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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
49/281

49~久しぶりの再会~

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

居眠り女主人公、頑張って起きています。


一週間はすぐにたった。

朝からサカイさんが来ている。


「おはようございます、師匠。これからご案内いたします」


まだ眠い時間だというのに、元気だ。

わたしは寝ぼけ眼でにらみつけているのだけど、本人はわかってないようだ。

大体、早すぎなんだよね。

何をそんなに張り切っているのかな。


「蛍狩りだっけ?」

「そうです。蛍です。師匠は見たことありますか」

「ないわ」


ゲームの中でも前世でも、蛍なんて実物見たことないわ。

蛍って、あれよね?

はかない光で飛んでる虫。

源氏か平家だかとかいう虫だったと思うのだけど。

それに蛍狩りって、ホタル観賞のことだった気がする。

ちがったかな?

でも高位冒険者にしかでない依頼ということは、私の知っている蛍狩りとは、違うのかもしれない。


「冒険者ギルドから、その場所に行きますので、冒険者ギルドに向かいます」


サカイさんに連れられて、冒険者ギルドに来た。

結構な人数の冒険者がいる。

どうやら、皆、この蛍狩りの冒険者らしい。

高位冒険者なのだろう。


ギルドマスターがるがるさんの指示で、地下室へ向かう。

地下室には大きな魔法陣があった。


「今から依頼の場所までは二、三日かかる。小さな集落だがそこを拠点として、蛍狩りを実行してくれ」


がるがるさんのことばに、「おう」という、野太い声が聞こえる。

帰っちゃダメかな。

行きたくないんだけど…


「ちょっと聞きたいんだけど、ここからどこかに飛んで、さらに数日かかるのよね?そこまで何で行くの?」

「ん?向こうに馬車が用意されているから、それでだ」

「・・・自分の馬と馬車、連れてっちゃダメ?」

「ん?いいだろう。…一時間ほどしたら、こちらにまた来い。ほかにも自分の馬車を連れていきたいものは、それでもいいぞ」


がるがるさんの許可は取った。


「サカイさん、一度家に帰るわ」

「はい、師匠」


いやいや・・・

あなたはここに残りなさいよ。


「お嬢さま、馬車とウーマを連れてまいります」


シツジローくんが礼をしてすぐ外に出る。

わたしは上に戻って、待つことにする。

馬車は収納しないといけないしね。

でも、ウーマはどうやって中に入れるのかな?


少しして、シツジローくんが、ウーマを馬車につなげてきた。

ほかの馬車になんて乗りたくないしね。

馬車から外し、馬車は空間魔法で収納。

ウーマは戻したかったけど、それっだとどこから?みたいな騒ぎになると嫌だから、連れて外で待機。

サカイさんが外に迎えに来た。

裏に回ると、地下に入る扉があった。

使役獣連れ用なのだそうだ。

最初からそこを教えてほしかったよ。


何人かは、馬車も外に持ってきていたようだけど、どうするのかと思ったら、冒険者ギルドのギルドマスターがるがるさんが、馬車を片っ端から、マジックバッグに収納している。

馬は自分で連れて行けということなんだね。


再び魔法陣の部屋に集まると、何人かの冒険者ギルドの職員が来ていた。

魔法を魔法陣に流し込んでいるが、恐ろしく遅い。

転移魔法陣にこんな遅くていいのかな?

魔法陣の中に押し込められている状態だけど、遅さでつかれる。


<普通の人間はそんなに魔力がないものだ>


そうなんだ?

それじゃ手伝ってもいいのかな?


「がるがるさん、中から魔法陣に魔力流していい?」

「お?なんだ。手伝ってくれるのか?やってくれ」


よし来た。

眠くなるのが難点だけど、たまには魔法も使わないとね。

某漫画みたいに、両手をついてみる。

魔力を流し込むと、転移魔法陣が急速に光りだした。

あとは、目的の場所を知っている人が、転移術を唱えればいいだけだ。


「ではいくぞ」


がるがるさんが叫ぶと、体が一瞬浮遊した感じがした。

気が付くと、同じような地下の、同じ魔法陣が書いてある場所についていた。


「ここが目的地まで、二日ほどの距離にある門前街の冒険者ギルドの地下だ」


がるがるさんが言う。

門前街・・・って、たしか、ジューノさんがいる場所だったような?

ああ、それより少し眠いわ。


ギルドの地下から出ると、やはり、見覚えのある門前街だった。

ギルドの宿舎にこの日は泊まっていいらしい。

まだそんなに時間がたってないのになんで?

