50~キドナの故郷~
お読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、寝てますね。
毎週水曜日更新させてもらってます。
ここはどこだ?
確か私はギルドの宿舎で寝たはずだ。
知ってる天井がある。
馬車の中のようだ。
わかってる。
寝たら、起きられなかったのだよね。
それで、シツジローくんか運営さんが、連れて出てくれたのだよね。
やはり魔力を全回復しないと起きられないみたい。
「おはよう・・・」
まだ眠いけど、おきておかないと・・・
依頼の、移動中なんだし。
「お目覚めですか、お嬢さま。もう少ししたら、本日の野営場所につくようです」
「やえいばしょ?」
「拠点となる村までは、まだ先でございます」
そうだった。
二日かかるっていてた気がする。
ウーマ単独の馬車なら、すぐに行きつくだろうけど。
「この馬車が先頭を走っております。シツジローの横で、サカイさんが道案内をしております」
「そうなんだ」
何ちゃっかりこの馬車に乗っているのよ、サカイ。
「ここは森の中でございます。王都中央に行くときに通った森ですので・・・」
「ああ・・・えっと・・・キドナがいたとこね」
外をのぞくと森の中をゆっくり進んでいる。
魔物除けを付けているけど、先ほどから、木々が動いているよ。
「キドナを連れてまいりましょう」
「ああ、そうか。さっきからついてきているのは、キドナの仲間ね」
ボスから預かったキドナだ。
きっと、ウーマがこの森に入ったことで、来たのが分かったのだろう。
キドナはいないけど。
「野営場所についたらキドナを連れてきて」
馬車にも魔法陣が書かれているけど、サカイが乗ったことにより、布で隠されている。
見せたくないものだ。
ぼんやりと森を眺めていたら、馬車が停まった。
少し広い空間だ。
道からはほぼ逸れていない。
次々と馬車が停まっていく。
どうやらここが野営場所らしい。
サカイさんが外でほかの冒険者に何やら指示を出している。
その間に、メイちゃんにキドナを連れてきてもらう。
キドナは、私に会うと少しおびえるけど、それでも誰が主かわかるようで、腕に抱きついてきた。
「キドナ。ここはあなたの故郷よ」
かわいいサル顔のキドナが、首をかしげる。
外に連れていくと、がさがさと数匹のキドナップバブーンが姿を現した。
途端に冒険者たちが戦闘しようと体制に入る。
「待ちなさい。このキドナップバブーンは私に用があるのよ」
冒険者に圧を飛ばす、
ここで殺生なんかごめんだわ。
「サカイさん、私はこのキドナップバブーンたちと用事があるから、ほかの人たちを抑えておいて」
「承知しました、師匠」
まったく。
けんかっ早いな、もう。
「ごめんなさいね、キドナのいた群れのキドナップバブーンよね?」
キドナは、嬉しそうにそちらに向かおうとしている。
けれど、違ったら困るし。
他より大きなキドナップバブーンが、頷いている。
見たことある個体だ。
ボスかな?
キドナもうれしそうだし。
「ほかの仲間たちも連れていらっしゃい。ご飯をあげるわよ」
キドナの鉱物は、メイちゃん特性の、フルーツベースの魔獣餌だ。
もしかしたらきにいってくれるかもしれない。
「お嬢さま、こちらにキドナップバブーンがたくさん来たら、ほかの冒険者の迷惑になります」
「そう?・・・それじゃ、こちらが出向いたほうがいいのかな」
「食料だけあげて、持ち帰らせたらいいのではないでしょうか」
「そうね・・・、ボス・・・よね、あなた」
キドナップバブーンがうなずく。
言葉は通じるのだ。
結構な知能を持っているのだ、キドナップバブーンは。
「このかばんに食糧を詰めておくから、群れに持って帰りなさい」
使い方を説明する。
わかったらしい。
メイちゃんがたくさんのキドナ用の餌をバッグの中に入れていく。
ある程度入れるとボスが頭を下げてきた。
「明日の朝までにキドナを帰してくれるなら、連れ帰ってもいいわ。後、ここにいる冒険者を襲わないでほしいわ」
キドナはまだ遊びたそうだったので提案してみる。
深くうなずいて、ボスはキドナを連れて去っていく。
野営場所で、サカイやほかの冒険者が、ただこちらを見ていた。
「この森ではキドナップバブーンに襲われることはそうそうないと思うわ」
「ししょ・・・アイリーンさん、あのキドナップバブーンたちはいったい」
「うちの使役獣がいた群れよ」
「先ほど腕にくっついていたキドナップバブーンですか?」
「そうよ。明日の朝にはキドナは帰ってくるそうよ。襲わないようにも言ってある」
「は・・・ははは・・・」
乾いた笑いをしているけど、襲われないことって大事だと思うのよね。
メイちゃんがご飯の用意をしている。
大量だ。
うちの量より食べる人がいるからね。
なんでここで食べるのか疑問よ。
あまりにもおいしそうなにおいだったのだと思う。
ほかの冒険さやがガン見している。
わかるよ。
おいしいにおいのほうはつい見ちゃうよね。
「メイちゃん、あちらにも」
さらに大量に作らせるのはかわいそうだけど、メイちゃんとしてはいいらしいし。
冒険者にもふるまった後は、早々に寝る時間。
家で、野営の見張りは、シツジローくんにやってもらう。
「ふああああ。眠いわ」
「珍しく、こんな時間になっても起きているからだな」
「仕方ないでしょ。運営さんは、上は大丈夫?」
「うむ。しばらくは大丈夫だろう」
信用できないけどね。
クッションに顔を埋めると、眠さがピークだ。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
明日は、目的地の村につく。
どんな冒険となるだろう。
およみいただきありがとうございました。
今回少々短いです。




