↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・ガイア  作者: 水野青色
43/323

43~side :サカイ~

いつもお読みいただきありがとうございます。

今回は、寝坊助女主人公のお話ではなく、ブルーム=サカイの話です。


私の名前はブルーム=サカイ。

先祖にプレイヤーであるスーベニア・サカイを持つ。

とはいえ、スーベニア・サカイには、血族としてつながっているわけではない。

スーベニア・サカイの養子となった子供が先祖だ。


プレイヤーというのは、この星の、どこかにあるという、プレイヤー国からやってきたもので、その存在は、英雄とも魔王ともいわれている。

伝わる話によれば、国を一夜で滅ぼしただの、魔の森を蹂躙しただのという、荒唐無稽なことが多いからだ。

そんな存在の一人が、スーベニア・サカイだ。

彼は、伝え聞くところによると、とても騒がしい人物だったようだが、市井に溶け込み、この国に様々な魔道具をもたらしてくれたそうだ。

だがある日、先祖である養子にした子供が、神のもとへ召したのを見届けた後、旅に出たという。

そんな彼の姿は、若いままで変わらなかったという。


そんな偉大な先祖を持つ私にも、出会いがあった。

偉大なプレイヤー国の住人である、師匠との出会いだ。


師匠は、アイリーン・プラム・シュガーという、少女だ。

初めて会ったのは、王都中央部の、冒険者ギルドの、ギルドマスターの執務室だ。

このギルドのギルドマスターは、私より年上なのだが妹の夫、つまり義弟だ。

書類仕事が苦手で、ギルドマスターがやらないといけない書類仕事は、私が一切合切になっている。


そんな日々のある日、王都中央部の冒険者ギルドに、プレイヤーが素材を売りに来たという。

身分証も確認し、本物だと、ギルドのカウンター嬢からの連絡があった。

午後に素材の代金を取りに来るという話だが、その日は結局会えなかった。


彼女に会えたのは、それから数日たった時だった。

今度は依頼に来たという。

ギルドマスターが直接出向くというので、会ってみたいと頼んだ。

ギルドマスターが、執務室に彼女を連れてきてくれたのだ。


入ってきたのは4人。

一人はあどけなさの残る少女。一人は全身黒い衣装をまとった青年。あとの二人は、執事服とメイド服の成人男女だ。


ソファに促され、少女と黒服の青年が座る。執事とメイドは後ろに控えている。

この四人が、プレイヤーなのだろう。


「依頼を出したいとか?何を頼みたいのだ」

「スライムを100匹ほど、生け捕りで」


ギルドマスターの問いかけに少女が答える。


「は?」


思わず声が出てしまった。

スライム?

プレイヤーがスライム生け捕りの依頼?


