41~サカイ家~
いつもお読みいただきありがとうございます。
寝坊助女主人公、昼まで寝てました。
今回は、サカイ家に行くお話です。
朝からサカイさんが待っている。
迎えに来いといったが、早朝からどうやらいたようだ。
シツジローくんが、拠点に使役獣たちをお世話に行って、帰ってきたときにはもう庭にいた。
庭で草むしりをしていたらしい。
メイちゃんがやらせていたのだとか。
仕方ないよね。
朝食も食べていたそうだ。
私は寝ていた。
わかってる。
きちんと起きないといけなかったのだと、わかっているけど、夜中にトイレに起きてしまったせいで、寝られなくなって、うとうとしだしたと思ったら、今だ。
お昼を回っている。
「おはよう」
眠さで不機嫌に言うと、メイちゃんがすぐにいろいろと支度を整えてくれる。
私は一人じゃ何もできないようだ。
実際できてないんだけど。
「師匠、おはようございます」
サカイさんは朝から元気だ。
本日もお休みをもらっているそうだ。
私と約束したときに、がるがるさんがいたからだろう。
夜でもよかったのに。
昼食を食べ、外に出たくないと思いつつ、サカイさんの案内で、サカイ家に向かう。
そんなに遠くないといっていたように、歩きできたそうだ。
「自分は宿舎に住んでいるのですが、実家はこちらなのですよ」
歩いた先は貴族街だった。貴族街に行くだけでも、門がある。
身分証を見せて通る。
「きぞく・・・」
「プレイヤー国の方から見れば、貴族なんて平民と変わらないでしょう」
大柄に笑う。
いや、そんなことはないんじゃない?
確かに貴族もいたな、ゲーム内でも。
王様もいたしね、王国だったから。
ああ、依頼主が王様なのはよくあることだったな。
指名依頼も断れたしね。
礼儀だってやったことないよ。
ゲームだったからね。
「うちは特にプレイヤーの子孫ということで、結構な地位をいただいているのですが、後継ぎは兄ですから。自分は平民ですし、プレイヤーである師匠は、当主である祖父より偉いです」
真面目な顔をしてサカイさんが言っているけど、嘘じゃないかな。
貴族って地位をひけらかすものでしょ?
やだな。
運営さん、何かさっさと帰る方法ないかなあ。
<サカイの言いうとおり、サカイ家ではおぬしのほうが立場が上だから、気楽でいいだろう>
ほんとかな?
礼儀にうるさいところはもう嫌なのよね。
気楽に生きたいんだから。
「ほんとは馬車で迎えに来たかったのですが、あまり大げさだと、師匠が嫌がると思いまして」
「貴族街ってだけでも嫌だよ」
「すみません」
苦笑しながらもどんどん進む。
この中もまた、その地位で住める場所が決まっているらしく、往生に近いほど、身分が高いのだとか。
面倒くさそう。
門を二個超えた。
上位貴族街だ・・・
「帰りたいな」
「そ・・・そんな、師匠。当主も楽しみに待っておられますから」
「私は楽しくない」
「そ・・・そんな・・・」
大体私は平民だっての。
プレイヤーのサカイだって平民でしょうよ。
血がつながらない養子たちが何をなしたのかは知らないけど、陞爵していて地位が上のほうって、どれだけ優秀なんだか。
「ねえ、サカイさん。がるがるさんのとこに妹さんが嫁いでいるのよね?」
「はい。すぐ下の妹ですね。彼女も元冒険者です」
ええ?
なんでお嬢さまが冒険者やるかな。
「平民じゃないの?がるがるさん」
「ギルドマスターは、ガーギス家の次男なのですが、やはり冒険が好きで、冒険者になりまして、妹と出会って…という感じです」
「貴族の坊ちゃん嬢ちゃんが、なんで?」
「なぜと言われましても・・・長男が継ぎますからね。次男はその長男に何かあった時用なのですが、ギルドマスターは、あの調子なので・・・、平民に下ってます。自分も平民ですよ」
陞爵するのは、長男だけだと笑う。
後は、婚約でもすれば、どこかのとこにお婿に行くか、地位などないから平民となるらしい。
「貴族の子供だからと言って、必ずしもあとを継ぐとも限りませんよ」
そういうものなのか。
血が強くないとだめとかじゃないんだな。
そうこう話しているうちに、大きな門の前についた。
サカイ家なのだという。
うん。
サカイさん家、というのではなく、お屋敷だ。
門の前には門番らしき人もいる。
サカイさんが何か話して、一人が中に行き、誰かと出てきた。
「ブルーム様、おかえりなさいませ」
「様はつけなくていいよ、もう平民だ」
「そうはいきません」
おっさんが出てきた。
おっさんだけど、ずいぶんと年を召した人だ。
おじいさん?
