254~とあるはなし~
詐欺師さんたちの話を聞く。
詐欺師さんたちは兄弟だそう。
そして、ライオン獣人兄弟。
「自分はライオネル、弟はリオンといいます」
ふむふむ。
わかりやすいね。獅子兄弟だ。
兄ライオンと弟ライオンか。見た目は勇ましくないけどね。
「自分たちは冒険者をしていまして、故郷のダンジョンにもぐった時のことです。
故郷のダンジョンは、アンデットばかり出る階層がありまして、そこで苦戦をしていた時のことでした」
アンデットなんて、光魔法か、聖水あればすぐに倒せるんだけどねぇ。
ダンジョンだから、リポップするけどね。
「そこで偶然隠し部屋を発見しまして。・・・そこにあった宝箱に、瓶に入った粉がありました」
あー・・・
なんとなくだけど展開読めたわ。
「その瓶をあえたとたん、粉が飛び散りまして・・・」
気づいたら弟がアンデット化していた。
でも、意識は普通に保てているので、なんだかわからない。
身体は腐った、しゃべることや食事をできなくなってしまったが、腐ったにおいもしなければ、体が今以上に崩れることもない。
何かの呪いなのかと思い、まじないしに見てもらったところ、プレイヤーの遺物だと判明した。
「それで、サカイ領の近くで、錬金術まがいのことをしながら、プレイヤーを探していたのです」
サカイ領は、プレイヤーが作ったとされるから、プレイヤーがいるか、もしくはこの呪い?に似た何かを解くためのヒントがあるかと探していたらしい。
「お願いです!あなたプレイヤーですよね?弟を治してください」
土下座する兄ライオン。
目のまえには困惑するサカイ。
まあ、サカイはプレイヤーの養子の子孫なだけで、プレイヤーではないしね。
「・・・申し訳ありませんが、プレイヤーはわが師匠であり、私は違うのですよ」
「なら!ならその師匠様をご紹介願いませんでしょうか!」
おお、必死だ。
サカイが困った顔でこちらを向く。
「うん、いいよ。治してやろう」
どうせそれ、ゾンビパウダーだしね。
解除薬ならある。
ゾンビパウダーは、対象物をアンデット化するための粉で、よく、罰ゲームで使われてた。
ゾンビ化してほかのプレイヤーから逃げ惑う、という罰ゲーム。
死なないからこそ、できるゲームだ。
一定時間がきて解けるものではないから、解除薬でゾンビ化解除するからね。
追いかけっこみたいなものか。
逃げるのがアンデットというところが、プレイヤー独特だと思うけど。
ちなみに、魔獣に使うと、聖水で倒せるので楽だと重宝されてた。
「師匠です・・・」
サカイが私を紹介する。
「え・・・プレイヤー・・・?」
「はい、プレイヤーです」
ごそごそと空間魔法の中を探る。
たしか、ここに・・・
ああ、昔すぎて、ダメになったからなくなっているのか。
ん?
材料はあるみたいだし、作るか。
「あなたたちさ、それが解けたらどうするの?」
材料を用意して、魔法陣用意。
うん、大丈夫そうだな。
「・・・今まで錬金術もどきをしていましたが、もし可能なら、やってみたいです」
「そう。わかった」
あ、できた。
「ほら、振りかけなさいな」
解除薬も粉なんだよね。
あ、でも、外でやってね。
馬車の中に粉を飛び散らせないようにね。
兄弟とサカイを追い出して、メイちゃんに食事の用意をさせる。
おなかに負担をかけない、すぐに食べられるものを作ってもらわないといけない。
なぜかというと、ゾンビ化が解除されると、ものすごくおなかがすいているからなのよ。
ゲームの中だったから、飢餓状態というのになってたんだけど、現実、何も食べてないんだろうから、死にかけよね。
シツジローくんにはポーション持っていかせたから、死にはしないだろうけど。
数分後、おなかをすかせすぎて倒れた弟ライオンを抱えて、サカイとシツジローくんと兄ライオンが馬車に乗ってきた。
「ほら、ご飯だよ」
いうや否や、弟ライオン、がっついている。
うん。
食べられるなら大丈夫だ。
今は食事を見守っていよう。
しかし、獣人手本とよく食べるよね。




