34~内装は、メイちゃんにお任せだ~
お読みいただき、ありがとうございます。
居眠り女主人公、起きてます。
王都中央部の家は、着々とすめるようになっております。
家具が必要。
クローゼットはウォークインだけど、ほかは必要なんだよね。
テーブルとか、椅子とか…
あと何かな?
ベッドは必需品。
ふかふかのクッションはメイちゃんに作ってもらうから、材料は買ってこないとね。
なので、今日のお出かけは、家具屋さん。
どんな家具があるのかな。
高級なものはいらないけど、どうやら、王都中央部は、どこも高級なものらしい。
新しいものは、全部お値段が高い。
そして、従業員も態度がよくない。
貧乏人は来るなってこと?
話しぶりでは、リサイクルショップもあるらしいけど、それは嫌。
どうしようかな。
「スキルで作ってしまえばいいのではないでしょうか」
家具作成スキルか。
確かに極めているけど、材料買ってきて作るのよね。
釘とかあるのかな。
「どういう場所に行けば売っているのかな」
「また、スキル想像力で作ってしまえばいいだろう」
そうなんだけど、それだと、私が好きな形にしかならないじゃない。
私の家具はいいよ?
でも、メイちゃんやシツジローくんのは、どうするのよ。
運営さんは自分で作ってほしいわ。
「しょうがないな。伐採してくるかな。釘とかは、シツジローくんたちが、どこかで調達してきてくれる?」
「かしこまりました」
「布も」
「拠点のものを複製してくればいいんじゃないか?」
⁉
その考えは忘れてたわ。
そうだよね。
家にあるものはコピー可能だったわ。
「ふっ、しってた」
「うそをつけ」
まあいいわ。
拠点とつなげて、サクサクと複製してきましょう。
錬金道具は複製しないといけないんだしね。
スキル魔法って便利よね。
拠点に戻ると、王都中央部よりも乾きがひどかった。
使役獣たちは、相変わらず、スプリンクラーのとこで水浴びだ。
プラント母さんも、心なしか元気がない。
川も水量が少なくなっているようだ。
「ここまで乾くものなの?」
「今年はひどそうだな」
私自身は、こちらに来るのは初めてなんだから、この世界がどれほど乾くのかは知らない。
乾季も経験したことがない。
でも、これはひどい。
だんだんこの乾きが王都中央部にも広がると思うと、水魔法の使い手が、重宝されるのもわかる気がした。
家具類を複製した後、王都中央部の家に戻る。
馬車自体は、倉庫兼食糧庫に入れてあるから、そこから出入りしているから、見られる心配はない。
各自の部屋に、必要な家具を置く。
とはいえ、私の部屋は、ベッドと机といす、ソファとテーブルくらいだ。
ほかの部屋もそうだ。
「運営さんのはどうする?」
運営さんは、どこからか、家具を出してきた。
それを部屋の中に配置している。
「仕事部屋?」
なんだか、冒険者ギルドで見た、ギルドマスターの執務室みたいだ。
「ここでも必要なことはやらないといけないからな」
「それもそうね」
後は、居間とか客間とか、キッチンに必要なものとか買いに行かないと。
庶民のものでいいのよ。
ちゃぶ台は、家具屋にはなかったから、作ることにしないと。
そのために、何本か伐採してきたし。
拠点の不思議は、伐採した木が、もう、生え変わって、大木になっていたところよ。
あの森、おかしいんじゃないの?
「魔力が空気中に満ちているこの世界では、特にあの森ではおかしいことなどない。大体にして、なぜ、国境が森なのかを考えるとわかる」
確かに、あの森は、国境の境目にある。
どちらにも属さない。
魔力が満ちている場所で、魔獣が多くいる場所。
国境の森、どちらかの国があそこを所有していたとしたら、どうなんだろう。
魔獣があふれ出たとき、どちらかの国のものだった場合、そこを所有する国の責任となる。
それを回避するために、あの森自体は、どの国にも属さない、不可侵な場所なのだという。
人間の都合だ。
だからと言って、木がすぐにはえてくるものおかしいんだけど?
そこの説明はないようだ。
魔力が関係するのかな?