と思ったら、転移酔いをしている冒険者のためらしい。

高位冒険者だからといっても、転移になれているわけではないようだ。


連れてきている馬たちは、冒険者ギルドの裏手に厩があって、預かってくれるそうだ。

ウーマは一度そこに預けられた。


「この後は副ギルドマスターのサカイが仕切る。俺は帰るからな。依頼が完了するであろう10日後にまた来る」


地下にがるがるさんが戻っていく。

がるがるさんは自分で飛べるのかな?


「あー・・・アイリーン、頼みがある」

「・・・シツジローくん、行ってあげて」


やっぱり魔法陣に魔力流すの足りないのか。

なんで一緒に来たのよ・・・


数分もしないうちにシツジローくんも戻ってきた。

サカイさんが案内してくれて、宿舎に泊まることになった。

眠い・・・けど、そんなことしている場合じゃないわね。

わたしは、重大なことがある。

そう。

ここが門前街だというなら、ジューノさんの店に行って、根こそぎ調味料を買い占めないと。

やっぱりここにポータル置こうかな。


眠気覚ましの薬瓶を開け、あおる。まずい。

でもこれでしばらくは眠くならないはずだ。

魔力は戻らないけど。


置く荷物はないけど、部屋だけは確保させて、メイちゃんに部屋の片づけをお願いしておく。

運営さんとシツジローくんを連れ、ジューノさんの店に行こう。


「師匠、お出かけですか?」

「ここにいる知り合いの店に行くのよ」

「ご一緒します」

「仕事はどうした」

「明日、皆さまを案内するのが仕事です」


ほんとに仕事しないな、この男は。

まあいいや。


冒険者ギルドからしばらく歩くと、商店街が見えてきた。

ジューノさんの店も見える。


「すみませーん」

「はーい。いらっしゃいませー」


あ、奥さまが出てきたわ。相変わらずのきれいなきつね獣人だ。


「あら?あなたは確か、主人の命の恩人さんのアイリーンさんじゃないですか!」


覚えていたらしい。


「今、主人呼びますね」


あ、買い出しに行ってないんだ?

奥様が奥に呼びに行って、ジューノさんがやってくる。

恰幅のよい、狸獣人だ。


「おお・・・!これは、アイリーン殿ではないですか!」


満面の笑みだ。


「お久しぶりですね、ジューノさん」

「ああ、やっと会えましたよ。王都中央に行ってもみつからなくて」

「来てたのですね。今度の時は冒険者ギルドに聞いていただければ・・・サカイさん」

「副ギルド長のサカイと申しますお見知りおきを」


しばらくは話で盛り上がったところで、今回の目的を言う。

調味料全部と食品は買い占めておいた。

横でサカイさんが変な目で見ているけど、気にしない。

またどうせ仕入れに行くだろうし。


「あと、お願いがあるんですよ」

「なんでしょう。何でも力になりますよ」


やった。

ジューノさんと奥さんを手招きして、ポータル設置をお願いする。

サカイさんに知られるのはよくなさそうだし。


「こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」


奥さんが促してくれて、わたしだけついていく。

トイレとかそういうものだと思ったのか、サカイさんはこちらを見なかった。

運営さんとシツジローくんはわかっているしね。


店の裏手に出た。

ここもジューノさんの家の敷地らしい。

そこに小さな納屋があり、隣との仕切りの壁と納屋の隙間に入り込む。

ポータル魔法の出口の一つをここに設置。

これでいつでも門前街に来られる。

初めて来たときに設置できなかったけど、よかったわ。


ジューノさんの店を辞して、ギルドの宿泊所に戻る。

お昼も過ぎて、もう夕方に近い。結構長居したわね。

買ってきたもので、メイちゃんにおいしいご飯作ってもらったら、今日はもう寝よう。


蛍狩りの目的地は、まだ先だ。


お読みいただきありがとうございました。

毎週水曜日更新しています。


ポータルを設置した後の奥様との会話です。


奥さん  「このぽーたるとかいうのは、わたしでも使えますか?」

アイリーン「魔力流せば、王都にあるうちの倉庫につながります」

奥さん  「魔力ですか。獣人は少ないんですよね」

アイリーン「時々メイちゃんを派遣して、王都に連れてきますよ」

奥さん  「ほんとですか!楽しみです」


ちなみにジューノさんには内緒です。



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