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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
35/281

35~スライム核石、再び~

お読みいただきありがとうございます。

居眠り女主人公、起きてます。

王都の家に住むために頑張ってます。

宿は引き払った。

王都中央部での家での生活になる。

拠点との行き来もできるし、考えてみれば、作った当初からここでもよかったんじゃないかな?


池にも水がたまり始めている。

この水がどこに排水されるかが問題なわけだ。

あふれても困るけど、なくなっても困る。


「ほとんどの水は、周りの垣根と、精霊の命の木が吸い取るだろう」

「そうなの?」

「垣根はあのプラントの種なのだろう?」


そうだ。

プラント母さんは水のある場所に常にいるし、その種なのだから、垣根も水を吸い取ってくれるだろうな。

吸い取りすぎも困るから、垣根にもよく言っておかないとね。


「周りに芝も植えたいわね。池にも魚とかいるようになるといいな」

「魚の前にスライムが住み着きそうだな」


あり得るわ。

水辺って、なぜかスライムが多いのよね。

あとはおいしい果物とかも植えたいけど、それは拠点でいいか。

拠点のスライム、分裂してくれてないかな。

浄化槽に突っ込んでおきたいな。


「ちょっと拠点に戻ってくるわ」


留守番は任せて、拠点。

ちょこちょこと来ているけど、やっぱり自分の家って感じ。


浄化槽を除くと、なぜかスライムが巨大化していた。

浄化するものないから、なぜ巨大化しているのかわからないけど。


「王都の家にも起きたいので、分裂して」


半分の大きさになった。

こんなに大きいと、王都の家には無理かな。

でも、この半分のスライムを連れていくことにする。

各部屋の浄化槽やらに、分裂させて放り込めばいいんだし。

分裂すると、各々に核ができるのが不思議だわ。

使役獣だから、このスライムからは核を取らないことにしているけど、やはりスライムはすごいな。

見ただけでも、大きい核だわ。


プラント母さんに栄養をやり、ほかの使役獣たちにも、冷たいものをあげて、ブラッシングとかしてから、また王都の家。

早くここに連れてこられるといいな。

ウーマが見当たらなかったけど、きっと森を駆け巡っているのだろうな。

ウーマもブラッシングしたかったわ。


スライムには、さらに数匹に分裂してもらう。

池にも一匹入れておこう。

落ち葉とか食べてもらわないとね。

それでも核がないと次が進められないんだよね。

拠点でも少し、スライム核狩りしてくればよかったな。


ご飯づくりは拠点で。

というか、拠点で食べているんだよね。

みんなで。

王都はまだ使うことができないから。

やっぱりメイちゃんの料理はおいしいわ。

シツジローくんがさばいてくれた肉もおいしいわ。

魚も、プラント母さんがつってくれたし。

お野菜は少ないけど。


乾季になってから、野菜の値段が上がっているらしいと、メイちゃんがうわさで聞いてきていた。

別にいくら出しても構わないんだけど、枯れかかっている野菜に出す値段ではないという。

メイちゃんは立派に家計を守っているわね。

ゲームの時は気にもしていなかったけどな。


「乾季はだんだん移動しているのよね?」

「ふつうは全体的に王国内でなるものだが、強さが違うのかもな」

「ここのほうが乾いているのはどうして?」

「世界に満ちている魔法の力のせいだろう。ただ暑いだけだ」


暑さか。

確かに暑いし、夏も近い。

でもこれだけ水が足りないと、夏に雨が降らなかったら、危険だな。


「スライム核石、普及できるといいのにね」

「錬金術は、結局広まらなかったからな」


膨大な魔法力を保持しているプレイヤーだからこそ、それができるのだという。

でも、スライム核石くらい、作れるでしょうに。

水の核石、売れるかな。

でもスライム狩りが横行しそうで嫌だな。

私が作るだけでも、100匹単位は必要なんだから。

やっぱり現実はゲームみたいにはいかないな。


「普及はやりたい人にだけにするわ」


私の好きなようにしていいって言ってたし、そうしよう。

運営さんもうなずいてくれているし。


「どうせ普及させるなら、おいしいものがいいよね」


そう。

マヨネーズよ。まだまだ改善の余地ありだけど。

メイちゃんが作ってくれたわ。

もちろん、攪拌させるには、手だと疲れるだろうから、魔法使ってやったけど。

電動ハンドミキサーほしいわね。

電気ないけど。

これだってスライム核石セットすれば使えるものだろうし。

ああ。

早くスライム来ないかな。



*   *   *   *   *    *    *    *    *    *


依頼してから一週間。

冒険者ギルドの外にいる。

ついてきているのはシツジローくん。ウーマの馬車を引き連れている。

メイちゃんと運営さんは、それぞれやることやってもらってる。


目の前にいるのは、確か、ギルドマスターがるがるさん。

なんでそんなへんな名前なんだろう。

あと、サカイさん。


「来たか、アイリーン・プラム・シュガー」

「お久しぶりです・・・がるがるさんとサカイさん」

「誰ががるがるだ。ガルガンギ=ガージスだ」


おしい。

ちょっと覚え違いしてたみたい。

ま、いいか。


「ご依頼されました、スライムは、裏におります」

「ありがとうございます」


サカイさんが案内してくれる。

いい人だな。


ギルドの裏の倉庫の前に、ネットがいくつか置いてあった。

生け捕りなので、倉庫の中に入れられないらしい。

ネットがうごめいている。


「全部で138匹だ」


ちょっと少ないな。

