51~再会~
お読みいただきありがとうございます。毎週水曜日更新しております。女主人公、寝てたところを起こされております。集落につきました。
ぺち・・・
ぺち・・・
たたたたた・・・
私のほほをたたく感触と去っていく足音。
眠いのに、なんなの…
「う・・うう・・・」
起こしたのは誰だ…・
と思ったけど、ここはおこらない。
私は今、依頼の最中。
どうせ起こしたのは、キドナだろう。
そして逃げたのだと思う。
目を開けると、そっとキドナが近づいてくるところだった。
「おはよう」
どうやら、馬車は進んでいる。
キドナは朝には帰ってきて、ほかのキドナップバブーンたちには、メイちゃん特性の魔獣餌をあげたらしい。
存外に喜んでいたという。
よかったわね。
「あの群れも従魔にしたいわね・・・」
キドナの仲間も拠点に連れ帰っても差し支えないと思うし。
「やめておきなさい。ほかのワールドに移るときに連れて行くのだぞ」
そうだったわ。
それだと生態系に影響が出るのか。
もったいないけど、やめておこう。
馬車が森を抜け、そういえば、この先に集落があったことを思い出す。
その集落は、老人ばかりだったはずだ
今日はそこに泊まるのかな?
「そこが目的地の集落じゃないのか」
「そうか・・・」
そうだよね。
門番街から、二日の距離くらいだと、そこだよね。
「あそこ、何もないのにね」
宿もなかった気がするんだけどな。
外で寝泊まりかな。
集落は予想通り、来たことある場所だった。
集落のそばに馬車を停め、サカイさんが、門のところにいる男性に話をしに行く。
シツジローくんも一緒に行く。
「あ、あんた、シツジローさんじゃないか」
サカイさんが話しかけるより前に、この門番男は言う。
あれ?
あの門番の人、長のジャムさんじゃないな。
見たことはあるけど…
「お久しぶりですね。無事にここまで来られたようで、主ともども安心しております」
シツジローくんが恭しく礼をする。
だれだっけ?
「君が前にここを紹介した親子の、旦那のほうだな」
そんなことあった・・・・な。
たしかにあった。
高額な料金取ったとこで知り合った親子だ。
子供もともにここまでこれたのか。
よかった。
サカイさんが門番に話をした後、シツジローくんに向き直ってる。
何か話しているようだけど、興味ないわ。
私たちもほかの冒険者とともに中に入る。
空き家に居を構えるためだ。
ジャムさんがきた。
私たち一行は、前の時のこともあり、空き家じゃないところに滞在してほしそうだった。
「いやいや、ジャムさん。私たちも今回は仕事で来てるのよ」
「ジャムじゃなくて、ジェヌだ。何回言えばわかる。まあいい。そうか・・・またみんなに此方のメイさんの食事をふるまってほしかったが…」
「いいよ?ね?」
メイちゃんも頷いているし、いいよ。
それくらい。
それから話を聞くと、ジューノさんが定期的に食料や必要なものを持ってきてくれるので、何とか生活が戻ってきたらしい。
よかったよ。
空き家を借りて、早速メイちゃんが夕食の準備に取り掛かる。
あの親子の、奥さんと子供たちもやってきて、家の中がうるさい。
けども、私は眠いから、早々に寝所に引っ込むことにする。
夕飯には起こしてくれるはずだし。
キドナもまだまだ子供だからか眠そうで、私と一緒にベッドに入ると早々に寝てた。
夕飯時に、メイちゃんのご飯を集落の人にふるまった後、サカイさんから今回の蛍狩りの場所の説明があった。
この集落から少しいったところに、ダンジョンと化した洞窟があり、その中にいる蛍が、暴走したらしい。
それで、この集落の近辺で作物を荒らすので、少々退治してほしいとのことだった。
なのになんで、高位冒険者だけなのかと聞いたら、蛍のレベルが70くらいあるのだとか。
蛍ってそんなに高レベルな生き物だっけ?
<実は蛍はここの世界にもともといたわけではなく、プレイヤーと同じに、向こうから持ってきたものだ。正確に言えば、魔法力のためだな。魔力を吸いすぎて、高レベルになったというわけだ>
この世界のものじゃないんだ…
其れなら仕方ないか。
向こうのものはレベルが高くなる傾向にあるようだし。
でも70くらいなら…
小さいから、やりにくいのかな?
<ウーマと同じ大きさくらいはあるな>
は?
蛍がそんなに大きくて、はかなさなんてないじゃない。
なにそれ。
それがどれほどいるのよ・・・
とりあえず、明日からが、蛍狩りになるようだし。
今日はサクッと寝よう。
「おやすみ」
「ああ、おやすみ」
およみいただきありがとうございました。次は、ダンジョン?に行けるといいです。




