269~まったり~
卵を探す旅から帰ってきて数日。
私は、ダラダラとしながら、ナナと、ナナの弟妹たちと、温泉に入ってる。
宿屋の温泉はお金さえ払えば、だれでもはいれるから。
だけと、ここは私の家。
その庭に温泉つくった。
「あー・・・、落ち着く」
大きめの湯船と、鹿おどしの音。
石に見せかけた縁のとこで、ぷかぷかと湯船にうく。
旅の疲れが取れていくようだ。
「たまにはのんびりもいいわね」
「おじょーさま、いつものんびりしてる」
ナナ、ツッコミいれない!
「ナナはお湯入るの大丈夫なのね」
「ナナは泥水でもヘーキ」
いや、それはやめていただきたいわ。
「泥水入ったら、綺麗に洗ってから、湯船に入るのよ」
「はーい」
返事だけはいい。
ナナの弟妹たちは、まだ産まれてそれほども経ってないのに、湯船中で泳いでる。
まだ四つ足だし、どう見ても犬だわ。
「本当に狼なのかしら?」
「狼だよ」
ナナは狼じゃないと思うけどな。
お口だけは、ハムスターよね。
「こんなに早く動くようになるものなのね」
「獣人は、大きくなるのは早いんだよ?」
え?
ナナ、小さいけど。
「ナナも大きくなったでしょ」
ない胸を張るちみっこナナの、どこが大きくなったのか?
「ナナは背も伸びてないわね」
「むー」
むくれた顔も可愛いわね。
いつまでも小さいナナでいて欲しいわ。
弟妹五匹は、お湯から出て、氷を舐めてる。
うん。
やっぱり犬っぽい。
「今日は、ナナが、お世話なの」
「それでうちに来たのね」
「おやつなの」
わかってたけど、困った子だよ。
まあ今日は、まったりとお風呂の日。
ナナもちびたちも、ゆっくりしてって欲しい。
でもね、ちびたちの名前をつけるのはお断りです。
私は後ろ盾になってあげられないからね。




