるがるさんがため息ついたけど、私は会う気ないし。

まだ一年たっていないけど、この国とはお別れかな。


「師匠、本気でこの国を出ていくことを考えてますね」

「考えてるよ。別にここにこだわっているわけじゃないし、嫌なことするなら、出ていくでしょ」


もし武力行使してきたら、この王都中央部は破壊していく気だけどね。


「わかった。もう一度、サカイ様や俺からも言ってみる」

「話は終わりだね。それじゃ帰るね」

「・・・ああ」


住み心地は悪くなかったけど、やっぱりこの国からはもう出ようかな。

精霊の命の木を、どうやって外に出すかも考えないとな。

早く運営さんが帰ってくるといいのだけど。

いい考えがあると思うのよね。


夕方にサカイさんがやってきて、出ていかないでほしいと頼み込まれたけど、返事はあいまいにしておいた。

この国にこだわりがないのは本当だからだ。


数日後、国王陛下が、会うのを断念したとの報告が入ったけど、運営さんが帰ってきて、木のことがどうにかなったら、ここから離れることには決めた。



お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

一年はこの王国にいさせる気ではあったのですがね・・・

1回目のワクチン打ってきました。 利き手に打たれたのですが、震えてます。微熱も出てますので、今週も更新できてよかったです。

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