60~プラントグレープは貴重らしい~
お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、寝てません。
今回は、前回の果物を調理してます。キノコ狩りはまた次・・・かな。
とってきた果物。
ザクロとブドウとナッツの木。
これだけだ。
家には確かに、レモンも桃リンゴもあるけど・・・
それだけでは足りないよ。
梨とかも欲しかったな。
私の好物のプラムは、この森にはないのかな。
ゲームの中では見たことないけど。
「お嬢さま、この果物は、なんの料理に使いましょうか」
ブドウは果実水になるけど、桃リンゴも、一年中なっているし。
ザクロも・・・ジュースかな?
あとは普通に食べるのかな?
「ナッツ類はクッキーとか作ろう」
「くっきいですか」
あ、クッキー知らないんだな。
レシピ本を見せると、すぐに理解したみたい。
メイちゃん、優秀。
ブドウも、ケーキとかにしたいな。
幸い、ミルクはある。卵もある。
小麦粉は当たり前のようにあるから、タルトにしよう。
早速作り始める。
メイちゃんが。
私は、材料をむいたり、むいたり、むいたり…
料理スキルのレベルはまだ低い。
「いっぱい作ってね。ジューノさんご夫婦や、あの集落にも分けましょう。後、仕方ないから、サカイさんとがるがるさんにも」
「承知しました」
量を作るのは、メイちゃんは、苦ではない。
私は、皮むきがちょっと億劫だ。
シツジローくんは、野菜など、収穫したものを、きれいにして、倉庫や王都の家に持って行っている。
あらかた作り終えたころには、夕方だった。
秋もまだ早いから明るい。
「届けに行きましょう」
空間魔法で収納して、まずはジューノさんの店だ。
門前街は、夕方はまだ人通りは多いらしい。
ジューノさんの店も混んでいた。
顔を出すと、きつね獣人の奥さんが、とても歓迎してくれた。
従業員に指示を出して、裏に引っ込んでくる。
「ジューノさんは?」
「今日は寄り合いで、昼から出ているんですよ」
寄合ですか。大変だな。そんなこと言っていると、ちょうど帰ってきた。
あいさつをする。そして目的のものだ。
「これ、作ったので食べてください」
プラントグレープのタルトと、ナッツクッキー。
従業員さんの分も、ホールで渡しておく。
いつでも食べられるように、三桁くらい作れたから、ジューノさんの店の従業員くらいは余裕だ。
「こ・・・こんなに?しかもこれ、プラントグレープでは・・・」
お?
見てわかるんだ?
私には普通のブドウに見えるけど、違うのかな?
「こんな貴重なものを、菓子に・・・」
「きちょう?」
どの辺が貴重なんだろう。
「プラントグレープは、中位冒険者以上でないと討伐できないプラント種が、時折実をつけているのですよ」
「そうなの?」
まだかごいっぱいあるんだけどな、家に。
プラント母さんの子供たちは、結構強いのかもしれないな。
「もしかしてまだお持ちなのですか?」
「お菓子なら、配るためにいっぱい持っているわ」
「いえ、プラントグレープです」
「うん?あるよ」
ジューノさんが驚いた顔をしている。
「少し譲っていただくわけには・・・」
いかないですよねぇ・・・とため息ついている。
「シツジローくん、持ってきてあげて」
「かしこまりました」
数分待つと、シツジローくんが、果物かごにプラントグレープを持ってきた。
10房くらいだけど、いいよね。
それでも山もりなんだし。
「こ・・・こんなに」
「少ないけど、どうぞ」
「ありがとうございます。お題は払います」
「きにしないで。その分をあの集落に回してくれるといいんだけど」
「・・・承知しました」
ジューノさんが少しあきれた様子だ。
狸顔だからよくわからないけど。
「次に行くとこあるから、またそのうち来ますね」
「いつでもいらしてください」
ご夫婦と別れ、次は集落だ。
集落のあの家を買ってあるから、そこに飛ぶ。
どの部屋もきれいにしてもらえてる。
毎日誰かが掃除に来ているようだ。
ジャムさんの家に行き、お菓子を出す。
ジャムさんも呆れた顔をしていたけど、集落のお年寄りたちに、あのご家族を使って分けに行ってくれた。
ここもすぐにお暇する。
あとは、王都の家。
暗くなってきたな。
「明日でいいかな?」
どうせ時間経過ないしね。
メイちゃんが夕飯の支度はじめているし、シツジローくんは朝できなかった庭仕事今少しだけやっているし。
夕飯時間になっても、珍しくサカイさんが現れなかったけど、どうしたのかな。
運営さんもまだ仕事だな。
疲れた体にお風呂はサイコーだ。
よく眠れたし。
朝は、少し曇り空だった。
朝といっても、結構な時間はたったらしい。
「お目覚めですか、お嬢さま。サカイ様が、朝からお嬢さまをお待ちです」
洗顔と身支度を整えて、食堂に向かう。
ご飯食べながら待っていた。
「おはようございます、師匠。昨日はどこに行っていたんですか。心配しましたよ!」
朝からうるさいな。
「秋の味覚狩りに行ってきた。いちいち知らせる必要ないでしょ」
「そうですけども・・・」
何かごにょごにょ言っているけど、どうでもいいや。
「今日のご飯だって、昨日とってきた野菜とかだから」
「おいしいです」
あんたはいつも、メイちゃんのご飯美味しいんでしょ。
「こんな時間だけど、サカイさん、仕事は?」
「昼からにしてもらってます」
そんなどや顔で言われても、サボりにしか思えないんだけど?
