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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
3/267

3~メシマズすぎて悲しくなりました~

目が覚めたら、明るかった。

今何時だろう。

はっ!

仕事…と思ったところで、気づいた。

私は今、違う世界で生きているんだった。


「おはよう、運営さん」


寝袋からもそもそ這い出すと、伸びをした。

なぜか、テントはなくなってて、寝袋だけになってる。一晩は持つはずなのにな。


〈あれから2日ほどだったのだが、きみはいつまで寝ている気だったのだね?〉


2日?

いやいや…普通に寝てましたよ。

やはり、生きてた頃の睡眠不足が原因かな?


〈そのステータスの特性のせいだろうな〉


運営さんの呆れた声。

特性?

そんなものあっただろうか?


ステータスを出してみた。


名前 アイリーン・プラム・シュガー

性別 女性

年齢 ∞

種族 プレイヤー(プレイヤー国出身)

LV 1380(限界突破数 3)


体力 999,999(MAX)

魔力 999,999(MAX)


全属性魔法 LV10 (MAX)

スキル取得率 92%


特性 惰眠



簡易的なステータスに 惰眠がついてた…

何この特性!

運営さん、どういうことなの!?


〈きみは、ゲームのログアウトの時、ほぼ屋内の寝所にて、アバターを眠らせていただろう。現実のきみは、生活のためのサイクルをしていたのだろうが、アバターのきみは、起きている時間が2時間にも満たないため、怠け特性がついてしまっていたのだ。ステータスなど見ないから気づかずじまいだったのだろうが、それが長く経ち、惰眠となったというわけだ〉


くっ…

なんて屈辱。

現実の私は、惰眠を貪るどころか、休日出勤までして、過労死したというのに。


〈規則正しい生活をしていれば特性はまた変わる〉


規則正しい生活か。

別にいいや。

あくせくしておなじことにはなりたくないし。

ゆっくりやって行こう。


もう一つ聞きたいわ。

種族 プレイヤーって何よ。


〈きみがゲームしてた通り、この世界にはたくさんの種がいる。きみの外見はヒト族だが、レベルが違いすぎる。なのでプレイヤーは、ヒト族ではなく、プレイヤー族と呼ばれるようにした。だいたい、きみたちプレイヤーはゲームの時の特性で、不老不死だ。なのでもはやヒトではない〉


おお。

不老不死だって?

たしかにゲームはやられたら、最後のセーブした場所に戻されてたけども。

見た目も18歳くらいにしたからなー。


プレイヤー国出身ってのは?


〈そんな国は存在しないが、プレイヤーもどこかに国がないとあやしまれるものだ。プレイヤー国は海の向こうのどこかに存在していると思わせているのだ。そこから時折プレイヤーという種族が、どこかの国に、ふらりと現れて、何かを成し遂げて去っていくという。この星の国々の伝説だ〉


えっと…それって、私以外にも、プレイヤーがいると?


〈きみより過去の世界についたプレイヤーもいるのだ。どの時代に送られてしまうかは、感知できないのだよ。それに一度に5人は送れるからな〉


なるほど。

つまり、過去の世界に送られたプレイヤーがいろいろやったってことね。

それで、プレイヤー伝説がある、と。


〈そういうことだな〉


その人、今、どこにいるの?


〈ほかのワールドに移った。この星に満足したので、他に行きたいとなったのでな。今の時代にいるプレイヤーは、3人ほどだ。きみとは違う大陸にいるようだ。わたしの担当ではないので、詳しいことはわからないがね〉


理解したわ。

まだ、ねむいから、ぼんやりしてるけど。


さて行動しましょうか。

まずは川で顔洗ってからだわ。

水辺のとこって便利だなぁ。

喉も渇いたし、飲めるかな?


盛った水に浄化魔法をかけてみた。

やはり、そのままの水が安全かどうかわからないし。

お腹壊したら、どうにもならない。

ここには何もないんだから。


「お腹すいたなー…」


ご飯はない。

あるのはこの前倒したワイルドキングボアの肉だけだ。

またこれを食べないといけない。


「マズいよ…」


噛み締めながら、1人ご飯だ。1人ご飯は慣れてるけど、いつもコンビニ弁当だったし、白飯あったし。

肉ばかりだと、つらいよ。野菜も穀物も欲しいよ。

自炊…してなかったけども。


残念ながら、私は、現実もゲーム内も、料理や家事スキルをあげてなかったせいで、美味しい料理ができない。

ゲームの料理や家事スキルは、この、取得できてない8%に含まれている。

錬金スキルはMAXだけど、料理は別らしい。

私がそちらをあげなかった代わりに、ドールと呼ばれている、使用人人形にとらせていた。

ドールはカスタマイズ式だから、好きな外見にできたし、プレイヤーの命令で、勝手に動かせた。

スキルも戦闘レベルもあげられたし。


運営さん…

私のメイちゃんとシツジローくんはどこなの…

美味しい料理が食べたいよ…


〈きみのドールへのネームセンスはともかく、空間魔法のなかにいる〉


えっ?

メイちゃんとシツジローくんが?

たしかにドールは生き物じゃないけど…


〈エネルギー切れで止まったときに、収納した〉


エネルギー切れ?100年持つと言われてる、S級を入れたのに?