使えるんだからいいけど。
「それでは、お嬢さま。私たちは買い物に行ってまいります」
メイちゃんとシツジローくんが、礼をして去っていく。
こまごまとしたものを買いに行くようだ。
私はちゃぶ台づくりをしないとね。
スキル:想像力で、だけど。
ああ、座布団ないな。
メイちゃんが帰ってきたら、作ってもらおう。
夕方になり、宿に帰る。
メイちゃんが夕食の準備を終えて、早速、マットや座布団づくりを始めてくれる。
小さな窓用のカーテンや、中庭に面した窓のカーテンも、メイちゃんが手作りだ。
そんなメイちゃんのために、スキル:想像力で、足踏みのミシンを作った。
電気が通ってないから、確かこんな感じという、昔見た資料を思い出して、作った。
早く作ってあげればよかったよ。
最初は戸惑っていたけど、すぐに使い方が分かったらしい。
音や振動があったら迷惑になるので、防音、耐震魔法の空間を作り、そこでやってもらっている。
サクサクと作り上げていく様子は、さすがメイちゃんだ。
私ももちろんできるよ?
ただちょっと、うまくいかないだけよ。
極めているからという意味では、何かが違うのよ。
生活魔法って、微妙な調整が必要だよね。
不器用なわけじゃないのだよ、うん。
夕食の後は、私は寝る。
魔法使うと眠くなる体質、どうにかしたいものだ。
最初のころは、何もしなくても寝てたけど。
まだ、惰眠がついているのかな…
朝は意外と遅かった。
あ、意外でもなかった。
いつものことだった。
王都中央部の家に行く。
いってすぐに、まずは、精霊の命の木に、水と成長魔法。枯れてしまっては困る。
メイちゃんのすごいところは、頼んでおいた縫製のものを、一晩で全部作ったところ。
何この娘、万能なお姉さんだよ。
どこに出しても恥ずかしくないね。
シツジローくんのお嫁さんだけど。
ソファのクッションや、ベッドのマット、シーツはもとより、カーテンも、座布団もある。
座布団なんて、10枚もあった。
そんなにお客様用必要かな?
客用のベッドも完璧だ。
カーテンの取り付けは、カーテンレールを私が作ったら、シツジローくんが取り付けて、カーテンをかけていく。
これで、外から中が見えることはない。
中からも見えないけど。
下駄箱も、複製したものが置いてあるし、スリッパは、メイちゃんが柔らかいルームシューズみたいなのを作ってくれた。
後は、住んでから必要なものは取り揃えればいいかな。
各部屋が整っても、一番大事なのは、スライム核石がないと、トイレやお風呂が使えないこと。
なので、まだ先だ。
拠点ですこしだけスライム狩りをしてきたけど、足りないしね。
でもこれで作るのは水の核石。
まずは、木の周りに、溝を作って、水を循環させようと思う。
少なければ、木が吸い上げた分であふれることもないだろう。
土魔法で、溝を作る。
あまりいいスライム核石じゃなくていいので作ると、溝の中に置いた。
そこからあふれる水は、ゆっくりと溝の中に広がった。
溝の上には、金属で作った、ふたをする。
網目状だから、流れも見えるしね。
溝は、そこだけじゃなく、垣根のほうにも流れるようにしないとね。
垣根のとこにもふたをして、何とか完成。
この乾季の中、豊富な水が出てくるのはいいことだわ。
木の横に小さな池も作る。
池は、循環した水が最終的にたまる場所にした。
ここにも網目状の金属のふたをする。
この池がいっぱいになるころには、次のスライム核石ができるといいな。
今日できることはこれくらいかな。
宿に戻らないとなぁ。
でもそろそろ宿を出て、馬車で拠点とここを往復して過ごしてもいい気がしてくる。
ここまでくる時間ももったいないしね。
「そろそろここにすみ始めましょうか」
「かしこまりました。では、宿を引き払ってまいります」
「明日でいいよ。今日は一応、宿に帰るよ」
行動が早いから仕方ないけど、焦るわ。
でもまぁ、これで、心おきなく、家にいられるようになるし、寝ててもいいわね。
宿で、引き払う旨を告げ、その日は泊まる。
明日には、家に行けるわ。
「おやすみなさい」
いつもありがとうございます。
まだまだ続きます。