まあいいや。
「ごはん食べたら、冒険者ギルドいくよ」
「何か依頼を受けられるのですか?」
「違うよ。おいしいお菓子作ったから、サカイさんにも、がるがるさんにもおすそ分け。冒険者ギルドの職員の方々にもね」
いっぱいあるからね。
「それは楽しみです」
「サカイさんは、デザートに食べてく?」
メイちゃんが、お菓子じゃなくて、プラントグレープそのものを出してきた。
そのまま食べられるし。
「こ・・・これは・・・」
「プラントグレープだよ。おいしいよね」
私も食べる。
サカイさんが驚愕な表情で、プラントグレープを見ている。
「嫌いなの?」
「まままままさか・・・」
すごい顔して、おそるおそるとプラントグレープを食べ始めた。
変な人だ。
「ついでに、スーベニア・サカイさんや、あのお屋敷の方にも、同じものをどうぞ」
バスケットに、時間経過なしの小さな空間魔法を付与したものを渡す。
プラントグレープとクッキーとタルトと各種の果実水だ。
「スーベニア・サカイさんには、こちらのバスケットね」
ちょっと高級な感じのバスケットだ。空間魔法の付与も、荷馬車一つ分くらいにはしてある。
中身は、プラントルビーとプラントグレープと果実水とクッキーだ。
中を出すまではわからないからどうでもいいか。
「祖父にもですか!」
「だって、他の人にあったことないし」
サカイさんの家族構成なんて知らないよ。
「ありがとうございます」
ものすごくありがたそうに受け取ってくれたからよかった。
バスケットも、いくつか用意しておいてよかったな。
また、市場にいったら買ってこよう。
冒険者ギルドは、もう閑散としていた。
サカイさんに通されて、がるがるさんの執務室。
「こんにちはー」
「おう・・・サカイが、昨日、お前がいなくなったと騒いでいたぞ」
「果物狩り行ってきたの」
「ほう・・・」
がるがるさんにバスケットを渡す。
「ご家族でどうぞ」
中身はスーベニア・サカイさんに上げるものと同じだ。ちなみにサカイさんの分も同じものだ。
「あと、こちらは冒険者ギルドの職員の方でお分けください」
ホールのタルトだ。
全員分あるはずだ。
サカイさんが人数を間違っていなければの話だ。
「ちょ・・・おい、まて。この乗っているのって、プラントグレープか」
「そうですよ」
やはりわかるんだな。
「おま・・・こんな貴重なものを、菓子になんて・・・」
「嫌いなんですか?」
「き・・・きらいじゃないぞ!」
それなら何を言いたいのかな。
おうち用にはほかに果実水とクッキーとブドウも入っていることを伝える。
「おまえな・・・」
何やらあきれた感じだけど、どうでもいいか。
サカイさんが、女性職員を何人か呼んできた。
ホールタルトに大喜びだ。
一人一つずつ渡すようにお願いしたけど、大丈夫かな。
「あー、サカイ。お前はアイリーンを送って帰れ。後、うちのに、伝言も頼む」
「はい」
サカイさんは、今日はお休みになってしまった。
いいのかそれで。
送られながら、プラントグレープが貴重で、このお菓子がどれだけの価値なのか聞かされたけど、わからないな。
今日はもう出かけないし、寝よう。
運営さんにも早く食べさせたいな。
およみいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。ちょっと長くなりました。




