259~side:サカイ~
ブルーム・サカイは、師匠であるアイリーンに言われ、まず、冒険者ギルドと連絡をとった。
そこは、王都中央部のギルドのサブマスターであるだけあって、話は通りやすい。
地下の魔法陣の使用許可と、ライオンの獣人兄弟の移転許可をとり、プラム郷の冒険者ギルドにれんらくをとる。
冒険者ギルドに、プラム郷の長であるジェヌを呼んでもらい、通信水晶で、話をする。
「お久しぶりです、ジェヌさん」
「サカイさん、久しぶりだなぁ。どうした?どうせ、アイリーンに困らせられているんだろ?大丈夫か?」
その言葉に苦笑する。
確かに無茶振りが多いのだが、弟子として、仕方ないと思っているのだ。
「実は、新しい弟子を迎えまして。プラム郷に送ることになりました」
「は?」
サカイはライオン獣人兄弟の話しをジェヌにする。
ジェヌは頷きながら、ため息をついた。
「アイリーンは、ほんと相変わらず勝手だな。サカイさんがついて行ったのでよかったが、他の人が一緒に行ったのなら、こんなすぐにできないって、なぜわからないんだろうな」
「それが師匠ですから」
水晶の互いで、ため息の音が聞こえた。
「まあわかった。家はいくつかある。住人の方に、空き家があるから、そこに住んでもらえる。声をかけて整えてもらえるから、いつでも住めるよ。獣人に忌避感はないけど、威嚇しないようには言っておいてくれよ。見知らぬ人には、やはり警戒してるとこもあるからな」
「それは承知してます。それと錬金術なんですが、師匠が戻るまでは、住人の皆様で教えるようにとのことなのですが」
「は?・・・ああ、まあ、何とかなるのか?」
ジェヌからの困惑した声が聞こえたが、師匠が決めたことだ。
なにも言えない。
「明日か明後日にはそちらに送れますので、よろしくお願いします」
「わかった、りょーかい」
そこで通信が切れた。
ほぅと息をつき、ギルドに礼を言って去る。
自分も王都に帰るが、錬金術師としての修行はつけてくれる約束も取り付けたし、いろいろ考えるのはやめようと、身体をのばした。
アイリーンが起きなくて、送るのが伸びたのは、いつものことだと諦めることになるのは、その時な思ってもいなかった。




