270~おっさんの泣き顔にかわいそうとは思えない~
プラム郷でのまったり期間は、冒険者ギルドからの、王都中央部のギルドからの連絡で終わった。
一体、なんの用事よ。
ダラダラしながら、ナナを撫で回したり、ナナの弟妹と遊んだりしてるというのに。
ちなみに、フリスビー作ったら、ちびっ子たちに大受けで、それはそれは楽しそう。
癒される。
「師匠ー」
仕方ないので、王都中央部のギルドに入った途端、どうしてわかったのか、サカイがドタドタと階段を降りて、泣きついてきた。
「なに?」
不機嫌にもなるってものでしょ。
おっさんのくせに、なんで泣き顔なのよ。
「ギルドマスターが、辞めさせてくれないんです」
はあ?
それ、私に関係ある?
サカイが言うには、本格的に、錬金術師として活動したいから、副ギルドマスターを辞めて、ただの冒険者として、活動したいらしい。
だけど、ガルガルさんがそれを認めてくれないのだとか。
「仕方ないでしょ、ガルガルさん、書類仕事苦手なんだし」
そのために、ほぼ書類仕事してるの、サカイなんだしね。
「エイトの面倒だって、辞めた方がみられるんですよ」
いや、辞めない方が、行動の制限できそうだけど。
エイト、レベル高いし。
それより、ここ、ギルドマスターの部屋で、ガルガルさんがいるんだけどね。
複雑な顔してるわ。
「ガルガルさん、サカイ、辞めさせてあげる?」
「いや、ならん。お前やエイトくんを止めるのは、サカイがやることだ」
「何言ってるんですか!止められるわけないでしょ!」
こら、サカイ。
師匠の私を前に、失礼だ。
「サカイが王都中央部のギルドにいてくれる方が、私としてはいいんだけどね」
いろいろ役に立つし。
「だけど、ここにいると、師匠から指導も受けられないではないですかー」
「え?あ、ああ」
そうだった。
錬金術、きちんと教えるんだった。
忘れてたわけじゃないけどね。
「まあ、3日おきくらいに、王都中央部にくるから、そしたらうちに来なさい」
これで勘弁してよ。
めんどくさいけど、仕方ない。
「わ、わかりました」
ものすごく残念そうだけど、その後ろのガルガルさんが肩をすくめてるので、良しとしよう。
ダラダラ生活は、またしばらくできないわね。