「・・・こちらのかたがたが?」
「そうだ。紹介するよ、メルバ。こちらが、私の師匠の、アイリーン・プラム・シュガー殿だ。その隣にいるのが、もう一人の師匠の、デュース・ガイアード殿だ。後ろの二人が、師匠の家の執事のシツジロー・ドール、メイド頭のメイ・ドール夫妻だ」
あれ?
一度しか紹介してないと思ったけど、よく覚えてたな。
サカイさん、何気に優秀だ。
「ご紹介にあずかりました、アイリーン・プラム・シュガーです」
「デュース・ガイアードです」
貴族に対しての礼儀も知らないよー。
でもこの人は、いったいだあれ?
「師匠、彼は長年、サカイ家に勤めている、執事のメルバです」
「メルバと申します。ブルーム様がお世話になっております」
「やめろ、メルバ」
ああ!
じいやさんなんだな。
サカイさんが照れてる。
「侯爵様がお待ちです」
促される。
待ってなくていいよ。
サカイさんの家には、錬金道具みに来ただけなのになあ。
「師匠、すみません。今日はいないといってたのに・・・」
「まあ、いいよ。でも、こんな偉い人のとこに持ってくるお土産が手作りじゃ悪かったわね」
貴族だと思ってなかったし、メイちゃんの手作りお菓子だよ。
何を作ったのかは知らないけど。
どうせ運営さんは知ってたのだろうから、教えてくれてれば、相応なものを考えたのに。
<相応なもの?>
ああ、なんだろう。
貴族と付き合いはないからわからないわ。
スライム核石のいいやつとかかな?
価値は知らないけど、錬金したものって、古代魔術道具で、価値があるみたいだし。
<確かにそういうものは価値があるのかもしれないがな>
でしょ?
ほんとに価値があるかは知らないけど。
ま、いいや。
メイちゃんが、メルバさんに、おかしわたしちゃったし。
応接室に通されて、しばらく待つ。
メルバさんが来て、扉を全開にした。
その向こうには、かくしゃくとしたといっていい老人。
なんだろう。
私の想像していた貴族様じゃないな。
もっと砕けたおじいさんって感じだ。
「すまぬ、待たせた」
「侯爵様!」
「ああ、そうだった。自己紹介が遅れた。わしは、スーベニア・サカイだ」
ス、スーベニア?
記念品なの?この人
ん?
スーベニア・サカイ・・・?
聞いたことがあるような?
「代々、当主になるものが、この名前を継ぐのだ」
思い出したー。
「スーベニア・サカイ!フレンドプレイヤー」
私の言葉に、侯爵おじいさんが、びっくりしている。
「あ、すみません。私は、アイリーン・プラム・シュガー、プレイヤーです」
やばいやばい。
自己紹介する前に口に出しちゃったよ。
まあいいか。
運営さんや、メイちゃんシツジローくんも名乗る。
「師匠、フレンドプレイヤーとは何ですか」
サカイさんが目を丸くしながら聞く。
「ああ、いや、えっと・・・」
言っていいものなのかな?
<大丈夫だ。プレイヤーは長生きだからな。故郷の友達の一人だというがいい>
そうだね。
フレンド登録した中に、スーベニア・サカイがいたよ。
数少ない一緒にプレイした仲間だ。
「私の友達。プレイヤー国から、どこかに行ったらしいのは知っていたけど、そう・・・そんな経ってたのね」
しんみり懐かしむように言ってみる。
実際は私は寝てたし、ゲームの世界のことだし、違う時代に飛ばされているんだしね。
なかなかの演技だと思うわ。
「師匠のお知り合いだったのですか、スーベニア・サカイ」
「そうよ。一緒に冒険もしたわ。懐かしいわね」
ゲームの世界は楽しかった。
そうか。
違うワールドにいるのか。
実際に会いたいな。
「な・・・なんと!ご先祖様のご友人でしたか。・・・ブルーム、すごい方を師事したな」
スーベニア・サカイ侯爵様が、何か驚いている。
貴族でも表情に出すことってあるんだね。
「ご先祖様のことをお伺いしても?」
ええっ。
めんどくさい。
今日はサカイの残した錬金道具や魔道具を見に来たのに。
表情を曇らせると、なぜか侯爵様が頭を下げ始めた。
え?
なんで?
「いまでなくていいです。もうしわけない」
何か、この人も砕けた人だな。
「そのうちなら。今日は錬金道具見せてくれるって」
「もちろんです。ご案内しましょう」
え?
侯爵様が?
「サカイさん・・・」
「すみません。祖父も気になっているようです」
小さい声で会話。
ああ、言わなければよかった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
毎週水曜日、頑張って更新してまいります。
サカイ家が何気に貴族だったという話です。まだ、錬金道具出てません。次回です。
誤字脱字で読みにくいかもしれませんが、お許しください。