「あ、失礼しました。名乗るのが遅れて申し訳ありません。王都中央冒険者ギルドの副ギルドマスターをしていますブルーム=サカイと申します」


まずは自己紹介だ。


「実はわたくし、プレイヤーの子孫なのですよ。何百年か前の先祖が、プレイヤーの養子になりまして、それ以来、プレイヤーの名前を使わせていただいております」


この少女が先祖と関係があるとは思わなかったが、同じプレイヤーだ。

興味があった。


「そのためプレイヤーが来たと聞いて気になりまして、マスターによんでもらったのです」


そのあと、ちょっとおどけて男色家みたいなことを言ったら、微妙な肯定されたが、きちんとギルドマスターが義弟だということは言っておいた。

でも、一瞬驚いた顔をするのは、面白かった。


そのあと、依頼であるスライム100匹が、錬金術のための素材だという話を聞き、しかも、簡単なことだからと、低級冒険者用に依頼をしてくれるという。

ありがたい話だ。

しかも依頼料が銀貨5枚。

低級冒険者には破格だった。


「またきてくださいね」


ほんとに来てください。

興味がありますから。


わたしの願いがかなったのは、依頼完了最終日である一週間後だった。


ギルドマスターの名前は覚えてないようだったが、私の名前は覚えてくれたらしい。

倉庫に連れていく。

ネットにうごめく100匹以上のスライム。

引換証を渡し、書類をいくつか書いてもらって、完了。

だけどこれで終わりは嫌だった。

憧れのプレイヤーだ。

しかも、錬金をするという。


「図図しいかもしれませんが、作っているところを見せていただけませんでしょうか」

「いいですよ、うちに招待しましょう」


やった。

お礼を言うと、スライムの核を取り出すとこをから手伝えという。

もちろん半休を取ったので、それに同意した。


馬車は驚くほど揺れがなかった。

これがプレイヤーの馬車なのか・・・


アイリーンさんの家につく。

木の囲いに囲まれて、中はよく見えない。

その生垣も、何かがうごめいているようだ。

なんだここは・・・


部屋に入ると、昼食になった。あんなおいしいものは初めて食べた。

実家にいたころの料理人よりもおいしいじゃないか。

結婚していなければ、このメイドのメイさんを嫁に欲しいくらいだった。


食休みの時に、グローブを渡された。

スライムグローブ。

知らないアイテムだ。

スライムの核を取り出すためのグローブだという。


「この世界には失われたものが多いのでしょうか」

「プレイヤーの国には当たり前に存在するけどね」


そうか。

これは古代魔法具なのだ。

今では技術すら失われている代物なのだ。


スライムの核を取り出す作業は、なかなか難しかった。

アイリーンさんが簡単にやっていたので、すぐにできるかと思ったが、そうでもなかった。

やっとコツを覚えたころには、スライムが残っていなかった。

いや、まだ居る?


「この池のとこにいるスライムは」

「それは私の使役獣よ」


スライムも使役しているのか。

ただの錬金術師ではないらしい。


抜け殻のスライムはどうするのかと思ったら、池のスライムとくっついていた。

すごいな、スライム。


スライム核を持って、部屋に入る、

錬金部屋だという。

見たことのある、しかし使い方のわからない道具が並べられていた。


手伝い、スライム核石を作る。

師匠である、アイリーンさんは、どうやら、でこぼこの核石をきれいに研磨するのは苦手らしく、それも任された。


ものすごく真剣に磨き、きれいな核石ができた。


「それはあげるわ。初めて自分で作った核石だし、何かに使えるでしょ」


まさか、錬金の技術を手伝わせていただけただけではなく、作ったものももらうことができるなんて・・・

使い方も教えてくれた。


「こんなすごいものだなんて・・・」

「なんだと思っていたの」

「プレイヤーのみが作れるものだと…」


なのにあっさりと使い方を教えてくれた。

魔法陣はまだまだ勉強不足だからよくわからないが、わたしもまた、錬金術師になれるのだ。


その感動を、夕飯時に師匠に語る。

いつの日か、プレイヤー国に行くという夢も。

きっと、それが夢じゃなくなる日も来るかもしれない。


それからは毎日師匠の家に出向いた。

ポーションづくりを教えていただけている。

師匠を師匠と呼ぶと、弟子を取った覚えはないといわれるが、この方は師匠だ。

わたしの中ではそう決めた。


わたしが作るポーションは、初級ポーションよりも性能が悪い。

師匠いわく、ごみポーションだ。

それでも偽ポーションよりはましな性能なので、新人訓練用にギルドで扱わせていただくことにした。


師匠はよく眠る方のようで、寝ている日は家に入れてもらえない。

ある日、師匠の執事であるシツジローさんが来て、師匠からの課題を言い渡された。

材料であるいやし草の採取だ。


課題。

師匠がわたしを認めてくれたのだろう。

すぐに長期休みを取り、採取に向かう。


この時期は乾いているうえに、王都中央部ではなかなかいやし草の採取はできない。

東に向かう。

東のはて。

そびえたつ崖のもとにある森。

森の中も水気が少なく、さらに深い。

わたし自身は戦闘能力がほぼないために、迷ってしまっていたら、冒険者たちが探しに来てくれた。

ギルドマスターが依頼してきたという。

ありがたい。

探索しつつ戻ると、洞窟があり、その洞窟にすんでいるのだろう魔獣と戦闘になり、勝利。しばらくそこを拠点としていやし草を探し、帰った。


早朝の師匠の家の庭は、なんだかうっそうとして草が生い茂っていた。

師匠が気付いてくれて、入浴をすすめてくれた。

メイドのメイさんが、服などを用意してくださり、少ししたら、ガイアード師匠とシツジローさんも来て、朝食となった。

うまい!

