26~たれは譲ってもらえない~
毎週水曜日更新、できるといいなぁ・・・
寝坊助主人公、新しい集落につきました。買占めばかりだ。
馬車はもう中央部に向かっていた。
そりゃそうよね。
私がいつものように寝ていたのが悪い。
まだ先なのかなぁ。
「もう少ししたら次の集落につきますよ」
いくつか集落を飛ばしているらしいけど、どうでもいい。
それより、最近、暑くなってきてないかな?
「夏に近づいている?」
「いや、まだだろう。あとひと月少しは、ならないはずだ」
「それじゃ、乾季か」
乾く季節は嫌いだ。
静電気が起きやすい。
先に乾季が来てしまうということは、あの池の水も少なくなるんだろうな。
「ジャムさんのところは、水の人がいるのかな?」
「ジェヌ様のところにいた、老女の二人が、水魔法の使い手のようでしたよ」
「それならいいけど。でも老人をそんなに働かせられないよね」
「病も癒えて、食事もとれているのだから、そこまで心配することはないだろう。魔力も戻っていよう」
そっか。
それならいいや。
かかわってしまうと、やはり気になってしまう。
水魔法だけは優遇されて、王都の中央部に集まっている国。
ほかの国もそうなのかな。
「ねえ、運営さん?」
「この国だけではなく、水魔法使いがあまり産まれなくなった。そのために水魔法使いは貴重なのだろう。しかし、それは人間の業が引き起こしたことだ」
「何が起こったの?」
「ゲームでもやったイベントが関係している。あのイベントは、この大陸に国ができたときの歴史の一つなのだ」
「イベントは歴史なの!」
「そうだ。すべてのイベントがやれたわけではないが、現実には間違った選択をしたせいで、水魔法使いが産まれなくなった。いや、極端に少なくなったといえよう。魔法が遺伝するわけではないからな。生まれてきたものの性質に由来する」
そうか。
そういえば、いくつかのイベントに、水魔法使いが関連しているイベントがあった。
その中でも最大のイベントは、まだ終わってないうちに、私は死んでしまったから。
「そういえば、あのイベントはおわったの?」
「ああ・・・いや・・・あれは・・・」
歯切れが悪いな。
「なに?」
「いや、なんでもない。ゲーム自体がいろいろあって終わらせてしまったからな」
つまり途中だったということか。
私が知っている範囲までならいいけど。
なんだか、運営さんがものすごく考えている表情だ。
ほんとに、あのイベントは何だったのだろう。
歴史なんだっけ。
今度調べる機会があったら、歴史を見てみようかな。
「プレイヤーは全部の魔法使えるからいいけど、ほかの人は大変ね」
「本来プレイヤーも一つの魔法に特化させる予定だったのだが、それだと食いつかなそうなものばかりだったからな、地球の人間たちは」
確かに。
万能大好き。チートにあこがれる私たちは、食いつかないかなぁ。
「その代わり、プレイヤーは化け物ぞろいになってしまったけどな」
おい、こら。誰が化け物だ!
自分で作ったくせに。
「そろそろ次の集落につきますよ」
外からシツジローくんの声がした。ウーマの速度もゆっくりになった。
周りの景色は、この前の集落と変わらない。
お米ないのかなぁ…
集落の門には、やはり門番。
のんびりしている。
シツジローくんが話し、全員分の身分証を出す。
門番がすごく嫌な顔をしている。
「なに?」
「プレイヤーなのか、おまえたち」
「そうだけど」
「・・・あばれてくれるなよ」
何それ。
どこかで聞いたよ、そのセリフ。
プレイヤーはいったい何だと思われているんだろう。
集落は、この前の場所と違って、とてもにぎわっていた。
中央に近ければ近いほど、賑わいがあるようだ。
宿屋は門番が進めたところにした。
門番が把握できるとこにしてほしいというからだ。
また酒場の上だった。
酒場と宿屋は同じものなのかな、この国。
それでも、酒場と宿は入り口が一緒でも、廊下で分かれていたので入りやすかった。
階段上のカウンターには、暇そうなおじさんがいた。
「泊まりたいのですが」
「ん」
顎で台帳を示された。
態度悪いなぁ。
シツジローくんが記入して、カギを受け取る。
一番大きないい部屋にしてもらった。
ちなみにウーマは、こっそりと馬車の中から家に送っていった。馬車も空間魔法に収納済みだ。
「前払いだ」
「これで」
金貨一枚。
これでもしばらく泊まれるが、一泊だけ。
おつりはいらないよ、と付け加えておく。
荷物は置いて、といっても、ほぼないけど。
外に出る。
まだ昼過ぎだから、結構にぎわっている。
食料品店があればいいなぁ。
と思ってたら、広場で屋台があるようだ。
そこに行くことにした。
屋台はいろいろなものが売っていた。
果物の屋台、野菜の屋台、串焼き各種。
どれもこれもおいしそう。
「すみません、これ全部」
果物と野菜は全部買い占めておこう。
どうせ、時間経過もない空間だから大丈夫だし、ご飯大事だし。
後、串焼きも食べて、おいしかったところのは買い占めていこう。
調味料はないのかなぁ。
「すみません、調味料やさんとか、この辺りにあります?」
おいしい串焼きやさんに尋ねる。たれがおいしいよ、これ。
「調味料屋?ここじゃぁなぁ・・・、週に一度、中央から売りにくるいがいは手に入らないんだ」
「そうなんですか!」
「このたれに使っているのだって、月に一度、中央にいって仕入れてくるんだ」
うわぁ・・・
普通なら調味料やさんだって、支店があってもいいのになぁ。
「あとは、門前街のジューノ雑貨店くらいだな。時々珍しいのを売りに来る」
そういえばジューノさんは中央にはお店持てないんだったか。
「わかりました。串焼き、全部ください。調理前でいいです」
「やかないとうまくないぞ?」
「こちらで焼きますから、大丈夫です。たれも少し分けてもらえると嬉しいけど…」
「それは無理だなぁ、すまねぇ」
「そうですよね」
塩焼でもいいか。
塩ならあるし。
いくつかの屋台の買い占めして、宿。
でもここの宿は、ご飯は酒場に降りてこないとだめらしい。
屋台で食べてきてよかったよ。
早くここから去りたいなぁ。
部屋できれいにした後は、ぐっすり。
明日は出発だー。
起きられるかな?
串焼きはおいしいよねぇ。
私は肉より野菜の串焼きが好きだ。あとは魚だな。
まだまだ続きます。




