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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
38/281

38~なぜか扇風機~

いつもお読みいただきありがとうございます。

寝坊助女主人公、一応起きて作業をしております。


夏に入って十日ほどたった。

シツジローくんは、戻ってきている。

サカイさんはまだ行方不明だ。

だけど冒険者さんが見つけたらしく、しばらくいやし草を探しながら過ごしていると、運営さんが言ってた。


いやし草は、水気のある場所じゃないと生えないからなあ。

拠点の森のいやし草を、王都の家の、精霊の命の木の周りに植えてみた。

あっという間に繁殖しちゃったんだけど、内緒だ。

結構な量を使うから、どんどん繁殖してほしい。

精霊の命の木の周りの水が、いやし草には適しているようで、なぜか上物のいやし草となっている。

いいポーションもできやすい。


シツジローくんは一週間でたまっていた書類を片付けてきたそうだ。

さすがに優秀に作っただけある。

その間は、メイちゃんに食事をもっていかせてた。

一応二人は夫婦って触れ込みだからね。

シツジローくんの分だけではなく、ギルドマスターの分もだ。

後、おやつとして、甘い揚げドーナツなどを、ギルド職員の分も持たせた。

おかげで冒険者ギルドでは、扱いがよかったらしい。

気配り大事よね。


だけど早くサカイさんが帰ってこないと、また、シツジローくんを貸し出す羽目になるわ。

終わりの日も、職員さんたちが名残惜しそうだったし。

きっとおやつがもうもらえないからだと邪推しておいたけど。


「場所としてはどのあたりで採取しているのかしらね」


この辺りじゃ無理でも、門番街のほうなら何とか…ならないのかな?

いまだに雨が降らないから、どこもかしこもカラカラだけど。

あちらまで行くのも時間かかるか。


「西ではなく、さらに東のほうだな」


私たちが来たほうとは反対側か。

それじゃどこかはわからないな。

冒険者さん、探せたのだから、凄腕なんだろうな。

私たちプレイヤーは、すれ違えば登録されたりするから、すぐに場所が把握できたんだけどね。


「いつかは私たちも行きたいわね、東。隣の国にも行きたいし、ここら辺だってまだ回ってないとこ多いよね」

「君が寝るのを少し我慢すればいけないこともないだろう」


寝るのは大切なんだけどね。

わざと寝ているわけじゃなし、いいじゃないの。


けどほんと、夏が暑いわ。

室内にいるけど、暑さで溶けそうだわ。


「エアコンとかあればいいのに」

「ここは魔法が発達した国だ。魔道具は発達していないがな」

「そうよね。・・・風が出る装置が作れればいいんだわ」


エアコンみたいに、冷たい風が出る魔道具を作ろう。

そうと決まれば、ここより拠点のほうがいいわね。


「拠点に行ってくる」


みんなはおいて、一人でさっと行く。

やはりポータル魔法は便利だわ。


拠点は雨だった。

少し肌寒い。

この雨が王都中央部に来るまでにはどれほどかかるかな。


使役獣たちは、プラント母さん以外は家の中だ。

夏場が暑くても、雨に濡れるのは嫌なのね。

ああ、でも、ウーマは外で走り回っているのか。

シツジローくんに、きれいにしてもらわないとね。

ウーマは走るの大好きだからね。


それよりも、材料よ。

いくつかのインゴットを取り出す。

スキル想像力でできるわよね?

でも冷風を出すためのスライム核石は、どこに組み込もう。

冬には温風が出るようにしないといけないし、取り外し可能にしないといけないかな?

あまり大きなものだと、設置も大変だけど、小さいと意味ないよね。

各部屋の分も欲しいし・・・

ああ、材料が足りない?


まずは一つ作って、食堂につけておこう。

それからだんだんと作ればいいかな。


集中して、魔力を込める。

私の記憶にあるエアコンは、どんなのだったろうか。

部屋に設置されているので、まったく気にしてなかった。

それでもこんなのだというので作る。


・・・おかしいな?

これは扇風機だわ。

羽が五枚の、扇風機。

なぜこれができたのかな・・・

あ、これ、部屋の上のほうに取り付けるタイプのものだ。

エアコンは?

創造どころか見てたものだし、実物知っているのに・・・


「私の想像力に欠陥が?」


あり得るわ。

どこかで扇風機を思ってしまったのかな。

まあいいか。

これに氷のスライム核石をセットすれば、涼しい風が出るはずだし。


何個か作って、空間魔法に収納。

一つはここに残して、使役獣たちの部屋に設置だよね。

シツジローくん連れてこないと。


それより、スライム核石を作るために、スライムを探さないと。

ここは雨降りだから、川辺にいそうだし。

プラント母さんが、もしかしたら持っているかもだわ。


窓辺から顔を出すと、プラント母さんが寄ってきた。

触手で頭をなでてくる。


「プラント母さん、スライム核持ってない?」


いえば吐き出してくれた。

大量だ。

プラント母さんの食事のほとんどが、光と水とスライムなのだろうけど。


「ありがとう」


成長魔法をかけ、栄養剤を渡す。

もしかしたらこの森で一番高い植物は、プラント母さんになるかもしれない。

植物じゃないけどね。


プラント母さんの触手が、私の肩をたたく。


「どうしたの?」


触手が、水を出しながら回り続けるスプリンクラーを示す。

ああ、確かに雨の日はいらないな。

プラント母さんにスプリンクラーの止め方と付け方を教えておくの忘れてた。

使い方を教えると、全部のスプリンクラーが、触手で止められていく。

植物に水をあげすぎるのはいけないものね。

よく見ると庭が水浸しだ。

こちらはいつから雨だったんだろう。


「それじゃまたしばらくはお願いね」


プラント母さんに別れを告げる。

スライム核が手に入ったし、核石作らないと。

それにシツジローくんに扇風機を設置していってもらわないとね。

核石を入れ替えできるようにしたから、温風も出るんだわね。

冬でもこの扇風機は重宝しそうだ。


錬金室で作業に取り掛かる。

この時間が一番好きだ。

私は作るのが好きなのだと思う。

しばらくして氷のスライム核石ができた。

磨くのは苦手だけど、今はメイちゃんもシツジローくんもいないから、自分でやらないといけない。


「うう・・・ねむい」


集中して磨いているはずなのに、集中力が途切れる。

一休みとして、意識を手放した。


気が付いたら、ベッドで寝てた。

メイちゃんがそばで核石磨いてる。

寝てからそんなに時間がたっていないみたい。


「メイちゃん?」

「気が付かれましたか、お嬢さま。お帰りが遅いのできてみたら、作業場で寝ておられましたので、お部屋にお連れしました。丸一日お休みでございました」


そんなに経ってないわけじゃなかった。反省。

やっぱりどちらかについてきてもらう必要があるわね。


「石はこれですべてでございます」

「ありがと。これを壁に設置したいから、シツジローくんを呼んできて」

「承知しました」


少ししてシツジローくんが来た。

扇風機を従魔の部屋に設置させる。

使い方はしーちゃんに教えておいた。


王都の拠点に戻り、各部屋にも設置して、使い方を教える。

これで快適…とはいかないかもだけど、涼しく過ごせるはず。

夏はこれからが本番だ。










毎週水曜日12時に更新しておりますが、ちょっと忙しくなるため、更新が遅れるかもしれません。

読んでくださる方には感謝しております。

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