久しぶりだ。

探索中はろくに食べていなかった。


食べ終えて、師匠にいやし草探索のことを語る。

麻袋一つ程度じゃ、ダメポーションしかできないらしい。

わたしの腕ではなのだけども。


それよりも驚くことを聞いた。


「いやし草、庭に生えているわよ。育ててみたの」


は?

あのうっそうと茂っている、雑草かと思ったものはいやし草だという。

自由に使っていいといわれたが、もう、この日は気力がなかった。

師匠・・・ひどいです・・・


夜にギルドマスターと師匠の家に向かうと、夕食をごちそうになった。

みるくあいすというものもだ。

夏の暑さになんとあうのだろう。

その後、報酬金貨30枚を渡したのだけれども、受けとってもらえず、それよりも、先祖サカイの錬金道具がみたいといわれた。

すぐに承諾だ。

数々の錬金道具を、師匠に見せれば使い方もわかるだろう。


夜に実家に使いを出した。

家を出ている身としては、勝手に許可をだしたことは謝罪をし、家の掃除や出迎えの準備をお願いする。

翌日は、昼過ぎに師匠を実家に招いた。

貴族街だというのは嫌がられたが、自分は陞爵しないということは伝えておいた。

そんな身分よりも、師匠のそばがいい。

錬金術師になるのだ。

わたしのステータスに、錬金術師という職種名がついていたからだ。

それはサカイ家にとっては、とても名誉なことだ。


貴族街の家には、本来ならこの日はいないはずの、当主がいた。

当主は、祖父、スーベニア・サカイ。

先祖、サカイの名前は、代々の当主が継ぐのだ。

師匠はその名前を聞き、フレンドプレイヤーだといった。

どうやら、師匠は先祖である、スーベニア・サカイと友人らしかった。

故郷での友人で、どこかに旅立ったというスーベニア・サカイを懐かしんでいる様子だ。

冒険もしたことがあるという。

師匠・・・いくつなのですか・・・


「すごい方を師事したな、ブルーム」


当主である祖父が興奮している。

しかも、自ら倉庫を案内するという。

どこかいってくれないかな・・・


師匠を案内した倉庫は、もともとはスーベニア・サカイの家だった。

その奥の部屋は、錬金道具が置いてある。

わからない、大型の錬金道具。


「これは空の向こう、宇宙を映し出す魔道具です」


すぐに師匠は答えをくれた。

しかも石に魔力を流せば使えるという。

そして次の課題が出た。


「サカイさん、スライム核石の作り方はわかるわよね。自分で作りなさい」


ごみポーションを作り出すわたしにとって、一番最初に教えられたスライム核石は、難易度が高い。

しかし、師匠に弟子と認められたからには、やり遂げてみせる。


その日の夕飯は、翌朝の師匠の家の草むしりでと引き換えだった。

師匠にまた夜に来るように言われた。


草むしりを終え、朝食をごちそうになり、出勤。

仕事が滞っており、少々遅くなったが、師匠の家による。


夕食をいただいた後、思いもかけないものをいただいた。

スライムグローブだ。

スライム核を引き抜くためのグローブ。

しかも、師匠のお手製だった。

使用回数が300。

師匠に認められたと思うと、うれしくて仕方ない。


頑張ってスライムを探し、必ずやスライム核石を作って見せよう。

そう誓いながら、師匠の家を後にした。

お読みいただき、ありがとうございました。今回は少々長めです。

まだまだ続きます。

毎週水曜日更新、頑張ろうと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。