〈きみが眠ったままでも、ドールは動き続けていたのだ〉


そっか…わたしが目覚めるまで、そんな長い時が経ってたんだ。


ドールのエネルギー源は、魔物であるスライムの核をベースに、錬金術で作る、核石と呼ばれる魔力石だ。

生きているスライムから、柔らかい核を取り出して、そこに魔法を染み込ませると、その魔法属性の核石ができる。

その核石を砕いて、絶妙に配合し、錬金術の魔法陣にスライムの核と共に乗せ、術を発動させると、最低ランクF級から、最高ランクSS級までがある。

品質が良ければ、エネルギーの充填をしなくても、長いあいだもつ。品質が悪ければ、すぐに壊れて、つけかえだ。


エネルギーは、自分の魔力を注ぎ込むだけなんだけどもね。


私のドールには、S級の核石を使っていた。作るのは苦労したよ。

何匹のスライムが犠牲になったことか…


とにかく、メイちゃんとシツジローくんを出そう。


まずは、テントだ。

その中で、2人を出す。

空間魔法から出てきた2人は、本当にうごかなかった。

横たわったまま、マネキン人形だ。


外見年齢は、二十代半ば。

設定も夫婦としてある。美男美女だ。


2人には、メイド服と執事服を着させている。

着ている服にも、劣化はみられない。


首の少し下。

そこに核石をセットできる箇所がある。

あけてとりだした。

薄い灰色の球体だ。


劣化はこちらもみられない。

石というよりは、柔らかい感触だ。


運営さん?魔力って、どうやって注ぐの?

昨日、初めて魔法使った私としては、やり方わからないんですが?


〈核石に触れて集中すれば注がれる。満たされれば白く光る〉


なるほど。


集中。

核石を持っている手に、身体の中にあった何かが、集まってきている感じ。

呼吸を整えながら、しばらくそのままでいたら、核石が乳白色になった。

そして光を帯びる。


どうやらうまくいったみたい。

魔力としては、S級の核石は、2,000ほどつかう。

2人分だからその倍だ。

だけど、全く影響ないな。


核石を戻して、少し待つ。

メイちゃんとシツジローくんが目を覚ました。

2人は起き上がる。


何事もなかったかのように服を整えて、私の方にむいた。


2人は笑顔だ。


「「お目覚めですか、お嬢さま」」


2人の声が重なった。

初めて聞く声だ。いつも画面越しの文字だけだった。

2人は私を「お嬢さま」と呼ぶように設定してある。


「おはよう、でいいのかな」


なんて言っていいのかわからない。

緊張してしまう。


2人は周りを見回している。


「お尋ねしてもよろしいですか、お嬢さま」


シツジローくんが、うやうやしく尋ねる。


「こちらはどこでしょうか」


そりゃそうだよね。

目が覚めたらテントの中とか。驚くよね。


「ここは引っ越し先の森の中で、お家はこれから建てます」


引っ越したという設定のもと、私はあれこれ2人に話す。

特に、食料品がないことをだ。

2人はすぐに納得していた。なんで順応性が高いのでしょう。


「メイちゃん、お腹すいた」


あのマズいお肉を食べてから、だいぶ時間が経った。

魔法も使ったから、お腹すいた。


肉だけしかないけど、渡す。

メイちゃんのスキルレベルなら、肉だけでも美味しくなるはず。

空間魔法に入っていた調理器具と食器を渡す。

キッチンはないけど、どうにかなるかな?


メイちゃんとシツジローくんが、テントの外に出た。私もそれに続こうとしたら、「少し休んでください」と、シツジローくんにとめられた。


テントの中じゃ、何にもないのに。

寝袋でゴロゴロしてみる。

魔力が回復している。


どのくらいたったのか、美味しそうな匂いがしてきた。


「お嬢さま、お外へどうぞ」


呼ばれて外へ。


焚火ができている。

そこでメイちゃんが料理してる。

シツジローくんがテーブル(ないけど)セッティングしてる。


おお!

魚があるよ!


並べられた食卓を凝視した。

肉しかないはずなのに?


「先ほどそこの川からとりました」


私の驚く顔で悟ったのか、シツジローくんが答える。

魚がいたんだ?

川だもんね…いるよね。気づかなかったよ。


並べられた料理は3人分。

ドールは食事の必要がないけど、私が2人と一緒に食べたいからと、同じ食卓についてもらっている。

ゲームの中だけでもボッチメシはしたくなかった。


「いただきます」


切り分けられた魚と肉を、お皿に盛ってもらって、フォークとナイフで食べる。


「美味しい!」


味は素朴なのに、けものくさくないよ!

何で?


「シツジローに森に入って、香草をとってきていただきました」

「入ってすぐに香草やキノコがありました」


たしかに、付け合わせにキノコがある。

香草が、お肉の臭さをけすのか!


「調味料がないので、これが限界でした」


メイちゃんが申し訳なさそうに言う。

なにいってるの!私のあのマズメシに比べたら、天と地の差がありすぎだよ!

魚もうまー!


「さすがメイちゃんだよー、美味しい」


「ありがとうございます」


いやいや、こちらこそだよ。

これでマズメシから、脱出だよ。


ひととおり食べて、お腹いっぱいだー。


「ごちそうさまでした」


食事を終え、食休み。

メイちゃんとシツジローくんは片付けだ。

川で調理器具や食器を洗ってる。


私は、気力も充実したし、やはり、家づくりだな。


テントを片付け、2人に家づくりをすることを伝えた。


今日はお家で寝られるかな?









 








長く書いて、読みにくかったらすみません

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