いろいろ使いたいことあるし。仕方ないか。


受け取った後、受取証と、そのほかいろいろと書類を書いて、ギルドを出る。

と。

サカイさんが、近づいてきた。


「アイリーンさん、お願いがあるのですが」

「はい、なんでしょう」

「そのスライムたちはスライム核石になるのですよね?」

「この前も言いましたが、そのために捕まえてもらったので」

「図図しいかもしれませんが、作っているところを見せていただいてもよろしいでしょうか」


サカイさん自身は、血が全くつながらないけど、プレイヤーの子孫。

見てみたいのだろうな。

古代魔法と呼ばれてしまっている、技術を。


「いいですよ。うちに招待しましょう」

「ありがとうございます」

「その代わり、スライムから核を取り出すところから手伝ってもらいますよ」


それくらいはやってもらいたい。

でも、家帰ってすぐ作業始めるけど、この人いつ来られるかな。


「帰ってすぐ始めますけど?」

「実は午後は半休もらっているので、大丈夫です」


抜け目ないな。

それじゃ、一緒に帰るとするかな。


すぐ支度してきます、と、サカイさんは去っていく。

数分もしないうちに、帰り支度なのだろうものを持ちやってきた。

スライムを馬車に乗せ、私とサカイさん、シツジローくんも乗り込む。

ゆっくりの足取りだ。

全く馬車の振動がないことに、サカイさんは驚いていた。

あったら、いたくて乗れないからね。


拠点でやっていただろう、昼食の支度。

王都の家のほうに並べられている。

急遽サカイさんが来たから、ここで食べることにしたので、メイちゃんが運んできた。

まずは食事だ。

スライムは、ネットごと、倉庫に置いてある。


ものすごい勢いで食事をしていくおっさんに引くわ。

メイちゃんがシツジローくんの伴侶だと紹介しておいてよかった。

嫁にくれと言い出しそうだし。

おかわりも何回するのよ。

よくたべるわね・・・・

見ているだけで胸焼け起こしそう。


「おいしかったです」

「よかったですね。お茶したら、作業に取り掛かりますよ」


食休みは大切だわ。

お茶をすすりながら、スライムグローブを取り出す。

説明して、サカイさんに渡す。

スライムグローブも知らないらしい。


「この世界には失われたものが多いのでしょうか」

「プレイヤーの国には当たり前に存在するけどね」


失われたわけじゃなくて、元からないんじゃないかな?この世界には。

それをプレイヤーが持ってきてただけだと思う。


さて。

一休みすんだら、スライム核を手に入れなければ。

攻撃しなければ攻撃してこないスライム。

そこに手を突っ込んで、素早く引き抜くだけ。

見せれば誰でもできる。

サカイさんもコツをつかんだころには、スライムが残っていなかった。


「この池のとこにいるスライムは・・・」

「それは私の使役獣よ。核を抜いたら…わかるわね?」


脅しは大切だ。

はっきり言うけど、使役獣のほうが大切だから。使役するつもりなくても使役している従魔だ。


「ちょっとたのしかったです。この抜け殻はどうするのでしょうか」


まだうごめいているスライムの核のない抜け殻。

池のスライムのとこにいれたらくっついた。

あとはスライムに任せておこう。

あ、分裂した。


「増えた分のスライムは、拠点に戻しておいて」


シツジローくんが、分裂したほうのスライムを、数匹抱えて、家に入っていく。

家のスライムに任せれば、くっつくだろうな。

あちらが本体だし。


「ここからが、スライム核石を作る本番です」


私の部屋の隣。

錬金部屋だ。

この世界ではほぼ見たことのない機器で埋まっている。

複製だけど。


弾力性のある核を切り刻む。

もちろん手伝わせる。

はかりに乗せ、重さをはかる。

水と火のスライム核石を作るのだから、その比重が大事だ。

魔法陣に乗せる。

石ができる。

後は、これを割って、研磨する。

研磨は、私は苦手なので、サカイさんにもやらせてみた。

なかなか器用らしく、きれいな核石ができてる。


「それはあげるわ」

「えっ!」

「初めて自分で作った核石だし、何かに使えるでしょ」


使い方も教えておく。

これだけでも使えるのだ。

火と水の核石。

どちらの性質も持つ。


「水に入れて、魔力通せば、お湯もできるわよ」


小さいかけらを水に入れて、魔力を通す。

すぐに沸騰したお湯ができた。


「すごいです。こんなすごいものだなんて・・・」

「なんだと思っていたの」

「技術は伝わってきてませんでした。プレイヤーのみが作れるものだと思ってました…」

「確かに、生きたスライムからしか核をとれないし、錬金道具がないと作れないわね」

「いくつかの錬金道具はございますが、何分、使い方がわからないのです」


おいていったのか、サカイ。


「ある程度魔力がないと作れないわよ」

「確かにそうですね。・・・家にある錬金道具もまだまだ使い方はわかりませんし、この魔法陣もわかりません」


仕方ないよね。

だからこそ錬金術は残っていかない技術だから。


もう夜だ。

夕飯の支度がされていた。

作られた核石で、キッチンもトイレもお風呂も使えるようになった。

夕飯を食べながら、サカイさんのよくわからない感動話を聞く。

プレイヤーにあこがれていたらしい。

いつの日かプレイヤー国に行きたいからと、冒険者になり、いまだにかなわない、と。

いけるわけないしね。

夜もとっぷりと暮れて、サカイさんは上機嫌で帰っていった。


私は疲れたわ。

お風呂入って、さっさと寝たいわ。

長い一日だったな。


「おやすみなさい」










今回はいつもより長くなりました。

誤字脱字も多いかと思います。

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